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世界遺産サンティアゴ巡礼路854kmを歩く -妄想で重くなる体/27日目-

●これまでの道のり
1日目 初日31km / 2日目 猛烈な筋肉痛 / 3日目 大自然の中で一人大泣き / 4日目 足の痛みと色眼鏡の妄想 / 5日目 痛恨のエクストラステージ / 6日目 後半、雨の中での迷い / 7日目 旅仲間との出会い / 8日目 誰かの玉ねぎを使うこズルい自分 / 9日目 心身追い込まれる中での不思議な感覚 / 10日目 タフな作家さんと歩きッコ / 11日目 仲間とゆっくり歩く日 / 12日目 作家さんの○歳の誕生日 / 13日目 アクシデント!出発点に戻る! / 14日目 初めてのヒッチハイク / 15日目 作家さんと歩きくらべ / 16日目 毎日歩くという日常 / 17日目 作家さんのいない日 / 18日目 電池切れで体調崩す / 19日目 体調不良で歩く中での自問 / 20日目 身にしみる人の優しさ / 21日目 歩かずに体を休める / 22日目 再開、今の一歩その瞬間に感じるモノが全て / 23日目 甘え心と体調不良の中の最長距離  / 24日目 追い込まれた後半の大事な時間 / 25日目 山越え / 26日目 きっかけは空海のお遍路

2014/3/18 Cacabelos 〜 サンティアゴまで残り 193.6km

今日はこの路で最後の山登りがある。

ガイド冊子のリストにまばらに書いてある高度を見ながら少し構えていた。

バナナとミカンを食べて出発。

 

数km歩いた街にカフェがあったので、お腹に何か入れようと立ち寄る。

しかし、ほとんど食べ物は置いてなかったのでコーヒーだけ飲んでまた歩き始める。

するとここから急な登りが始まった。

もっと緩やかに始まるのかと思ってたけど、この急な登りは長いこと続いた。

体が一度冷えてから急に登り始めたので、息が上がりだいぶ苦しい。

休み休み登る。

 

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やっと山頂が見えてほぼ登り終えた後は、その山頂を伝っていくかのように緩やかに登りながらの移動。

呼吸も楽になってきて、山の景色を楽しみながら歩く。

今日の登りはほぼ終わったみたいだし、後は気楽に歩こう。

 

また数km歩いた後、ところが今度は下り始めた。

急な下りだし、歩く先は谷だ。

おかしいな、確か目的地は山の上だったはず、今日はもう下らないんじゃなかったかな。

方向を示す矢印もあまり見かけない。

疑心暗鬼になりながら歩いていると、時折、ガイドの矢印を見かけるようになったので、恐らく道はあっている。

これは一度下った後、もう一度登らなくてはならないんだ。

うぅ、また登りがあるのか。

下りたくない。

急な下り坂を下りながらも、気持ちは今の高度にしがみついて下りたがらなかった。

せっかく登ったのにー・・・

昨日の余裕はどこへやら。

しばらく下って、ようやく諦めがついた。

仕方ない、下ってまた登ろう。

  

一気に下り、やっとのことで下り終えた。

ほぼ登り始めの高度に戻ったろう・・・。

下り終えたところに小さな街があった。

ランチを食べようと店を探すが、人影すら無く、結局どこも開いていなかった。

空腹だが先に進む。

 

それから山間をぬって緩い緩い上りが続いた。

その間、これから登らなければならない高度と頭の中で戦っていた。

どんな登りだろうか、だいぶまた登らなくてはいけないな、疲れそうだな。

そう考えていたら既にその妄想で体が重くなっている。

今歩いてるところはどうだろう、緩い緩い上りだ。

今は目の前の道をしっかり歩こう。

自分が今までよくやっていた習慣そのままだ。

まだ起きてもない先のことをあれやこれや考えて不安になったり、身重になったりしていた。

妄想で取り越し苦労をするのはやめよう。

そう思い直し、改めて目の前の道を歩く。

時々妄想に囚われつつも、15時過ぎにようやく飲食店のある街に入り、空腹を満たすことができた。

 

30kmを歩き終えて、夕方17時過ぎに今日の目的地に着く。

しかし、アルベルゲが開いていない。

またか。

次にアルベルゲがあるのは10km先だったはず。

今からまた10km、しかもまだ登りにさしかかってなかったからこれから登りだ。

おおぉ・・・

街のハズレにカフェがあったので確認のため聞いてみることにする。

すると次の街にアルベルゲがあると言っているようだ。

手元のガイドのリストには無いが、新しく出来ているのかもしれない。

次の街は3.5km先、希望が見えた。

  

歩き始めるとやはり急な登りが始まった。

上を見上げるが先が見えない。

あぁ、もう登るしかない。

今登るか明日登るかだ。

どっちみち登るんだ。

そう言い聞かせながら登った。

  

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それからほぼ止まることなく一時間弱登っただろうか。

足がだいぶ堪える。

息を切らしながら登り終えたところに小さな村があった。

アルベルゲの標識もある。

後は、開いているかだ。

息を整えながら向っていると、アルベルゲの方から人の声がする。

間もなく人影も見えた。

良かった開いていた。

息を切らしながらも、 清々しい気分だった。

そこにはキッチンがあり、巡礼者数人が食事の準備をしていた。

みんなの分を作っているからあなたもどうぞ、と言ってくれた。

おお、ありがたい。

シャワーを浴びた後、すぐにみんなと食事をとることができた。

 

今日歩いた距離 33.2km

今日までの合計距離 693.6km

サンティアゴまで残り 160.8km

経由街 Cacabelos – La Faba