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世界遺産サンティアゴ巡礼路854kmを歩く -誰かの玉ねぎを使うこズルい自分/8日目-


●これまでの道のり
1日目 初日31km / 2日目 猛烈な筋肉痛 / 3日目 大自然の中で一人大泣き / 4日目 足の痛みと色眼鏡の妄想 / 5日目 痛恨のエクストラステージ / 6日目 後半、雨の中での迷い / 7日目 旅仲間との出会い

2014/2/27 Estella 〜 サンティアゴまで残り 666.8km

今日は朝から雨。

昨夜話をしていたイタリア人のサムエルは巡礼の道を逆方向に歩いていフランスに向っている。

それなのでもう巡礼の道で会うことはない。

たまたまこの宿でほんの一時のすれ違い。

良き旅を、と互いに声を掛け合い別れる。

 

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今日は比較的穏やかな道。

小指、膝の痛みは少ない。

足の裏は相変わらずの痛み。

左スネ外側はブーツにあたり痛みがある。

 

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途中、ルートが二つに分かれていた。

目的地の Los Arcosまで 17.8kmと 19.4km。

距離の少ない方に行こうかと思い迷っていると、近くにいた男性が右のルートが良いと教えてくれた。

距離のある方だ。

地元の人が言うならそれに従おう。

 

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昼頃、宿を先に出ていた韓国人二人、ホージンと作家さんに追いついた。

同じルートだった。

聞いてみると、もう一つのルートは距離は短いがアップダウンがキツイんだとか。

 

足の裏が地面に着くたびに強く痛む。

靴が良くないのかもと、靴の交換を考えたがまた同じような結果になる可能性も考えやめた。

歩き方を調整すれば何とかなるかもしれない。

大股であるいたり、力を入れたり抜いたり。

それ以降、歩き方を気にしながら歩くようにした。

 

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ホージンと作家さんと一緒に歩いてきて、アルベルゲに着いた。

女性の作家さんはアルベルゲには泊らずに個室のあるホテルやホステルに泊まる。

ホージンは先に自分らがアルベルゲにチェツクインした後、彼女をホテルまで送る。

紳士だ。

 

韓国人ペアは既に食事を済ませていたので、今晩は一人キッチンで料理をする。

しばらくして、年配の大柄な男性が料理をしにキッチンに入ってきた。

軽く彼と挨拶し、また忙しく料理する。

炒めたジャガイモに塩コショウをすると、誤ってかけすぎてしまい食べれないくらい塩辛くなってしまった。

何とかできないかと周りを見渡すとキッチンの端に玉ねぎが三つ置いてあった。

ホステルなどのキッチンではフリーな調味料や食材があることもある。

これもフリーかな、とはっきりわからなかった。

でもじゃがいもをなんとかしたい、いいや使ってしまおう。

玉ねぎを塩辛いじゃがいもに混ぜて多少食べれるようになった。

その間、大柄な男性と少し話をしていると、ここのオーナーだという事がわかった。

そして彼は、さっき自分が黙って使った玉ねぎのところから玉ねぎを取り出している。

あ、これはオーナーの玉ねぎだったのか。

しかもさっき、自分が玉ねぎを取り出すとき、彼がなんとなく見ていたのを感じていた。

ああ、なんてことだ、気まずい。。。

うーん、謝ろう。

玉ねぎはあなたのだったんですね、さっき取ってしまった。ごめんなさい。

彼は気にしないでいいよ、と軽く流してくれた。

ああ良かった。

 

食事を終えた後も玉ねぎの件がなんとなくスッキリしなかったので、明日の分に買っておいたバナナとオレンジを、玉ねぎをとってしまったからとキッチン台に置いて彼に渡した。

彼は「ああ」と言ってそんなに気に留めていない。

彼は食事を作り終わったあと、自分の渡したフルーツはそのまま残して去ってしまった。

怒っているのだろうか。

許してくれるかどうかは彼次第。

仕方ない。

ほんとに玉ねぎのことをなんとも思ってないかもしれないしわからない。

でも自分の中でスッキリしない気持ちが残った。

 

自分が追い込まれたり誰も見ていないと時々こうして自分のいいように解釈したり、こズルい行動に出ることが前々からあった。

普段はもっともらしい行動をしていたとしても、これでは元も子もない。

ここ数年気になっていた自分の行動。

いい戒めになった。

窮地になってももうこんなことはやめようと心に決めた。

 

今日歩いた距離 21.8km

今日までの合計距離 209.4km

サンティアゴまで残り 645km

経由街 Estella – Los Arcos