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幻獣園

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2023年4月の記事一覧

【幻の生き物を紹介】ダイダラボッチ

【幻の生き物を紹介】ダイダラボッチ

【ダイダラボッチ】日本を代表する伝説の大男

太古の昔、日本に棲んでいたといわれる巨人。「大太法師」と漢字で表記されることもある。計り知れないほど大きく、天まで届くほどだったという。歩くだけで足跡からみ湖や沼ができたとも伝わる。
山を作ることが趣味で、榛名山も富士山もダイダラボッチが作ったという伝承がある。富士山を作ったさいには、ふたつの説がある。ひとつは土を掘り、そこに大きな穴ができ、それが現在

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【幻の生き物を紹介】スルト

【幻の生き物を紹介】スルト

【スルト】門番を務める炎の剣を持つ巨人

北欧神話の中で、火の国ムスッペルヘイムの門番をしている巨人。名前のスルトには「黒い者」という意味がある。
南の南の果てにある火の国は、この世が始まる前から存在したといわれる。だが、その地はあまりにも熱く、そこで生まれた者しか生きてゆくことができない。あまりの熱さのため、近隣に棲む者もいないという。スルトはそんな火の国で生きてゆける唯一の巨人。手に炎の剣を持

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【幻の生き物を紹介】シパクナ

【幻の生き物を紹介】シパクナ

【シパクナ】無邪気な兄は山で遊ぶ

マヤの神話に登場する巨人。神々と敵対したヴクブ・カキシュの長男。力自慢の偉丈夫カブラカンの兄である。
父や弟と同じく、山を背もたれにして眠るほど巨大だったという。無邪気なところもあり、遊ぶためだけにたった一晩で山脈を作り、その山を相手に球技をして楽しんだという。
だが、父や弟と結託し、人間の支配を行なおうとしていたことで神々の怒りを買ってしまう。大好物の蟹(だが

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【幻の生き物を紹介】ゴグマゴグ

【幻の生き物を紹介】ゴグマゴグ

【ゴグマゴグ】アルビオンに棲む巨人族

「ゴーモト」とも呼ばれる。その名前は「敵対者」を意味しているという。イギリスがアルビオンと呼ばれていた頃に、国の南西部に巨人族が棲んでいた。ゴグマゴグは、手に持った棍棒で帆船を叩き潰せるほど巨大で怪力を誇っていたという。だが、ゴグマゴグを始め、すべての巨人たちはイタリアからやってきたブルータスに退治されて滅びた。
ジェフリー・オブ・モンマスの『ブリタニア列王

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【幻の生き物を紹介】ゴーレム

【幻の生き物を紹介】ゴーレム

【ゴーレム】魂を持たずに動く土の人形

ユダヤの律法学者が作り出せるという、動き回る土の人形。ゴーレムとは、ヘブライ語で「胎児」という意味である。
材料となるのは、泥と水だけだ。それで人形を作り、神の名前を書いた紙を舌の下に差し込むと動き出す。舌はあるが、会話をすることはできない。だが、自分を作った術者の言葉を理解して命令に従う。用事が終わったら、口の中の紙を取り出せば動かなくなって元に戻るという

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【幻の生き物を紹介】ゲリュオネウス

【幻の生き物を紹介】ゲリュオネウス

【ゲリュオネウス】三位一体の牛飼い巨人

「ゲリュオン」とも呼ばれる、ギリシャ神話に登場する巨人。はるか西方の大洋に浮かぶエリュテイア島(虹色の島)に棲んでいたという。
ゲリュオネウスは、他の巨人には見られない独特の姿をしている。3人の男の身体が腹の部分だけで結びついているのだ。手足は、3人にそれぞれ2本ずつで計6本もあったといわれている。
島では牛を飼い、双頭の犬オルトロスを番犬としていた。だが

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【幻の生き物を紹介】刑天

【幻の生き物を紹介】刑天

【刑天】頭を落とされても戦う復讐の巨人

中国の神話に登場する頭を持っていない巨人。もともとは普通の人間と同じように頭部があり、天界の王といわれる炎帝(えんてい) の配下であった。だが、炎帝と敵対する黄帝(こうてい)が勢力を伸ばし、ついに炎帝は敗れてしまう。それでも刑天は単独で黄帝へと向かっていった。この戦いによって頭を斬り落とされ、常羊(じょうよう)の山に埋められてしまう。
それでも刑天は諦めき

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【幻の生き物を紹介】グレンデル

【幻の生き物を紹介】グレンデル

【グレンデル】 鋼鉄の肉体を持った残虐巨人

イギリスの英雄叙事詩『ベーオウルフ』に登場する怪物。デンマークの人里離れた沼地に棲んでいたといわれる。
獣のような巨人で姿は醜く、鍋鉄の籠手を持っていたという。性格は荒く残忍で、武器は持っていないものの自慢の怪力を使って人々を恐怖に落としいれた。剣や槍などの武器を持った人間が束になっても、グレンデルの強靭な身体に傷ひとつつけられないほどだった。
ベーオ

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【幻の生き物を紹介】キュクロプス

【幻の生き物を紹介】キュクロプス

【キュクロプス】 鎩治仕事の名人?それとも…?

ギリシャ神話に登場する巨人族。英語読みだとファンタジーを題材にしたゲームや物語でもおなじみの「サイクロプス」となる。巨大な額の中央にひとつの眼を持ち、大きな身体は筋肉が盛り上がっている。腰には布を巻いている。
伝承では鎩治仕事の名人で、ゼウスの武器「雷霆 (らいてい)」や海の神ポセイドンの「三叉の銛」を作ったという。シチリアのエトナ山の地下に仕事場

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【幻の生き物を紹介】カプラカン

【幻の生き物を紹介】カプラカン

【カプラカン】 容易に山を崩す怪力男

マヤ神話に登場する巨人。父は大地の巨人と呼ばれ、乱暴者で名高いウクブ・カキシュ。カブラカンは次男である。父の血を継いでいる証は、力自慢だけではなく名前にもあり、カブラカンは「地震」という意味を持っている。
山々を簡単に突き崩し、自分自身を「山を覆す男」として豪語していた。だが、フンアフプーとイシュバランケーという双子の英雄に見事に騙され、埋められてしまった。

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【幻の生き物を紹介】オーグル

【幻の生き物を紹介】オーグル

【オーグル】 猫に騙された残虐な巨人

中世ヨーロッパの騎士物語や童話に登場する巨人の総称。フランスの作家ペローが『長靴をはいた猫』の中で、この種の巨人をオーグルと記したことから名付けられた。身体が大きく残虐で、人間を好物にしていた者もいるという。腹が減ると村や町に向かい人間狩りを行なっていたというから恐ろしい話である。
本来は巨人の姿だが、変身能力を持っているので、さまざまなものに姿を変えられた

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【幻の生き物を紹介】エーギル

【幻の生き物を紹介】エーギル

【エーギル】 海底の黄金宮殿に棲む海の支配者

北欧神話に登場する、海を支配するとされた巨人。海底にある宮殿に棲み、そこには海に沈んだ財宝のすべてが集まる。そのため、宮殿は黄金色に満ちていた。暗い海底にも関わらず、金や宝石の輝さで照明がいらなかったほどだという。
エーギルには妻のラーンと「波の乙女」と呼ばれる9人の娘がいた。娘たちは船乗りを誘惑し、魂を海に引きずり込もうとした。妻のラーンは、魂を一

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【幻の生き物を紹介】ウルリクムミ

【幻の生き物を紹介】ウルリクムミ

【ウルリクムミ】 神々に戦いを挑んだひとりの巨人

古代ヒッタイトのクマルビ神話に登場する石の巨人。ウルリクムミは、海底に棲む巨人ウペリルの肩から植物のように生えて誕生したという。生まれるとすぐに背が伸び、やがて90000ダンナ(96300km)にまで達し、頭が天上界に届いた。
それだけの巨体ならば、動くことは難しいと思われるかもしれないが、毎日陸に上がって町を破壊したという。その理由は神々への挑

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【幻の生き物を紹介】ウェンディゴ

【幻の生き物を紹介】ウェンディゴ

【ウェンディゴ】 旅人に囁きかける俊敏な雪男

カナダの森林地帯で暮らすイヌイットや、アメリカの先住民族の伝承に登場する精霊の一種。雪男に似た風貌で体長が五メートルもあり、顔は骸骨に似ているともいう。
大きさのわりに動きがとても俊敏で、人に姿を見せることはない。抜け目がない性格で、ひとりで歩いている旅人の背後に忍び寄り、気配だけを悟らせる。気になった旅人が振り返るが、ウェンディゴの姿を確認すること

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