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Hint(まどろみ文庫)

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#雑記

好奇心は脳内麻薬

好奇心は脳内麻薬

世界はもう新しくならない。そう考えた時未来はつまらないものになる。常に新しいものを追い求める感覚は、好奇心によるものだ。好奇心は世界をまだ理解できていない若い時にこそ鋭敏だ。大人になればなるほど、その体験は過去に経験したことのある確率が上がる。常に若い感覚を持っている人というのは、日常が刺激に満ち、新しいことだらけで、好奇心旺盛の状態だ。それは感覚が鋭敏であるか、もしくは知らないということをよく知

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映画は心地よい洗脳だ

映画は心地よい洗脳だ

映画館で何百人が静かに大スクリーンに向かってじっと目を向け続ける、こんな異常な状況、よくよく考えたらおかしい。いやだから、映画館に行くのだ。心地よい洗脳を受けたくて。感動したり、泣いたり、映画は自分の感情をコントロールしてくる。洗脳されて、興奮して、おもしろかったなどと感想を書き連ねようものなら、そりゃあ監督はうれしいだろう。自分の作品でうまく洗脳できたのだから。

世界をより良く認識するために

世界をより良く認識するために

日々の忙しさに流されて生きていると、ふと自分が何を理解して何を理解できていないのか不安になる瞬間がある。そうならないために、きちんと理解できたことを言語化しておこう。いや、言語化できることが理解したことになるのか。世界を言語で理解することが、正しく世界を認識しているかどうかは怪しいが、やはり人間のコミュニケーションにおいて、言語の占める割合はいまだに大きい。ビジュアルを共有するコミュニケーションも

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【随想】広告『佐藤可士和』

【随想】広告『佐藤可士和』

知らぬ間にこんなにも、佐藤可士和が溢れているとは。
超整理術(2007年9月)を出版した時は、どのくらいのキャリアであったのだろうか。
かれこれ15年は経っている。
不覚にも、気づかなかった。
言われてみれば、
あれも佐藤可士和、これも佐藤可士和、
何もかもが佐藤可士和…。
徐々に、いつの間にか、佐藤可士和が、社会に充満していた。
まるでアップルのように。
佐藤可士和は、極端である。
不自然なまで

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【随想】短編アニメ『The Basketball Game』ハート・スナイダー

2011年
ハート・スナイダー監督の『The Basketball Game』を視聴。
5分の短編アニメーション。

画割りが素晴らしい。
基本的には、ナレーションによる語りが
物語を推進する力になっているが、
映し出される画は、それを補足するような
説明的な画ではない。

アメリカンコミック越しの少女の笑顔。
2本の蝋燭の火。
バスの扉の開閉。
キャンプ場の机を這う蟻。
対戦相手の顎髭。

画は

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【随想】短編アニメ『Altötting』アンドレアス・ハイケード

【随想】短編アニメ『Altötting』アンドレアス・ハイケード

2020年
アンドレアス・ハイケード監督の『Altötting』を視聴。
11分の短編アニメーション。

南ドイツバイエルン州アルトエッティング。

慈悲の礼拝堂(グナーデンカペレ)では
死者の土葬が行われている。

司教は新たな十字架を木の枝から切り落とす。

乳母車を押して訪れた女性。
女性は自ら十字架を背負う。

乳母車に残された少年は
おくれて一人礼拝堂の中へと入っていく。

礼拝堂の中に

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【随想】短編アニメ『話の話』
              
            ユーリー・ノルシュテイン

【随想】短編アニメ『話の話』 ユーリー・ノルシュテイン

不思議なタイトル
形而上的な話を予感させる

灰色オオカミが来るぞと
子守歌

赤ちゃんが眠っている
みずみずしい青りんごの絵

スケッチ、実写エレメント、スチールコラージュの
異世界ハーモニー

時間と場所、空想と現実が
光の中で入り混じる

洗濯をしながら乳母車を押す女性
飼い牛と縄跳びに興じるおてんば娘
筆が進まず飼い猫に叱られる文筆家
一家の大黒柱である漁師
人々の生活、日常が活写される

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【随想】『From the Big-Bang to Tuesday Morning』クロードクルーティエ

【随想】『From the Big-Bang to Tuesday Morning』クロードクルーティエ

2000年
クロードクルーティエ監督の『From the Big-Bang to Tuesday Morning』を視聴。
6分の短編アニメーション。

ビッグバンから火曜日の朝までを
ぎゅぎゅっとたったの6分間にまとめてみました。

さて、いかがでしょうか。

はい、もちろん、
ビッグバンは誰も見たことがありません。

抽象アニメーションで爆発、原子、粒子を表現します。

それらはやがてズームイ

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【随想】 短編アニメ『George and Rosemary』デヴィッド・ファイン&アリソン・スノーデン

【随想】 短編アニメ『George and Rosemary』デヴィッド・ファイン&アリソン・スノーデン

1987年
デヴィッド・ファイン&アリソン・スノーデン監督の『George and Rosemary』を視聴。
9分ほどの短編アニメーション。

30年以上前の作品であるが、古さは感じない。
かわいらしいタイトルオープニング。

カット割りではなくメタモルフォーゼで
シーン展開できるのがアニメーションの魅力。
語りに合わせて絵が移り変わる。

ある家に猫と男性が住んでいた。

男性はボトルシップを

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【随想】短編アニメ『Blackberry Subway Jam』ロバート・ドゥーセ

【随想】短編アニメ『Blackberry Subway Jam』ロバート・ドゥーセ

1989年
ロバート・ドゥーセ監督『Blackberry Subway Jam』を視聴。
8分半の短編アニメーション。

色鉛筆水彩のような背景が美しい。

キャラクターが話をするとき、
顔から眉毛が離れるような誇張表現は、
最近ではあまり見かけなくなった。

さて、どんなストーリーか。

ある一軒家に住む親子。
母親が息子のジョナサンに留守番を命じて出かける。

ジョナサンがリビングにいると、

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【随想】短編アニメ『Bus Story』タリ

【随想】短編アニメ『Bus Story』タリ

2014年
タリ監督の『Bus Story』を視聴。
11分の短編アニメーション。

柔らかいペンタッチの
デフォルメされたイラストアニメーション。

主人公の女性は、
スクールの送り迎えをするバスの運転手を夢見ている。

「MAGASIN GENERAL」のストアオーナー「キラー」に雇ってもらった主人公は、
晴れてバスの運転手となる。

早速バスに乗って運転をしてみると、クラッチが思うように動か

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【随想】短編アニメ『Balablok』ブジェチスラフ・ポヤール

【随想】短編アニメ『Balablok』ブジェチスラフ・ポヤール

1972年
ブジェチスラフ・ポヤール監督の『Balablok』を視聴。
7分半の短編アニメーション。

わかりやすく面白かった。

立方体たちが暮らす街に、ある日球体が紛れ込む。
立方体たちは少数派である球体を珍しがり、
転がしたりバウンドさせたりして楽しんでいたが、そこに他の球体たちがやってくる。
数で立方体を上回った球体たちは、仕返しに立方体たちをサイコロのように転がして遊ぶ。
やがて仕返しの

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【随想】短編アニメ『Hen, His Wife』イゴール・コバリョフ

【随想】短編アニメ『Hen, His Wife』イゴール・コバリョフ

1990年制作
イゴール・コヴァリョフ監督の「Hen, His Wife」を視聴。
13分ほどの短編アニメーション。

とあるマンションの一室。
エプロンとピアスをしたホクロの多い白い女性が、慌ただしく家事をしている。

アームチェアには青い男性。
白い女性が運んでくれたコップには目もくれず、本を読んでいる。
背もたれにはペットの人面芋虫が横たわる。

白い女性は青い男性のために足湯を用意する。

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【随想】漫画『チェンソーマン』~ノンフィクションとの邂逅~

チェーンソーマンなのか、
チェンソーマンなのか、
読み終わっても思い出すことができない。

読後感は狐につままれたような感じ。
え?
そんな終わり方でいいの?

まさか乱気流に飲み込まれて急な旋回をして着地するとは思わなんだ。
主人公の進む行き先(内的要因)がうずまきにぐにゃりと捻じ曲げられ
突如として現れたノンフィクションという外的要因に飲み込まれる。

さもこれが、カフカの理不尽な現実ですよと

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