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【255文字書評】うつ病九段 - プロ棋士が将棋を失くした一年間/先崎学 著 (2018/07)
文庫版
単行本版
将棋プロ歴30年の棋士の、うつ病リアル体験記。
簡単な詰将棋も解けなくなってしまった自分に愕然としつつも、1年後の復帰を目指してひたむきに将棋と向き合う姿が印象的。
症状はヘビーな状態ながらも、淡々と落ち着いた文章で書かれていて、読みやすい。
いい意味で、感情を揺さぶられすぎずに読めた。
だいたいいまだに心の病気といわれている。うつ病は完全に脳の病気なのに
うつ病は「心の風邪」ではなく「脳の病気」。
「うつ病とはどういう病気なのか」を理解する助けになると思う。
そんなこんなでうちひしがれている時に、あっとなった瞬間を、忘れることはないだろう。
将棋が弱くなるのだ──。
引退したら楽ではある。しかし、このまま引退しようと、あるいはこの世界を離れようと「将棋が弱くなる」ことに変わりはないのだ。
私は六歳で将棋を覚え、九歳でこの世界に入った。十七歳でプロになって三十年。だらしなくて常識がない私は、自分は将棋が強いんだという自信だけで世の中を生きてきたのである。勝ち負けとか金とか以前に、将棋が強いという自信は自分の人生のすべてだった。その将棋が弱くなる。
考えられなかった。それだけは絶対に許せなかった。
芸を落としてたまるか、と思うと涙が出た。
将棋の知識ゼロでも読める内容。
著者の年齢と近いこともあり、親近感を覚えながら読んだ。
2018年7月刊(2020年7月文庫化)
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