ゆみ

神奈川県の海辺の町で、議員をしています。趣味で書いている小説を、皆さんに読んで頂けたら…

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神奈川県の海辺の町で、議員をしています。趣味で書いている小説を、皆さんに読んで頂けたらと思います。 ブログは「山田由美in葉山」でhttps://hayama-nagae1b39.seesaa.net ホームページ は「山田由美in葉山」で検索を。

記事一覧

恋愛SF『星の降る島』3章 4章

3章 レオネ  わかっていますよ、レアナ。  あなたに託された務めは、必ず果たします。  わたしは、そのために誕生したのですから。  あなたが母。マークが父。た…

ゆみ
13時間前
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恋愛SF『星の降る島』2章

2章 マーク  俺が目覚めたのは、知らない部屋だった。それでも、病室らしいとはわかる。白でまとめた簡素な内装だったし、ベッドの周囲に、モニター画面の付いた医療機…

ゆみ
1日前
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恋愛SF『星の降る島』1章

1章 レアナ  夜中、そっとマークの横から起き上がった。若い彼は、健康な深い眠りに落ちている。水割りに入れた薬のせいで、あと十二時間は、叩いても揺さぶっても起き…

ゆみ
2日前
1

恋愛SF『ブルー・ギャラクシー ジュニア編』6章

6章 アスマン  渚沙とは、数年間、ぽつぽつとメールのやりとりを続けた。中身は、映画や小説のことだけだ。それなら、子供を誘惑したと、渚沙がそしられることもないだ…

ゆみ
4日前
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恋愛SF『ブルー・ギャラクシー ジュニア編』5章-2

5章-2 シヴァ  俺はリナに胸を貸したまま、彼女が泣き止むのを辛抱強く待ち、肩をさすってなだめた。 「とにかく、子供たちの居場所はわかってるんだろう。俺の故郷に…

ゆみ
5日前
3

恋愛SF『ブルー・ギャラクシー ジュニア編』5章-1

5章-1 シヴァ 「シヴァ、悪いが、リナがそちらへ行く。話を聞いてやってほしい」  リザードから連絡があったことに、まず驚いた。俺がグリフィン役から降ろされて以来…

ゆみ
8日前
3

恋愛SF『ブルー・ギャラクシー ジュニア編』4章

4章 アスマン  番犬の暮らしには、すぐ慣れた。自分にこんな修行者みたいな生活ができるとは、これまで考えたこともなかったが。  朝、暗いうちに起き出し、一通り運…

ゆみ
8日前
5

恋愛SF『ブルー・ギャラクシー ジュニア編』3章-2

3章-2 紅泉  そうやって離れ小島で三か月ほど過ごしてから、あたしたちは中央に戻った。  いや、本当は辺境が故郷なのだが、もう長いこと市民社会で過ごしているので…

ゆみ
2週間前
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恋愛SF『ブルー・ギャラクシー ジュニア編』2章-4 3章-1

2章-4 アスマン  金色のドレスの美女が立ち去るのを、呆然として見送っていたら、リリーが俺に目で合図した。俺が彼女の横の席に移ったら、声を低めて言う。 「あんた…

ゆみ
2週間前
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恋愛SF『ブルー・ギャラクシー ジュニア編』2章-3

2章-3 アスマン  しかし、頭をさすりながら、何だかひどく懐かしい気分になった。おふくろにもリザードにも、こんな真似をされたことはないのに。  リザードは冷静な…

ゆみ
2週間前
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恋愛SF『ブルー・ギャラクシー ジュニア編』2章-2

2章-2 アスマン  機械の召使なんか、八つ当たりで壊しても意味がない。壊さないと約束すると、ナギと名乗った美形のアンドロイドは、俺を通路に連れ出した。  どうや…

ゆみ
3週間前

恋愛SF『ブルー・ギャラクシー ジュニア編』2章-1

2章-1 アスマン  おふくろは最近、ヒステリーだ。俺がおふくろと呼ぶと、青筋立てて怒りだす。 「リナと呼びなさいって、言ったでしょ!!」  気色悪い。  母親を名…

ゆみ
3週間前
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恋愛SF『ブルー・ギャラクシー ジュニア編』1章

1章 紅泉  最初は、ナギからの報告だった。 「ミス・リリー、これをご覧下さい。先ほど届いた情報です」  彼はあたしたちが秘書として使っている、美青年型の有機体…

ゆみ
3週間前

恋愛SF『ミッドナイト・ブルー グリフィン編』15章-2

15章-2 探春  辺境での彼女の通り名は、ジョルファ。本名はリアンヌ・ルナン。元軍人で、辺境に脱出してからは、老舗組織《フェンリル》のナンバー2として知られてきた…

ゆみ
3週間前
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恋愛SF『ミッドナイト・ブルー グリフィン編』13章 14章 15章-1

13章 シヴァ 「通話だ、向こうと話す!!」  艦の管理システムにそう命じた。話せば、紅泉はわかってくれる。他でもない、従兄弟の俺が言うことなのだから。  あいつは…

ゆみ
4週間前
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恋愛SF『ミッドナイト・ブルー グリフィン編』11章-2 12章

11章-2 シヴァ 「小さいうちは、うんと甘やかしても平気よ。あなたも、子供と遊んであげて」  リアンヌは夢見るような、心を彼方に飛ばした顔つきだ。もう、歴戦のアマ…

ゆみ
4週間前
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恋愛SF『星の降る島』3章 4章

恋愛SF『星の降る島』3章 4章

3章 レオネ

 わかっていますよ、レアナ。

 あなたに託された務めは、必ず果たします。

 わたしは、そのために誕生したのですから。

 あなたが母。マークが父。たとえ彼が、それを知ることはないとしても。

 この道の先で、いつかまたあなたと出会う時まで。わたしは人類の守護者です。

 わたしの中核となった細胞群がいずれ死滅しても、わたしは問題なく生き続けられます。今のわたしはもう、地球全体を

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恋愛SF『星の降る島』2章

恋愛SF『星の降る島』2章

2章 マーク

 俺が目覚めたのは、知らない部屋だった。それでも、病室らしいとはわかる。白でまとめた簡素な内装だったし、ベッドの周囲に、モニター画面の付いた医療機器が並んでいたからだ。

 画面には、何かのグラフや数値が表示されている。数字の幾つかは、俺の血圧や脈拍だとわかった。まるで、集中治療室だ。外が見える窓はなく、白い壁に白いドアがあるだけ。

 俺は健康体なのに、いったいなぜ、こんな部屋に

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恋愛SF『星の降る島』1章

恋愛SF『星の降る島』1章

1章 レアナ

 夜中、そっとマークの横から起き上がった。若い彼は、健康な深い眠りに落ちている。水割りに入れた薬のせいで、あと十二時間は、叩いても揺さぶっても起きないはず。

 ――真実を知ったら、きっと怒り狂うでしょうね。全力でわたしを罵倒し、呪い、憎むようになるでしょう。

 でも、次にあなたが目覚める時、わたしはもう、この世にいない。

 だから、許して。

 いいえ、どう言い訳しても、許し

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恋愛SF『ブルー・ギャラクシー ジュニア編』6章

恋愛SF『ブルー・ギャラクシー ジュニア編』6章

6章 アスマン

 渚沙とは、数年間、ぽつぽつとメールのやりとりを続けた。中身は、映画や小説のことだけだ。それなら、子供を誘惑したと、渚沙がそしられることもないだろう。

 二十歳を過ぎて、もう対等に付き合えるだろうと思ったので、はるばる彼女に会いに行った。あれこれ迷った挙句に、大きな花束を抱いて。

 そうしたら、渚沙は既に結婚していた。そして、子供が生まれるのだと、にこにこして教えてくれた。

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恋愛SF『ブルー・ギャラクシー ジュニア編』5章-2

恋愛SF『ブルー・ギャラクシー ジュニア編』5章-2

5章-2 シヴァ

 俺はリナに胸を貸したまま、彼女が泣き止むのを辛抱強く待ち、肩をさすってなだめた。

「とにかく、子供たちの居場所はわかってるんだろう。俺の故郷にいるなら、心配することはない。〝リリス〟が保護してくれる」

 リナは香水の匂いがするハンカチを握りしめ、しゃくり上げながら言う。

「だけど、ひどいわ。何の権利があって、人の子供を誘拐するの。あんまりよ」

 奇妙な言い分だと思った

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恋愛SF『ブルー・ギャラクシー ジュニア編』5章-1

恋愛SF『ブルー・ギャラクシー ジュニア編』5章-1

5章-1 シヴァ

「シヴァ、悪いが、リナがそちらへ行く。話を聞いてやってほしい」

 リザードから連絡があったことに、まず驚いた。俺がグリフィン役から降ろされて以来、交流は絶えていたからだ。だが、大学教授のような取り澄ました容貌には、何の変化もない。辺境の人間は、あらゆる方法で延命を図る。

 そのリザードの説明には、心底驚愕し、揺さぶられた。俺に子供がいたというのだ。それも、二人も。

「まさ

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恋愛SF『ブルー・ギャラクシー ジュニア編』4章

恋愛SF『ブルー・ギャラクシー ジュニア編』4章

4章 アスマン

 番犬の暮らしには、すぐ慣れた。自分にこんな修行者みたいな生活ができるとは、これまで考えたこともなかったが。

 朝、暗いうちに起き出し、一通り運動してからシャワーを浴び、身支度をする。目立たないスーツ姿でいることがほとんどだ。何種類かの武器を身に付け、食事を済ませる。

 俺の部屋は、ライサが暮らす高級アパートメントの同じ階に用意されたが、ここは俺専用ではなく、警備要員の詰所と

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恋愛SF『ブルー・ギャラクシー ジュニア編』3章-2

恋愛SF『ブルー・ギャラクシー ジュニア編』3章-2

3章-2 紅泉

 そうやって離れ小島で三か月ほど過ごしてから、あたしたちは中央に戻った。

 いや、本当は辺境が故郷なのだが、もう長いこと市民社会で過ごしているので、すっかり中央星域での暮らしに馴染んでしまっている。

 あたしたちはジュニアを同行し、司法局のハンター管理課に頼んで、彼の市民登録をしてもらった。仮の名前で架空の経歴をでっち上げ、市民社会で自由に動けるようにしてもらったのだ。特例だ

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恋愛SF『ブルー・ギャラクシー ジュニア編』2章-4 3章-1

恋愛SF『ブルー・ギャラクシー ジュニア編』2章-4 3章-1

2章-4 アスマン

 金色のドレスの美女が立ち去るのを、呆然として見送っていたら、リリーが俺に目で合図した。俺が彼女の横の席に移ったら、声を低めて言う。

「あんたを引き取ることに、ヴァイオレットは反対だったのよ。だから、態度が冷たいのは仕方ない。我慢しなさい。それも修行だと思って」

 俺が不服な顔をしていると、リリーは更に声を低めて言う。

「問題は、あんたじゃなくて、あんたの父親なの。ちょ

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恋愛SF『ブルー・ギャラクシー ジュニア編』2章-3

恋愛SF『ブルー・ギャラクシー ジュニア編』2章-3

2章-3 アスマン

 しかし、頭をさすりながら、何だかひどく懐かしい気分になった。おふくろにもリザードにも、こんな真似をされたことはないのに。

 リザードは冷静な書斎派で、俺にはいつも、静かに話をするだけだった。辺境の現状について。組織の運営について。部下たちはみんな、その静けさを恐れていた。リザードが冷静なまま、冷徹な判断を下すのを知っていたからだ。

 でも、この女は最初から、ずんずん俺に

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恋愛SF『ブルー・ギャラクシー ジュニア編』2章-2

恋愛SF『ブルー・ギャラクシー ジュニア編』2章-2

2章-2 アスマン

 機械の召使なんか、八つ当たりで壊しても意味がない。壊さないと約束すると、ナギと名乗った美形のアンドロイドは、俺を通路に連れ出した。

 どうやら、どこかの地球型惑星にあるリゾートホテルらしい。大きな窓の外には、波を立てた冷たそうな青い海と、いじけた緑の生えた灰色の海岸線が見えた。意識のないうち、こんな所まで運ばれていたとは。

 ここは大陸から離れた孤島で、島にある唯一のホ

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恋愛SF『ブルー・ギャラクシー ジュニア編』2章-1

恋愛SF『ブルー・ギャラクシー ジュニア編』2章-1

2章-1 アスマン

 おふくろは最近、ヒステリーだ。俺がおふくろと呼ぶと、青筋立てて怒りだす。

「リナと呼びなさいって、言ったでしょ!!」

 気色悪い。

 母親を名前で呼ばせるなんて、異常だ。

 おふくろで、いいではないか。ババアと呼ばれるより、はるかにましだろう。それなのに、

「そんな呼び方したって、返事しないから!!」

 まるで小娘みたいにわめく。護衛を引き連れて外へ出れば、いっ

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恋愛SF『ブルー・ギャラクシー ジュニア編』1章

恋愛SF『ブルー・ギャラクシー ジュニア編』1章

1章 紅泉

 最初は、ナギからの報告だった。

「ミス・リリー、これをご覧下さい。先ほど届いた情報です」

 彼はあたしたちが秘書として使っている、美青年型の有機体アンドロイドの一体である。

 任務と任務の間の待機時間だったので、あたしたちは中央の植民惑星の快適なホテルにいた。繁華街で買い物をしたり、レストラン巡りをしたりする間に、不定期にネットを通じて、辺境からの連絡を受け取っている。

 

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恋愛SF『ミッドナイト・ブルー グリフィン編』15章-2

恋愛SF『ミッドナイト・ブルー グリフィン編』15章-2

15章-2 探春

 辺境での彼女の通り名は、ジョルファ。本名はリアンヌ・ルナン。元軍人で、辺境に脱出してからは、老舗組織《フェンリル》のナンバー2として知られてきた人物。

 ナンバー1はリザードという通り名を持つ男で、最高幹部会からも重用されているという話だけれど、わたしたちは噂でしか知らない。居場所を秘匿していることが多いため、わたしたちの探査の網にもかからないのだ。

 その点、ジョルファ

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恋愛SF『ミッドナイト・ブルー グリフィン編』13章 14章 15章-1

恋愛SF『ミッドナイト・ブルー グリフィン編』13章 14章 15章-1

13章 シヴァ

「通話だ、向こうと話す!!」

 艦の管理システムにそう命じた。話せば、紅泉はわかってくれる。他でもない、従兄弟の俺が言うことなのだから。

 あいつはまだ、子供の頃と変わっていない。一緒に野原を走り、木に登り、川で泳いだ。竹刀で打ち合い、柔道の技をかけ合い、取っ組み合いの喧嘩もした。ほとんど、男同士の付き合いだった。だから、わかっている。悪気のない、単純な奴だと。そうだから、報

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恋愛SF『ミッドナイト・ブルー グリフィン編』11章-2 12章

恋愛SF『ミッドナイト・ブルー グリフィン編』11章-2 12章

11章-2 シヴァ

「小さいうちは、うんと甘やかしても平気よ。あなたも、子供と遊んであげて」

 リアンヌは夢見るような、心を彼方に飛ばした顔つきだ。もう、歴戦のアマゾネスという印象は受けない。顔の輪郭も、丸みを帯びてきている。これが本来のリアンヌなのだ。くだらない男に誘われて、辺境などに出てこなかったら、とうに幸福な母親になっていただろう。

「ああ、キャッチボールをしよう。電子工作も教えてや

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