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効いた曲ノート

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心に効いた曲なのでググってみましたのコーナー
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2019年1月の記事一覧

律動が体温を宿す...伊福部昭 “「ゴジラ」(1954)”

律動が体温を宿す...伊福部昭 “「ゴジラ」(1954)”

「ジョンの音楽がなかったら本当に自転車が空を飛んでいるようには見えないし、歩き回る恐竜もフォースも信じられない」―スティーヴン・スピルバーグ

先日の「題名のない音楽会」(テレビ朝日土曜10時~)が映画音楽の巨匠ジョン・ウィリアムズの特集だったので、日本の映画音楽もいいよねということで聴いてみたやつです。日本の映画音楽といえばゴジラなので(異論は認めます)、映画音楽のみならず日本音楽の旗手となった

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今風に言えばクラブDJのような創造性...オットリーノ・レスピーギ "リュートのための古風な舞曲とアリア"

今風に言えばクラブDJのような創造性...オットリーノ・レスピーギ "リュートのための古風な舞曲とアリア"



音楽院の書庫から”発掘”された音楽

引用、オマージュ、リメイク…アートの源泉が歴史の中にある場合においても、むしろ、”借用”するからこそ発現しうる独創性があるということも芸術という営みにおける真実の一つのように思われます。

オットリーノ・レスピーギ(1876-1936)の”リュートのための古風な舞曲とアリア"(1917,23,31)もまた、そういった傑作の一つ。16世紀..当時でいうところ

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コスモポリタンな洒脱...ラウニ・グレンダール “トロンボーン協奏曲”

コスモポリタンな洒脱...ラウニ・グレンダール “トロンボーン協奏曲”

冬なので安直に北欧の音楽を聴こうということで、シベリウスやニルセンとメジャーな作品を漁っておりましたところ、ラウニ・グレンダール(1886-1960)の作品に行きついてめちゃめちゃカッコよかったという話です。

グレンダールは8歳からヴァイオリンと作曲を勉強、13歳からコペンハーゲン・カジノ劇場でヴァイオリニストとして活躍しデンマーク放送交響楽団(DRSO:日本でもそうですが、劇場やテレビ局が自前

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独創性はエゴを父とし生活を母とする...カール・アウグスト・ニルセン “交響曲第三番 Sinfonia Espansiva”

独創性はエゴを父とし生活を母とする...カール・アウグスト・ニルセン “交響曲第三番 Sinfonia Espansiva”

カール・アウグスト・ニルセン(1865-1931)はデンマークの音楽家。彼の生まれた頃のデンマークは、プロイセンとの国境に接するシュレースヴィヒ=ホルシュタイン公国の独立紛争とその敗北という危機に直面している時代にありました。

ナショナリズムの隆盛と帝国主義の衝突による世界大戦の危機という時代の流れの中で、ニルセンは本家本元のドイツ(オーストラリア)に比肩するクオリティと独創性を持つ交響曲を作り

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【効いた曲ノート】ピョートル・イリイチ・チャイコフスキー"幻想序曲「ロメオとジュリエット」"

【効いた曲ノート】ピョートル・イリイチ・チャイコフスキー"幻想序曲「ロメオとジュリエット」"

正月なのでド派手にいこうのコーナー。まだ正月です(真顔)

「ロメオとジュリエット」はもう言わずもがなだと思いますが、「悲劇」といえば真っ先に上がるシェイクスピアの戯曲で、現代まで上映され続けていることはもちろん、クラシック作曲家によっても数多くインスパイアされた楽曲が生まれています。旧ロマノフ王朝時代の大家チャイコフスキーもその一人です。

チャイコフスキーは作曲家のステータスである交響曲、「1

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【効いた曲ノート】ジャン・シベリウス "ヴァイオリン協奏曲 ニ短調 作品47"

【効いた曲ノート】ジャン・シベリウス "ヴァイオリン協奏曲 ニ短調 作品47"

あけましておめでとうございます。旧年中はご愛顧頂きありがとうございました。本年も変わらず趣味を全開するぞ、ということで早くも正月をもてあましつつあるので最近聴いて良かったよの話です。



フィンランドの作曲家シベリウスのヴァイオリン協奏曲。北欧諸国の冬の昏さと厳しさ、その凍てつく空を舞う鷲のように自由で優雅な、それでいて気高い峻厳さをギラリと覗かせるヴァイオリンの旋律。そういった美しさが光りま

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