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My-Mythology〜新しく綴りあげる神話の世界〜

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2021年1月の記事一覧

『玉と石の神話3』
初めて王の子である双子に謁見した金剛は、そのあまりの美しさに息を飲んだ。と同時に、王と同じく、儚さに不安も覚えた。
「青、紅……御子たちをお護りするため、皆の力を貸して欲しい。今、他の教え子たちも呼び寄せているのだが……お主たちあの二人の行方を知らぬか?」

The Latest Mythology -vol.58-(note神話部週報)

The Latest Mythology -vol.58-(note神話部週報)

【今週の神話】吉田翠さん/貰い火の記憶と発火器の例え火のルーツを探ると2つの神話体系に遡る。炎の凶暴性、危険性を知っていたであろう古代人が神話に込めたメッセージを読み解く。



すーさん/~神話・民話の世界からコンニチハ~ 25 中国神話より、ひとりの巨人と天地開闢(てんちかいびゃく)中国にもあった!? 神話の巨人は天地を創造し、そして人の原型となる3人の神を産んだ。権威が目まぐるしく入れ替わ

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〘異聞・グリース5〙冥府を統べる三柱

〘異聞・グリース5〙冥府を統べる三柱

 
 
 
暗く冷たい地の底で
彼は冬を待っていた

やがて巡り
必ず戻って来る暖かい冬を

***

 秋も終わりを告げる頃。

「どうなさったのです? もうじき待ちわびておられた冬だと言うのに、そのように浮かないお顔をされて……」

 女が主に訊ねた。

 女の名はヘカテ。女神・アルテミスの従姉妹で、月と魔術を司る。

 漆黒の瞳に光を宿す男は、ヘカテの質問に顎に添えていた指を離し、艶やかな黒

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貰い火の記憶と発火器の例え

貰い火の記憶と発火器の例え

火山なのか落雷なのか。
人類は、間違えればあらゆるものを焼き尽くす危険極まりない、その出会った炎を利用しようと考えたらしい。
人が手に入れた火は、貰い火から始まったようだ。
それから何万年かの時を経て、自ら火を起こす方法を見つけたと言う。(今から数万年前)
火起こしは、摩擦か打撃なので、石を道具にする過程で発見したのだろうか。

火に対して人が畏れる気持ちを持っていたのは、火山や落雷の記憶、抗うこ

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『玉と石の神話2』
王に応じる条件として、金剛は己の信頼する者の招集を提示した。無論、王は快諾したが、真っ先に呼び寄せたかった二人の行方は掴めず、彼らを捜す為にも、金剛はサファイヤの青とルビーの紅を招集する事にした。
尊敬してやまない金剛からの招集に、二人は馳せ参じるのであった。

~神話・民話の世界からコンニチハ~ 25 中国神話より、ひとりの巨人と天地開闢(てんちかいびゃく)

~神話・民話の世界からコンニチハ~ 25 中国神話より、ひとりの巨人と天地開闢(てんちかいびゃく)

おはようございます。近ごろはだいぶ温かくなってきました。

第二十五回は! 中国神話から、世界で最初にお生まれになったただひとりの巨人、盤古(ばんこ)さまの死による世界の誕生、そして三皇の方々の顕現(けんげん)のお話&インタビューです。

今回のお話

その昔、卵の中身のように混沌とした状態から世界でただひとりの巨人の神、盤古さまがお生まれになったとき、天と地はとても近すぎて、盤古さまはとても窮屈

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The Latest Mythology -vol.57-(note神話部週報)

The Latest Mythology -vol.57-(note神話部週報)

【今週の神話】悠凛さん【土曜絵画de神話】〜闇月の女王〜・・・・〘異聞・グリース4〙冥月の女王ペルセフォネーの略奪と帰還、その裏で母デメテルと密談するのは冥界の月の神ヘカテだった。ハデスを中心にさまざまな女神の思惑が交差する。

・・・・玉と石の神話神話を粉飾する石そのものが神話になる。石にはいつの時代にも不思議な魅力があるものです。



成瀬川るるせさん/十王駅、十人の王の名を刻んだ柱。茨城

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語り部が捨てた神話

語り部が捨てた神話

※語の注釈の後述あり

語り部が捨てた神話 

その昔、この国に知られる神々は、実は血みどろの争いの果てにおわしたのだと、密かに伝えられていた。そしてそれを知る者も少なからずいたと言う。
神々をめぐる噂は、国家の一大事業である国書編纂に主要な役割りを果たすはずの人物、稗田一族の、その者の耳にも届いていた。

松尾山

青白い頬をした若者と、黒の装束を纏った者が山を見上げた。

「烏よ、ここか?」

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〘異聞・グリース4〙冥月の女王

〘異聞・グリース4〙冥月の女王

 
 
 
 冥府に於いて、ハデスとペルセフォネに次ぐ者──その名を『ヘカテ』と言う。

 月や闇を司ると言われ、同じく月と狩りを司るアルテミスとは、互いの母が姉妹の従姉妹同士。他にも、月と魔術、豊穣、幻や幽霊、夜と暗闇、浄めと贖罪、出産などを司るとも言われている。



 デメテルと向き合い、ヘカテの眼差しに変化はなかった。

「……何故(なにゆえ)、ペルセフォネを冥府になど連れて行ったのです

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『玉と石の神話』
いつの頃か、いずこの話か。
ある王の元に、得も言われぬ美しい双子が産まれた。
王は喜び、それ以上に心配にもなった。乳白色の肌、絹のような髪の子供たちは、美しくはあってもか弱く見える。
王は、強者と定評のある者を護衛として召し抱える事にした。
その名を金剛と言う。

火の揺らめきが届く範囲で生きたい【エッセイ】

火の揺らめきが届く範囲で生きたい【エッセイ】

ひと昔前のことだが、アロマセラピーにハマった時期がある。お気に入りのオイルはベルガモットとローズマリーだった。自分にとってはこの2つがまさに双璧で、作用なんかを調べては他のオイルを格上げしてみようと画策してみたのだが、体は正直なもので長続きしない。「理屈じゃねぇんだよ」と左大臣、「大人しく我らに従え」と右大臣。香りほど論理の通じない五感はないと思う。

アロマオイルの名はそっくりそのまま詩的言語に

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~神話・民話の世界からコンニチハ~ 24 エヌマ・エリシュより、古き神々と新しき神々の戦い

~神話・民話の世界からコンニチハ~ 24 エヌマ・エリシュより、古き神々と新しき神々の戦い

第二十四回は、前回に引き続き「エヌマ・エリシュ」から、夫アプスーさまを殺され、新世代の神々と対決せざるを得なくなったティアマトさまと、彼女に引導を渡すこととなったバビロニアの守護神、マルドゥクさまとの決戦のお話&インタビューです。

今回のお話

淡水の男神アプスーさまを倒した新世代の神、エアさまは、アプスーさまの体の上に自らの神殿をお造りになりました。そののち、エアさまと妃ダムキナさまとのあいだ

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