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レントよりゆったりと〔随想録〕

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2019年6月の記事一覧

朗読の日は雨

朗読の日は雨

詩の朗読をしようと思って、やめた。
雨音がうるさいからでなく、雨音の邪魔をしたくなかったからだ。自ずから然る音に、ただ聞き入っていたい気分になっていた。
雨について想うことは多い。梅雨生まれだし、雨男だし、何かと縁が深い。

人の意志や行動は、人が思っている以上に、天候に左右されているのではないか。晴れているから出かけるとか、雨だから家にいるとかいう、物理的な要因だけでなく、自然現象は人のもっと奥

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はじまりのスキ

はじまりのスキ

以前のように、一枚のCDアルバムを大切に執拗に聞くことが少なくなった。完全にデジタル化されて体積のなくなった音楽には傷がつかない。だから古いCDの傷は愛おしい。
今こうして手にしているスマホにも何百曲、何千曲のデータが詰め込まれている。飽きることないランダム再生。バロック音楽に厳粛な気持ちになった5分後には、SPEEDが流れてきてテンション上がって踊りたくなる。
(あれ、なんだろう? このInst

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ダヴ・ダディダディロ

ダヴ・ダディダディロ

暑い、乾燥、低気圧、雨、寒い、湿気、よく分からないけど花粉?…… 感官が壊れている。体調が悪かった。治らない2週間の風邪の次は胃腸炎。踏んだり蹴ったりだった。体調が悪い日が続くと絶望しがちだ。このまま体調が悪いまま一生過ごすのではないか、何も楽しめず、何も生み出せずに、死ぬことさえ通り越して腐乱していくのではないか、などと不安になった。ふだん絶望の1cm上を浮遊している僕にとって、絶望に陥ること

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雑記と悪口

雑記と悪口

スタンスとして自らの孤独を引き受けてきた。それゆえか、自らの孤独を引き受けることが人を愛することの出発点だと、長きに渡って豪語してきた。
しかし現実的には、物事はそう簡単にいかない。

人と孤独を埋め合いたくもなるし、恋だ愛だの言いながら寂しい自分を人様の声と体温で満たすことだってある。
舐め合っていた孤独がいつの間にか綺麗な結晶に変わって、愛と呼べる日もくるのではないかとも思う。

人生は哲学で

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