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熱狂という蜃気楼の所在地について
人生のほとんどを「エンタテインメント」もしくは「アート」と呼ばれるものに費やしてきた。ほぼすべての週末はライブ会場か劇場、そうでなければ静かな自宅で死んだように眠るという生活を送るようになって久しい。アイドルにバンド、シンガーソングライター、演劇、2.5次元、オペラ、バレエ、コンテンポラリーダンス、クラシック、古典芸能、歌謡ショー、お笑い、声優、ドラァグクイーン……どの舞台にもどんな役者やアーティ
もっとみる対岸で燃える炎は美しいか
劇場でダンスや芝居を観ながら、いつも心によぎることがある。
「この暗転のあとに世界のすべてが変わっているかもしれない」。
まさにそんな毎日だな、と思う。物語の展開の話ではない。この暗闇が明転したらそれまで見えていた何もかもが幻のように消え去っているのではという、うっすらとした恐怖と緊張のような何か。いま客席に座っている自分の肉体が胡蝶の夢でないという確証はない。
このところの一連の騒動と私生活の
真っ赤なジャムのことをいつも考えていた
※2017年のお正月に書いてそのまま下書きにしまいこんでいた、誰に向けたわけでもない長いポエムのようななにか。2004年12月26日の「JAM」が今夜日の目をみるということで、ちょっとひっぱりだしてみることにします。
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うるう年でない年に、今年は2月29日がないんだな、と思い出す人はどれだけいるだろうか。私たちは存在するものしか見つけることができない。不在のものを思い出すことは、とても難し
STARS ON ICE 2018@4/8 横浜アリーナ公演千秋楽
久々に生のフィギュアスケートを観に行けたのでざっと感想などの覚え書きを。ただのポエムです。
紀平梨花/Symphony
リンクに滑り出ただけでふっと真空になるような感じ。一挙手一投足を見ているだけでちょっと泣きそうになる清浄さ。
須崎海羽&木原龍一/Yuri on Ice
降り注ぐ音の粒が見えるようなスケート。動きのシンクロした瞬間に生まれるダイナミズムが海底の王国の叙事詩を眺めているみた
あなたとならば恋をしましょう
全てのライブが祝祭のようだった2016年を経て、九ヶ月ぶりのライブを久しぶりと云うのが果たして正しいのかどうなのか、未だに彼らが当たり前のようにそこにいる世界との距離感を掴みかねているわたくし、イエローモンキーと過ごす二度目の秋。しかもこのツアーはファンクラブ限定ライブ、さらにこの10月8日はボーカル吉井和哉氏の51歳のお誕生日ということで、それはまあフワフワソワソワとしながら滋賀は大津へと向かっ
もっとみる美しい希望の季節がすぐそこまで
二十代の後半をバラ色の日々にするためにあと数ヶ月でなんとかしようと決めたのだ。で、そうと決めたら呼びこまれたかのように過去にしまいこんだものがふいに出てきて、それを一つ一つ整理している毎日。生まれた瞬間から持ち合わせている問題はほかの誰が解決してくれるわけでもないから自分でどうにかするしかないのである。業の深さにうんざりして一日でも誰かに代わってもらいたくなることもあるけれども、こればっかりは仕方
もっとみるこの夜は誰のものでもない
THE YELLOW MONKEYの復活ライブに行ってきたのだった。とんでもないものを見てしまった、―というよりも「出くわしてしまった」。プライマルで幕が上がる瞬間に黄金色の熱風がぶわっと舞い上がって何千人、何万人の多幸感が一瞬にして満ちたあの感覚、忘れられない。
二週間が経ったいまでもバラ色の靄がかかったように頭の中が朦朧としている。何百回となくライブや舞台へ行っているけれど、次元が違う、
サランラップシティにて
戻った娑婆が混乱を極めており、全員が疲弊した血まみれの笑顔という感じの六月。昔はこの湿度の高さが嫌いだったけれど、いつの間にかそれにほっとするようになっている。今日みたいにすこし冷たくしっとりした日はジャスミンの夜という名の未亡人みたいな香水を少しだけ手首につけて、気を確かに保って、10cmのハイヒールで修羅の道を往く。
野性を失わずに生きたいなんて言う一方で、透明なビニールで全てが包まれていた