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髪を染めて、もっと遠くへ

5時間前に、髪を染めることを決意した。
12時間後には、ハイトーン頭になっている予定だ。

人生で一度も染めてこなかった黒髪。

私には、たぶん黒髪が一番似合う。
だから、今まで黒以外の選択肢は無かった。

でも、
「どれくらい私にふさわしいか」
「みんなに褒めてもらえるか」
「見栄えの印象が良いか」
そんなこと、今はすっかりどうだっていい。

これは、
皆に認められる私、
私自身に許される私、
一切の「私」と手を切る儀式なのだ。

ごめんね、私。
黒以外は似合わないからって、勝手にとりあげてごめん。
怒りたいときに我慢させてごめん。
泣きたい時に冗談言わせてごめん。
「ちゃんとしてください」じゃなくて、
「いつもありがとうございます」って言わせてごめん。
頑張ったことを無駄だと思わせてごめん。
ずっと窮屈なとこに閉じ込めててごめん。
ほかの誰かになろうとしてごめん。
いつも後回しにしてごめん。
大好きなGUERLAINの赤リップ、使えなくなってごめん。

ずっとずっと
離してあげなくてごめんね。
動けなかったよね。
痛かったよね。
だってあんなに泣いてたもんね。

まだ心が動くうちに

髪を明るく染めて、遠くへ。

もっと、

もう誰も届かない場所へ

誰も見たことない景色を、
一緒に見に征こう。



🦉


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