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長編小説 ロング・キャトル・ドライヴ

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連載小説   1890年代 アメリカを舞台に フェルディナンドとユーレク 少年二人の旅を描きます。
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2022年12月の記事一覧

ロング・キャトル・ドライヴ  第五部 連載1/4「絹の繭」

ロング・キャトル・ドライヴ  第五部 連載1/4「絹の繭」

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ここまでのあらすじ

第五部

冒頭より__

現在ではV・I・P御用達と名高い
マックスウェル・ハウス・ホテルには
南北戦争にまつわる悲しいエピソードが
人々の言い伝えによって残されている。

そのマックスウェル・ハウス・ホテルにて
ソフィアの話が
いよいよ佳境に差し掛かかろうとした
矢先のことである。

「少し一息つかせて頂けるかしら?」

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ロング・キャトル・ドライヴ  第四部 連載2/4「密談」

ロング・キャトル・ドライヴ  第四部 連載2/4「密談」

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これまでのあらすじ

「ねえ?ソフィア。今夜お見えになった
ヒューゴさんって面白い人だったね。」

姉のアレクサンドラに
アタシ(ソフィア)は
ヒューゴについての印象を訊かれてた。

父であるジェームズが招いてくる来訪者から
物珍しい眼差しで見られることは
当初は抵抗があったけれど
いつの間にか、
この環境に慣れてしまっていた。

ヒューゴは、は

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ロング・キャトル・ドライヴ  第四部 連載4/4「枯葉」

ロング・キャトル・ドライヴ  第四部 連載4/4「枯葉」

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これまでのあらすじ

アタシ達双子姉妹が社交界にデビューしてから
ほどなくして、縁談が殺到するようになる。

光は輝くほどに、影もまた濃くなる__ 。

アレクサンドラは後悔していた。
あの舞踏会で知り合ったジェイコブが
執拗に執着してくるのだ。

ジェイコブはたびたび家に訪れるのだが
アレクサンドラは関わるまいと居留守を使い
無視を決め込んでいた

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ロング・キャトル・ドライヴ  第四部 連載3/4「ワイン色の虚実」

ロング・キャトル・ドライヴ  第四部 連載3/4「ワイン色の虚実」

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これまでのあらすじ

その夜__
ヒューゴはいつものように
明るく屈託のない話で場を盛り上げていた。

母ヴァレリーとアタシたち姉妹は
いつもと変わりなく手料理を振る舞い
歓談に花を咲かせる。

ジェームズは地下にあるカーヴから
大切にしまってあった
自慢のコレクションの中の
ブルゴーニュ産のワインを開栓する。

「さあ!ヒューゴ君。今宵はとって

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ロング・キャトル・ドライヴ  第四部 連載1/4「巴里から来た男」

ロング・キャトル・ドライヴ  第四部 連載1/4「巴里から来た男」

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これまでのあらすじ

第四部

ソフィアの追憶から
新たに登場するひとりの哀れな若者__
ヒューゴの物語を語らねばならない。

彼の名はユーゴ・サン=シモン
アメリカの地ではヒューゴと呼ばれていた。

二十八歳の端正な顔立ちをしたパリジャンで
黒髪をした覇気のある若者だった。

1863年のある日__

ヒューゴはジェームズを訪ねてきた。

彼は

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