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詩集

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心のまゝに紡いだ言葉の断片 言の葉を磨き上げ羅列をして並べています。 詩のようなものをまとめています。
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2022年2月の記事一覧

詩 「告白の月夜」

詩 「告白の月夜」

〜°〜°〜°〜°〜°〜°〜°〜°〜°〜°〜°〜°〜°〜°〜°〜

その夜___
静寂の街並みの燈は
いつになく朧げに見えた
 
一羽の鵲が告げる
運命の人との出逢う水先案内と云ふ

内なる心は七夕の川に沿って
意識は遠のいてゆく__

白くぼんやりとした世界に目を凝らすと
乳のような脂油の球の一つひとつが
仄かな光を照らしていた

その不思議な光芒の世界では
母なる細胞が分裂を始める
そして産道

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詩 「砂のLove affair」

詩 「砂のLove affair」

〜°〜°〜°〜°〜°〜°〜°〜°〜°〜°〜°〜°〜°〜°〜°〜

一夜千夜の時を重ねた
あなたとの想い出は砂の城

脆く儚くその形を留め
風に晒されては
崩れ落ちそうになる

そのたびに
胸は締め付けられる

あなたとわたしを
繋ぎ止めているものは何?

この世に確かなものなんてない
そんなことは解っていたけれど

会えない時ほど
ふたりを隔てる砂嵐で
あなたの気持ちが見えなくなる

高い砂丘に登

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詩 「 FUJIYAMA blues 」

詩 「 FUJIYAMA blues 」

〜°〜°〜°〜°〜°〜°〜°〜°〜°〜°〜°〜°〜°〜°〜°〜

空色の遥か
ほのかに映る稜線は
空の青とのけじめを
忘れてしまったかのように

半透明のブルーを重ねて
淡く透き通り消えてしまいそうな姿を
雪の化粧でかろうじて
その輪郭を留めていた

努力が報われなかった時__
その無力感に打ちのめされ
自分自身の力不足に絶望する
 
心に渦巻く負のスパイラル
それは人である限り
感情がつきまとう

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詩 「恋文」

詩 「恋文」

〜°〜°〜°〜°〜°〜°〜°〜°〜°〜°〜°〜°〜°〜°〜°〜

それは初恋の人に似ている

君との便りを重ねる日々
恋文を書くたびに
逢えない切なさを募らせて
一文字ごとに心を込めていた

やがて再会の時は訪れる
久しぶりに逢う君は
以前より大人びていた

蹴上インクラインの夜桜の下
ふたりは佇む__

君は桜の美しさに見惚れて
いたずらに桜の枝を折って
僕に手渡した

その長く美しい髪に
花か

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