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2023年・こと始めに寄せて
2023年、年女となり、年始は5日から東京に戻って引越し準備に奔走しています。
昨年末の結婚で、戸籍地も東京から外れました。
これまで「嫌い」と公言して来た地元東京への愛しさが、ここに来て日に日に増していることは否めません。
思えば、数え切れない感謝の思いがこの都市には詰まっています。
ここで学び体験したこと、悩み苦しんだ思い、それらを一つずつ克服した喜び、そのすべてを身に蓄えて、新たな地へと踏み
「旅の鳥・*・第四部」
第5章 「迷い鳥」楽園の丘を離れ、数キロほど北へ飛んだところに、豊かに葉を茂らせたカシワの群生林が広がっていた。
ポーは沈んだ気持ちのままそこに辿り着くと、あちらの木、こちらの木と飛び移り、落ち着けそうな枝を探した。
そして気に入った枝が見つかると、しばらくの間じっと佇み、物思いにふけっていた。
そうしている内に、数日が過ぎて行った。
ある朝のこと、灰色の雲が空に垂れこめて薄暗く冷たい朝だ
「旅の鳥・*・第三部」
第4章 「楽園の丘で」海辺から北西へ飛び、「楽園」と呼ばれる小高い丘に辿り着くまで、半日もかからなかった。
初夏の天候に恵まれ、穏やかな風の日が続いていたし、ポーにとっては、翼に一番力が入る頃だったこともある。
緑豊かに生い茂るその丘が見えて来ると、たくさんの鳥の声も近くなり、そこが「楽園」と呼ばれる地だということが、すぐにわかった。
丘の斜面は、厚手の葉を四方へと伸ばすシダ植物で覆われてい
「旅の鳥・*・第二部」
第3章 「海辺の祝砲」その後、ポーは街を飛び回り、木が教えてくれたあの歌を忘れてしまわないように、繰り返し頭の中で歌い続けた。
歌いながら、街中にいろいろな色を発見して、「美しい光」や大切なものの意味について考えてみたが、考えれば考えるほど謎めいて、魔法の歌に思えて来た。
そして、街の木が言っていた「聞いてくれるものがいなくなったから」、「歌いたいという心を失ったから」という言葉を思い出すと、
「旅の鳥・*・第一部」
はじまり/命には、それぞれに生まれ持った固有の能力が備わっている。
例えば、息を吹けば飛んでしまうような米粒ほどの像を彫り上げる人がいたり、あるいは、たった一人きりで立派な聖堂を建ててしまう人がいたり、中には、流れる雲を見、空気のニオイを感じて先の天気が読める人もいれば、植物の声が聞こえる人、動物と話しが通じるような人もいる。
いかなる能力者も、当人たちにとっては、他の人にはない能力を自分なり
アートは何のためにある?
「アートは不要不急⁈」アートをテーマにした社会人勉強会に継続して参加していますが、今年はこんなキャッチコピーが目に飛び込んできました。
アートは何のためにある?という問いは、古今東西永遠のテーマです。
さまざまな角度から、それぞれの仮説や視座を得て、表現者は何かを磨き上げて表し、鑑賞者はその何かを味わいます。
近年の現代アート作品の中には、「何のために?」というコンセプチュアルな部分が武装的と言え
我々はどこに向かっているのか…
・ウェルビーイングを学ぶ理由 人生も半世紀の坂のてっぺんが見える辺りまでやってくると、紆余曲折、成功体験あり失敗や反省もあり、いつしか自分に搭載された「望遠鏡」と「ミクロスコープ」が同時に発動され、大局観と刹那感が共存する心理状態が当たり前のものとなりつつあります。
そして、一人で生きているという感覚は薄れ、いろいろな人の影響や力を受けながら、また自分もなにがしかを発しながら、つながり合って生き
「東京に生えていたアート」
自分には帰る田舎がない…。
両親の実家が東京だった私にとって、子ども時代、夏休みになると「地方に帰る田舎がない」ということに毎年ネガティヴなショックを感じていた。
社会人になり、一人で自由に旅が出来ることに喜びを感じて、夢中になって日本各地を訪れたが、原動力となったのはその頃のコンプレックスだ。
ある日、旅先の青森の温泉で偶然に同じ位の年齢の女性と話しをする機会を得た。
「東京からですか、東京