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エッセイ

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還暦デビューの小説家が、漫画家の娘たちとサイコパスの夫との日々を書き綴ります。
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記事一覧

アラン・ドロン

 そうか…。アランドロンさん亡くなったんだ…。胸の奥がチクリと痛む。
 世紀の二枚目、ハンサムの代名詞。私が若い頃は誰もが普通に会話の中で彼の名前を使っていた。
「アランドロンみたいなハンサムじゃあるまいし」とか「アランドロンの十分の一でもハンサムだったら性格悪くてもいいけど」などと。
 高校時代、友人が「私、先輩のA君が好きなんだ。アラン・ドロンも真っ青になるくらいハンサムなのよ」と言ったことを

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見せパンと見せないパンツ

「こんなパンツはいてる女、絶対モテない」
 我が家の洗濯係(上の娘)が、私のパンツを洗濯機から取り出しながらこうぬかした。
「モテなくていいもん」
 私は即答した。大丈夫。「万が一」の時は、なんとかごまかす。っていうか、もう万が一はないから!
 元銀座の高級クラブ「姫」のママであり、直木賞作家であり、有名作詞家(よこはま・たそがれ等多数)でもあった山口洋子さんが、パンツについて書いていらしたのを覚

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私の新刊『赤パンラプソディ』 今日発売!このけったいな小説についてのあれやこれや

 今日は私の新刊『赤パンラプソディ』の発売日である。
 新刊発売の日って、他の作家さんはどんなことを思うのだろう。聞いてみたい。
 私はというと、普段と全く変わらない。ただ、朝から心臓がずっとバクバクして食欲もなく、「快、不快」のどちらかと問われたら「快」ではなく、漠然とした不安も感じているので、漢方薬を飲んだくらいだ。
 この作品を書くきっかけは、担当編集者さんからの何気ない提案だった。
「桐衣

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「老い」の幸せ

「老いにはお金がかかります」
 樋口恵子さんがエッセイの中で書いていらした。本当にそう!
歯、耳、目。まずこの三大金食い虫が、貯金通帳を食い荒らすのだ。
 当たり前と言えば当たり前だが、だいたい「良いものは高い」のである。歯だって、補聴器だって、メガネだって、白内障の手術で使う「目のレンズ」だって良いものは高い。数十倍違ったりする。
 最近補聴器を買ったのだけれど、これに新刊の印税が飛んでしまった

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固定電話の想い出

 我が家に固定電話がなくなって久しいが、これと言ってなんの不自由もない。勧誘の電話くらいしかかかってこなかったし、友人達はスマホにかけてくる。固定電話をなくすことに少し躊躇していたのが不思議なくらいだ。
 子供でさえ自分専用の電話を持つようになった今、昔は一家に一台しか電話がなかったことを思い出すと、時代が変わったんだなあとしみじみ思う。一家に一台どころか、私が幼い頃は、電話がない家がほとんどだっ

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漫画原作のドラマ化について

『セクシー田中さん』問題に関する日テレの調査報告書が公表された。
原作者の芦原妃名子先生が急死なさった時、私も娘達(漫画家キリエ)も大きなショックを受け、今でもまだ胸の中に様々な思いがくすぶって消え残っている。
芦原先生の無念と孤独を思うと、漫画家の母として胸がえぐられるようである。
 娘達原作の『4分間のマリーゴールド』(小学館)がTBSでドラマ化され、私もこの作品をノベライズした経験を持つ身

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谷村新司さん、八代亜紀さん、鳥山明さん…

 去年あたりから、あまりに同年代の有名人の訃報が続いていて、そのたびにしばらく落ち込んでしまう。
 坂本龍一さん、伊集院静さん、谷村新司さん、もんたさん、KANさん、八代亜紀さん、鳥山明さん、TARAKOさん…。
 同じ時代を生きてきたというだけで、胸がふさがるのだ。この年代の方達は、日本が貧しい敗戦国からあっという間に立ち直って、世界に影響を与える経済大国にのし上がった激動の時代の生き証人である

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三浦翔平さんのこと

 私は「おっさんずラブリターンズ」を観るまで、三浦翔平さんという俳優さんを知らなかった。
 だからこのドラマが始まっても、三浦さん演じる菊之助に対して、正直興味がなかった。
 ところが…ところが……。ドラマが進むにつれて、三浦さんの演技力と魅力の虜になってしまったのである。
 私の偏見かもしれないが、正統派のイケメンというものは、なかなか「面白い」とか「笑える」とはならない気がする。何をやってもか

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美しく老いるってむずかしい!

○「美しく老いる」というのは、本当に難しい。
「時間は敵です」と言ったのは、確かカトリーヌ・ドヌーブだ。時間とか乾燥とかストレスとか、敵はたくさんいる。エステなど無縁の私は、いかに手間暇かけずに、大金も使わずに小綺麗でいられるか日々考えているのだが、まだこれと言った方法は見つかっていない。
「しわ、たるみ、老化全般」に効くマッサージなどないかしらとYouTubeをたまに検索するのだけど…。
「四十

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菊様のおかかおむすびの秘密

 あれがただのおかかおむすびだと思ったら大きな大きな間違いである。
和泉さんと二人で暮らしていた家のキッチンをよ〜く見て欲しい。カウンターに何があるか。若い人はきっと、それが何かわからないものがあるはずだ。
 細長い黒っぽいものは本物の鰹節、それもおそらく極上の「本枯れ節」という熟成させた鰹節だと思う。そして細長い木製の箱は鰹節削り器。その上カンナ刃調整用木槌まであるのだ!
 あのおかかおむすびは

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菊さま、顔が変わる

 菊さまの顔が変わることにお気づきだろうか。
 和泉さんといる時と、他の人といる時とでは顔が違うのだ。和泉さんといる時は、とにかく可愛い。しかもエロい。
 しかし、他の人といる時は、その可愛さとエロさは引っ込めているのだ。しかもそれは計算ではなく自然なのだ。恋をすると綺麗になるというが、まさにそういうこと。恋をすると、可愛くなる、綺麗になるということを菊さまが証明してくれたのだ。
 三浦翔平という

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きのう何食べた?

 私はおっさんずラブの大ファンで、いわゆる「OL民」なのだが、よしながふみさんの「きのう何食べた?」の大ファンでもある。
 もともと漫画が大好きだったのだが、ドラマも素晴らしく良くて、西島秀俊さんと内野聖陽さんのファンになった。
 私の年代だと、しろさんのお母さん役の梶芽衣子さんの若い頃のお姿をよく覚えているので、ちょっと不思議な気がする。すらりとした抜群のスタイルで、長いストレートヘア、そしても

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おっさんずラブ ロスとの戦い

 おっさんずラブが終わってしまったなんて信じない…。
日本中のOLファンはロスで辛い思いをしていることだろう。
 ロスを少しでも和らげるべく、毎日「点滴」と称して、仕事の前に好きなシーンを観ることに決めた。
 今日の一本目の点滴は「神社シーン」と「桜の花片が舞い散る中での春牧の幸せそうなシーン」「公安ズラブ、あんぱんキスシーン」。
 春田さん牧君、よかったね!菊さま可愛い!エロい! 和泉さんもうぽ

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おっさんずラブの最終回が素晴らし過ぎたので会社休みます

 最終回が素晴らし過ぎて、放心状態である。だから会社休みます(会社行ってないけど)
 観終わった後、余韻を胸にベッドに入ったのだが、朝までずっと菊さまと和泉さんと秋斗の夢を見ていた。残念なことに内容は全く覚えていない。悔しいかぎりである。
 それにしてもなんという完璧なラストだったことだろう。100%なんてものじゃない。300%だ。一人も取りこぼすことなく幸せにしてくれた。
 春田と牧は欠けること

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