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(2) 海外子女教育に今、何が起こってる?
「海外子女」という言葉は、40年前の法律論争を離れて独り歩きし、教育関係者でも、何が何だか分からなくなっています。
「海外子女」の概念は最初、① 義務教育年齢(小1~中3)の子どもで、② いずれは日本に帰ることを前提に保護者に帯同され、③ 1年以上滞在予定の者、と厳しく規定されました(『帰国子女教育の変容』を参照ください)。
しかし、その概念には、就学前の幼児や高校生は含まれていませんし、企業・団
(1) 言語習得のメカニズムと 学力偏差値
「海外子女」「TCK」というと、まず語学力のことに興味関心が寄せられるのですが、子どもたちは どうやって言語を身につけるのでしょうか?
別稿で『「継承語」を知ってますか?』を書いたのですけど、趣旨が上手く伝わらなかったようです。ここでは、教育の専門家ではない方のために、子どもの第二言語習得と成長年齢との関係について、簡単にお話しします。
言語習得の基本プロセス
零歳児(生後~初誕生くらい)の時
空にあこがれて 探究に遊ぶ
かつて マレーシアに住んでいた私たち家族は「水ロケット」に凝っていました。スーパー等では炭酸飲料を2リットル~4リットルのペットボトルで売っていて、日本では考えられない水ロケットが作れるのです。
ペットボトルの形も硬さも飲料メーカーによって異なりますから、組み合わせ次第で実に多様な形状をデザインできます。しかし、30年前のことです。日本で売っている「水ロケット」専用のキット等は入手できないので
「継承語」を知ってますか?
通常、生後数年間育つ間に習得した “家庭内の言語” は「母語(Mother Tongue)」と呼ばれ、その子の主軸言語です。つまり思考・感情の柱となる大事な言語なのです。
子どもの言語習得の段階から観ると、日常会話力(BICS)は 生まれた時から習得が始まりますが、学習言語力(CALP)は 6歳くらいから始まって、10歳くらいで日常会話力を越えていく段階になります。ちょうど小学4年生頃で、「読み・
失敗・災難から学ぶ知恵
海外生活が長かった皆さんには 「課題解決型学習(PBL)」や「アクティブ・ラーニング(AL)」は耳慣れない言葉かもしれませんが、新しい学習指導要領の基本にある学習観です。わが国では 2000年頃までの学習観が “知識や技術を教え込む” スタイルであったのを、“学習者が主体的に深く学ぶ” スタイルに変えようとしているのです。
知識伝達型から 不測の事態への対応力へ
かつての知識伝達型の教育では、
教師の「知的リーダーシップ」
最近は「双方向型学習」とか「アクティブ・ラーニング」、「学習者主体の学び」とかが 盛んに話題になっていますが、実は 1960年代にも この話題は盛んになったことがあります。
当時は「教師の知的リーダシップのあり方」などといわれて、大正時代に日本に紹介された「ドルトン・プラン」なども議論の的に…… 大学のゼミ演習などは その最たるもので、教授は毎週 学生の発表や報告をさせ、互いに議論させ、最後に教
笑う門には福来たる(災難に備える)
日本の正月の風物詩に、「三河万歳」があります。物事の繁栄を願い、めでたい文句をおどけて唱って舞うことで、ほんとうに幸せがやってくると信じられています。
起源は戦国時代の三河の国(現在の愛知県南部)で、当時は 戦に明け暮れていたうえ、毎年 水害にも襲われていました。「たいへんな災難に遭った時こそ、くじけない精神力や心のゆとりが 被害を最小に抑え、回復力を得る」という庶民の知恵が、この伝統芸能に込めら