【元教師】自分の子どもを運動好きに育てるとしたらどうするか?
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筆者は、自己研鑽、読書、運動、料理など存分に豊潤な時間を享受しています笑
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どうぞ、ごゆるりとお過ごしください。
共育LIBRARYりょーやん、元教師です。
人生100年時代。
100年間の人生設計には、絶対に不可欠なものがあります。
それは、
「健康」
です。
そして、健康を保つために必須なのが、
「運動」。
子どもの頃に運動をよく行っていた人は、大人になってからも運動する習慣がつくりやすく、体力の絶対値も高い傾向があります。
体力の絶対値が高ければ、仕事にも、プライベートにもエネルギーを注げる絶対値が上がり、人生の豊かさが増す。
つまり
子どもの頃に、
運動を好きにさせる経験
が非常に大切になってくるのです。
この記事では、
「どのようにして運動好きを育てるのか」
というテーマで、筆者なりの考えをお伝えできたらと思います。
「ゴールデンエイジ」
「感覚統合」
「足を速くする方法」
「コーディネーショントレーニング」
など、
教育者特有の様々な知見から解説していきますので、是非、最後までご覧ください。
ゴールデンエイジ
筆者は以前に、運動の効能について記事を作成しました。
運動は、健康だけではなく、学習、ストレス耐性、ADHD、依存症、女性ホルモンのバランス、認知症などにも効果があることが認められているという内容です。
もはや、やらない理由を見つけることの方が難しい運動。
その運動の素地は、一体いつまでに培われるのでしょうか。
それを表すのが「ゴールデンエイジ」の指標です。
5~8歳が「プレゴールデンエイジ」。
神経系が80%まで形成される時期。
様々な動きをもつ運動を経験させ、
「基本的な運動動作」
を身に付ける時期であるとも言えます。
そして、9~12歳が「ゴールデンエイジ」。
神経系がほぼ完成に至るため、技術の習得に最も適した時期と言えるのです。
加えて、「ポストゴールデンエイジ」もあります。
第二次成長期に入り、身体が大きく成長し始めるこの時期。
筋肉の発達が著しく、パワーやスピードが備わる時でもあります。
さらに、筆者が、もう1つ付け加えるならば、
0~4歳を「感覚形成期」とします。
感覚は全ての運動をコントロールする土台です。
3歳までに人間の脳は成人の約80%にまで達します。
感覚と脳はダイレクトにつながっているので、運動をコントロールする脳自体に、たっぷりと養分を与え、運動の基盤を構築する必要がある時期でしょう。
運動は「できる・できない」がはっきりと分かれる分野です。
今まで何人もの小学生を見てきましたが、
「運動ができる子」
の中に運動嫌いはいませんでした。
逆に、運動嫌いな子は、運動ができるようになってくると
「運動好き」
になっていく事例がたくさんありました。
つまり、「運動ができる」状態を知らず知らずの内に整えてあげることが、将来、「運動を通して豊かな人生をつくる」人間になりやすいとも言えるでしょう。
では、ここからは、具体的に何をしていくのかを解説していきます。
乳児期~幼児前期
0~3歳の乳児期~幼児前期は、人間の発達段階でクリアしていかなければならない動作を十二分に経験させる時期です。
具体的には、
あおむけ
うつ伏せ
寝返り
ずりばい
おすわり
ハイハイ
つかまり立ち
などなどです。
それぞれ1つ1つの動作に、今後の運動を支えることになる人間の身体を根本的に操作するための下積みとなる要素が散りばめられています。
例えば「ハイハイ」。
「ハイハイ」という動作を療育的観点から説明すると
▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢
①体の軸を安定させ
②少しのひねりの回旋運動をしながら
③手と膝で自分の体を支えて
④左右前後の重心運動をし
⑤1つのものを見ながら進んでいく
▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢
という内容になります。
つまり、ハイハイまでに体の軸をつくることが重要ですし、ハイハイを通して、回旋する動き、手首や膝・肩関節の発達、重心移動感覚、目と手の協応動作などが身に付いていくことが分かります。
このように、1つ1つの発達段階で必要なことをやり尽くさなければ次のステージに行けないというように人間はできているのです。
生後からの発達を詳しく解説する記事は、また別の形で書いていこうと思います。
目の運動に関してもそうです。
「ハイハイ」では、目標物を見ながら進んでいく必要があります。
ということは、目線を固定できる固定視、動きながらも視界のブレを補佐できる前庭動眼反射などの機能が育っている必要があります。
生後から
▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢
◆点としての追視
◆線としての追視
◆面としての追視
◆全方位追視
▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢
と眼球の動かし方を自然に促進してあげる必要があります。
刺激が少なすぎることなく、多すぎることなく、適度な発達を促す玩具を活用するとよいでしょう。
そのような方法は「モンテッソーリ教育」に詳しいので様々な方法を取り入れてみるのが効果的だと思います。
身体の発達、眼球運動の発達。
両者の発達経験を十分に積み、両方を同時に使いながら様々な運動や活動を行っていく中で、目と手の協調運動を身に付けていくことができるでしょう。
幼児後期
3~5歳の幼児後期は、多種多様な運動経験を積ませてあげる時期です。
「感覚統合」という療育の分野があります。
聴覚・前庭覚・固有覚・触覚・視覚。
5つの感覚をバランスよく育んでいかなければ、図のようにアンバランスに能力が積み上がるようになってしまいます。
最終的にボディイメージ、協調運動などの運動に極めて大切な能力にまでつながっていることが分かってもらえると思います。
ちなみに
固有覚とは、身体各部の位置や動き、力の入れ具合などを感じる感覚。
前庭覚は、重力や傾き、スピード、回転などの加速度を感じる感覚のことです。
これらの多種多様な感覚をどのようにして育んでいくのかを3つの観点から説明していきます。
▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢
❶親子体操
❷遊具
❸素足
❹コーディネーショントレーニング
❺柔軟運動
▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢
❶親子体操
親子での遊びというのは、
▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢
◆たかいたかい
◆ひこうき
◆ひざの上で遊ばせる
◆逆上がりの練習
▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢
などなどです。
「たかいたかい」「ひこうき」などは、非常に不安定な状態を楽しむ遊びになります。
この不安定さや傾きを味わう活動によって育まれるのが「前庭覚」。
高さ感覚やバランス感覚に慣れ親しんでおけば、様々な運動に対して恐怖感を抱かなくて済むようになります。
また、親が膝をお山の状態にして、
▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢
◆その上に乗せる
◆歩かせる
◆前転がりをさせる
◆後ろ転がりをさせる
▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢
なども、不安定さや回転する感覚の前庭覚を育む運動になりますし、
後々、前転や後転などの器械運動につながりやすくなります。
親と子どもが向かい合って手を握り親の体を使って行う
「逆上がりの練習」
もそうです。
回転感覚は前庭覚の育成。
そして、肘や肩、膝などの関節にグッと力を入れて逆上がりを行うのは、「固有覚」を育む運動となります。
鉄棒だけでなく、あらゆる運動動作に波及していくことになるでしょう。
❷遊具
遊具は、感覚を養う遊びのオンパレードです。
シーソー、ブランコ、滑り台などは、
斜め感覚、高さ感覚、重力を感じる感覚、スピード感覚などの「前庭覚」を鍛えるのにうってつけの遊具です。
また、
ジャングルジム、綱を使った壁上り、あらゆる形の遊具の上り下り、雲梯などは、
力の入れ具合や、身体の動き、関節の固定、ボディイメージなどを養う「固有覚」を育てる運動のオンパレードです。
定期的に公園に連れて行き、飽きるまで遊具に親しませる。
好きな遊具だけではなく、バランスよく多種多様な遊具を使って遊ぶように、親が誘導する。一緒に遊ぶ。
そのようにして、知らず知らずの内に、運動の素地をつくっていきます。
❸素足
これは、「足が速くなる」ための育成パーツです。
運動はどうしても足が速い方が有利な種目が多い。
逆に、足が速ければ、鬼ごっこ、スポーツ、体育の授業などあらゆる運動を積極的にやるようになり、結果的にまた身体能力が伸び、
「運動って楽しい」
につながっていきます。
その「足の速さ」の素地をつくるために必要なのが、
「土踏まず」
です。
筆者は、毎年のように経験値ゼロの小学生を2~3ヶ月トレーニングしただけで県内の駅伝大会で優勝させてしまう陸上指導者から「走る」運動について教えてもらったことがあります。
その指導者は、自身の子どもに
「なるべく素足かサンダルをはかせる機会を多くしている」
といいます。
実は、素足で砂場やフローリング、様々な感覚を味わう場所を歩かせることは「触覚」を育む上でも重要です。
そのような場所に慣れ親しむことで、「触覚の過敏性」が薄まっていき、あらゆる物事の好き嫌い、人との距離感覚などにも影響を及ぼすようになります。
❹コーディネーショントレーニング
コーディネーショントレーニングとは、身体を操作する力を高めるトレーニングです。
簡単に言うと、
▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢
定位能力・・・位置・状態・距離・間合い
反応能力・・・音・光・人の動きへの対応
連結能力・・・関節・筋肉の同調
識別能力・・・力加減・調整・精密な操作
リズム能力・・・タイミング・模倣
バランス能力・・・バランス
変換能力・・・運動の切り替え・判断・組み合わせ
▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢
といった内容です。
遊具のような遊び場を使って感覚を養うだけではなく、
前庭覚・固有覚・ボディイメージ・粗大運動・微細運動などなど、運動の土台となる部分の育成を図っていくトレーニングと言えるでしょう。
これも詳しく書くと盛り込み過ぎてしまうので、参考になるサイトや、豊富な運動例を紹介しているSNSを掲載しておきます。
❺柔軟運動
一度、体の可動域を広げておくと、例え体が硬くなっても、少し運動するだけで元の可動域にまで戻すことができます。
柔軟は、大人になってから可動域を広げるのはなかなか大変です。
よって、就学前に柔軟をしておくことはとてもよいと思います。
体が柔らかければ、運動時に、思うように身体を操作しやすくなりますし、大人になった時に、怪我をしにくい身体にすることができます。
柔軟は、
▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢
股関節の可動域
背筋(ブリッジ)の可動域
▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢
を主に広げておく。
すると、器械運動をする際に、あらゆる動きがやりやすくなります。
ここまで、楽しく、じっくりと感覚を養ってきたのならば、どのような運動に対しても、抵抗感なく、ある程度のレベルまではできてしまうだけの素地を、身体に植え付けることができたと言えるでしょう。
学童期~
ここまでで、運動するための素地を培ってきました。
ということは、ある程度は、どの種目の運動に対しても、楽しんで取り組み、たくさんの成功体験を積むことができるようになっているはずです。
学童期からは、子どもの興味の赴くままに運動をさせればよいと思います。
そして、その子どもが上達したいという姿に寄り添い、適切なサポートをしてあげるのです。
「逆上がりができるようになりたい」
と言えば、公園に一緒に行き、やり方のアドバイスや補助をして、できた瞬間を共に喜ぶ。
そのようなことを繰り返していけば、子どもは運動することを当たり前としますし、達成できるまでやり抜く人間に育っていきます。
後は、
「運動の習い事をやりたい」
と言えばさせるもよし。
ただ、環境を整えておくことは非常に大切だと思うので、親が楽しく運動している姿を見せて、
「一緒にやろう」
と声を掛けることは重要でしょう。
一緒に走り回る。
キャッチボールをする。
サッカーをする。
公園でバトミントンを行う。
登山に誘う。
あらゆる種類の運動を経験させ、子どもに「ハマる」スポーツを探してあげることも、是非、やってあげたいことです。
上達のためのアドバイス
子どもに上達のためのアドバイスをするために大切な視点は
▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢
スモールステップ
個別評定
▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢
の2つです。
筆者は、「長縄指導の日本ギネス記録タイトルホルダー」に体育について様々教えてもらいました。
その先生のクラスでは、長縄8の字跳びで3分間502回の記録が出ています。
しかも、全員小学1年生、です。
小学1年生が
バク転をしたり
鉄棒で大車輪をしたり
20mシャトルランで6年生の記録を破ったり
している姿を見て、教え方次第で人間は如何様にも変化するのだなということを目の当たりにしたことがあります。
その先生に教えてもらったのが、スモールステップと個別評定です。
鉄棒の「後方片膝掛け回転」であれば、
「前回り→足抜き回り→膝掛上がり→後方片膝掛け回転」と細分化する。
さらに、回転した角度を90点、120点などと点数化し、10度でも大きく回ったら、その成長を自覚できるようにする。
という工夫をあらゆる運動に応用していました。
筆者自身もその先生の指導法を試し、驚くような成果が出たので、効果には確信があります。
子どもへのアドバイスに困った時に、使ってみるのも1つの手かなと思います。
まとめ
小学5年生以降の高学年になってくると、親がしてあげられることは、サポートが中心になってくると思います。
子ども自身が、しっかりと自己をもっていて、好みも分かれてくる。
そうなると、親がよかれと思って提案し過ぎてしまうのは、かえってマイナスになる可能性があるでしょう。
やはり、まだ「運動が得意・不得意」という概念がない就学前までが勝負なのではと思います。
すると、小学校の体育の授業や休み時間で活躍でき、それを積み重ねていく内に、
「自分って運動得意かも」
という思いが生まれ、好んで、運動をする環境を選ぶことができるようになるでしょう。
その延長線上に、「運動によって人生を豊かにする」未来があるのではないかと思っています。
そして、最も子どもを運動好きにする方法は間違いなく
「親が運動を楽しんでいる姿を子どもに見せること」
です。
この記事の内容は、現段階での筆者の考えですので、教育について知見を深めていく内に新たな考えが生まれるかもしれません。
しかし、教育×療育の中の現在のベストな考えであることは間違いありませんので、何かの参考になれば幸いです。
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「コメント」も残してくださる有難いです!コメントを読んだ方々が、より教育についての知見が深めることができる図書館でありたいと思います。
いつもいつも、最後まで読んでくださり本当にありがとうございます!
明日の記事は
「怒り」はそもそも感情ではない!?メンタルを安定させるために必要な技術と思想
です。
アンガーマネジメント、認知行動療法など、様々な知見を織り交ぜながら、感情と上手に付き合う方法について解説していきます。
是非、楽しみにしていてください🎵
皆さんの今日・明日がよき1日でありますように😊
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