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【noteで学ぶ腸内細菌学90:日清食品が研究している『抜け毛を減らす細菌:乳酸菌N793株』について】

 こんにちは(o・ω・o)カエルです。
 超久しぶりに細菌関連のnote書きます。

Twitterを眺めていたら、珍しく『乳酸菌』がバズっていました。

 
 ハゲを治す乳酸菌を、日清食品グループが見付けた(研究中)だというのです。
 これは男女関係なく朗報の兆しですよね。
 研究内容のPDF(公式)はコチラ。


■抜け毛・薄毛問題には乳酸菌

本文より抜粋すると、

ラクチプランチバチルス プランタラム N793 (乳酸菌 N793 株) について
「ラクチプランチバチルス プランタラム」は、主に植物から分離される乳酸菌の一種であり、漬物やサプリメントなどの食品にも多く使用されています。
日清食品グループは、トウモロコシ由来の「乳酸菌 N793 株」について、 毛髪の成長に必要な毛乳頭細胞を活性化させること、さらに毛髪の元となる毛母細胞の分裂を促すケラチノサイト増殖因子の産生を促進させることを、細胞実験によって明らかにしました。

 研究では、トウモロコシ由来の乳酸菌『乳酸菌N793株』を用いたローションを頭皮に塗布することで、頭髪の問題点を改善できたとしています。

 改善項目としては、

・毛髪密度
・抜け毛本数
・毛のハリ/コシ
・毛のボリューム(毛の太さと考えられる)

日清食品グループの研究内容より

 以下本文より抜粋

薄毛に悩む日本人の男女 12 名を対象として、「乳酸菌 N793 株を含むローション 3ml」を 24週間、1 日 1 回頭皮へ塗布していただきました。
その結果、ローションの塗布前に比べて毛髪密度が統計学的に有意に上昇しました (図 1)。また、洗髪時の抜け毛本数評価についても、塗布前と比べて抜け毛本数が統計学的に有意に減少しました (図 2)。さらに、薄毛の主観を評価するアンケートにおいても、塗布前と比べて、毛のハリ・コシや、髪のボリュームの改善が認められました (図 3)。

 研究の対象人数は12人と、サンプル数としては決して多いと言えませんが、被験者の悩みである頭髪の薄さ、太さ、状態、そして抜け毛。これら全ての項目で改善が見られたというのは驚きです。
 
 さらに、104名を2グループに分けた別の研究では、『乳酸菌N793株』を含むローションと含まないローションを頭皮に塗布し24週間での差異を分析。
 その結果、全被験者104名のうち、毛乳頭細胞が少ないことが推測される18名を除いた被験者86名の内、『乳酸菌N793株』を含むローションを塗布した43名の被験者はそうでないグループと比較し毛髪密度が改善。
『乳酸菌N793株』の毛髪への良い影響が確認されたのです。

 ただし、毛乳頭細胞に問題があると『乳酸菌N793株』も効果が現れない可能性も示唆されました。

■毛乳頭細胞とは
毛乳頭に存在する細胞で、育毛促進因子であるFGF-7を産生したり、ヘアサイクルを正常に保つ働きをしています。この毛乳頭細胞が増えると毛髪が太く成長します。

デミコスメティクス


 つまり、『乳酸菌N793株』は薄毛の万能薬ではないけれど、多くの人の毛髪の悩みを解決する可能性を持っている。
 
ということになります。

(蛙・ω・)<無いより有ったほうが絶対に良さそう。

■「ラクチプランチバチルス プランタラム N793 (乳酸菌 N793 株)」

 そう言えば、私は以前この細菌について紹介したことがありました。

【noteで学ぶ腸内細菌学68:「ラクチプランチバチルス・プランタラム」を学ぶ】|虫圭(o・ω・)カエル

 主に植物由来の発酵物(発酵食品)に含まれている細菌で、[日本の漬物・韓国のキムチ・ドイツのザワークラウトなど]から分離される細菌です。
 今回の『N793株』はトウモロコシ由来ですから、漬物に含まれるものとは異なりますが、今回の研究を機にトウモロコシの発酵食品やN793株を含むサプリメントなどが開発されることは想像に難くありません。
 また、そもそも「ラクチプランチバチルス・プランタラム」には乳酸菌としてのメリットが多くあります。

■「ラクチプランチバチルス・プランタラム」の主なメリット
・腸内細菌を増やす
⇒ビフィズス菌を増殖させる効果が日本の実験で認められた
・美肌効果
⇒同実験において「顔の目立つ毛穴が減少した」と報告
・整腸作用(リーキーガットを治す
・免疫力の向上作用
・アレルギー症状の予防・緩和・軽減作用
・メンタルヘルス(うつ病)の改善(リーキーガット改善に由来)
・集中力向上、脳機能の向上(リーキーガット改善に由来)
・大腸菌O-157の腸管付着を抑制

 頭皮や肌のトラブルにも腸内細菌が大きく関与していることは研究により既に解っていることですし、

【noteで学ぶ腸内細菌学74番外篇:「ニキビ」は腸内細菌 "不良" のサイン】

N793株の研究が進めば、頭髪だけでなく皮膚全般やアレルギー症状(花粉症なども含む)に対する特効薬のようなものが生まれるかもしれません。


(蛙・ω・)<これは期待が高まる。


■日清食品グループという『細菌研究』の大家

 そもそも「なぜ日清食品が " 薄毛 " や " 乳酸菌 " の研究を?」と疑問に思った方もいるかもしれません。
 
 日清と言えば「麺」とか「油」とかのイメージが強いように思います。
 が、しかし。

 乳酸菌飲料でおなじみの「ピルクル」は日清食品グループの一つ『日清ヨーク』の商品であり、日清ヨークは日本で初めて飲むヨーグルトを販売した会社でもあります。

 今回の『乳酸菌N793株』も日清食品グループが保有する乳酸菌研究所であるグローバルイノベーション研究センターが研究・発表したものです。

 毛髪・頭皮研究に関しては2019年より研究をスターさせたとしています。

 50年以上、乳酸菌に関する研究をしてきた日清食品グループだからこそ、今回の研究結果に至った訳ですね。

 
■ちなみに

 乳酸菌飲料と言えばヤクルトも代表的ですが、ヤクルトが保有するヤクルト中央研究所は1955年に設立されており、ヤクルトの創設者である代田 稔博士がヤクルトの乳酸菌の代表格である『L. カゼイ・シロタ株』の培養に成功したのは1930年ですから、こちらも乳酸菌研究では90年以上の実績があります。
 
 こうした乳酸菌、引いては食品の研究が行われているからこそ、日本の食事は豊かで「世界一美味しい」と評価されるのでしょう。


(蛙・ω・)<日本の食文化ってやっぱすげーわ。


 そんなこんなで今回は『抜け毛を減らす細菌:乳酸菌N793株』の日清食品グループの研究について紹介してみました。
 
 皆様の腸内細菌ライフがより豊かになることを願っております。

(蛙・ω・)<みんな、乳酸菌・発酵食品・きのこ類・野菜を食べよう!

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