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クロミミ(黒見千 くろみゆき)
2021年8月9日 16:55
*** 座っているのにそれより深く、落ちて行くような感覚だった。わたしを支えるものが消えてしまった。 図書室はいつも静かだ。わたしの知る人は、誰も来ない。だからここにいる。いつだってそうだった。わたしの中では人恋しさと孤独への欲求が並び立っている。誰にも必要とされていないから。窓から見下ろすと、遥か下に空虚な校庭が広がっている。その空白さえもが胸をざわつかせた。顔を上げると、微かに海の端
2021年8月1日 12:57
どうも。クロミミです。さてこのまとめ記事もとうとう三回目。先日19回目の更新をいたしました連載小説「海のなか」。てか、更新のたびに文字数の違いエグくてごめんなさい。特に多くなってしまった時は、気がついたら6000字近かった。だって話の区切りがなかったんだもんよ。出来るだけ1500から2000をひとつの回として更新したいものよと思っておる次第。 キャラクター解説については前回のまとめ2で
2021年7月27日 19:35
*** 教室を出るとともに、また俺は囚われてしまった。 あの問題。未来という問題。 考えたくないと思えば思うほど逃れられなくなる。泥濘に足を取られ、はまり込んでゆく。もう誰のせいにもできない。逃げていた俺が悪い。空っぽな俺が。別に逃げ続けられるとたかを括っていたわけじゃない。何も考えていなかった。ただ、それだけ。 これからどうするのか。どうすべきか。どうなるのか。 もし問いかけたな
2021年7月22日 17:52
※※※ こういうことは苦手だ。俺は再確認する様に噛み締めた。我ながら、とことん裏方気質というか。こういうことはきっと佐々木なんかに向いているに違いない。けれど、悔いてももう遅い。断りきれなかった俺が悪い。クラスメイトに少し抜けると伝えたら、この看板を押し付けられてしまった。「ホットドッグ〜、ホットドッグはいかがですか〜2年B組のホットドッグ。中央広場にてやってまーす」 お決まりの台詞を口
2021年7月9日 18:30
※※※ 「だめ、サヤ。まだ目は伏せてて!マスカラ失敗する」 愛花がピシャリと言った。我ながら私も往生際が悪い。ここに座ってからもう、15分は経っている。愛花はなおも腰をかがめてマスカラを塗り重ねていた。メガネをとったせいで、全てが霞かかって見える。 ああ。らしくないことをしている。 まだ、わたしの身体の内では不安に心臓が暴れていた。「ねえ、もう良くない?ほら、この後シフト入ってるしさ