記事一覧
ある週末サーファーの記録043 オーシャンシティ 3
自宅に戻り、あらためてリサーチを始めた。ワシントンから一番近いメリーランドとデラウェアの両州はやはりサーフィンは厳しそうだった。単調な海岸線でブレイクの起点に欠けるからか、サーフィン情報は極めて乏しかった。相当な好条件でなければ良い波は立たないのだろう。
そんな中、サーフィンガイドブックのThe Worldstormrider Guideをあらためてめくっていると、特にマイナーなポイントが掲
ある週末サーファーの記録042 オーシャンシティ 2
オーシャンシティはその名のとおり、海辺の町である。ビーチ沿いには幅20mほどの木製のボードウォークが海岸と並行に数キロ敷かれており、その脇にはレストラン、アイスクリームやポップコーンを売る店、レンタルサイクル、衣料品店などが立ち並ぶ。大きな観覧車が目を引く立派な遊園地まである。いずれも冬季は休業中だが夏はさぞや賑わうのだろう。地元の住民は冬でもボードウォーク上のウォーキングやジョギングに熱心だ。
もっとみるある週末サーファーの記録041 オーシャンシティ 1
2021年、私はアメリカ東海岸に移り住んだ。それは、私の週末サーフィンの危機だった。
アメリカは言わずもがなサーフィンの本場である。ただ、ハワイと西海岸には世界的なポイントがいくつもあるが、東海岸はその長大な海岸線のわりに、メジャーなポイントはほとんどない。南部フロリダ州などにはブレイクがあるが、私が住む予定の場所からは数千キロは離れていたため、無関係だった。
仕事の都合での引越しだった
ある週末サーファーの記録040 オカンダ 4 完
オカンダには3日間通った。トゥクトゥクの彼は翌朝も5時にいつもの乗り場で私を待ってくれていた。「家族を食わせるため」にトゥクトゥクのドライバーをしているという彼にとって私はまあまあの上客だったのだろう。
オカンダに到着後「アルガンベイに戻って、後で迎えに来てくれれば良いよ」と私は彼に言ったが、1時間以上かけてオカンダとアルガンベイを往復しても利はないと思ったのだろう。私が波乗りを終えて海から
ある週末サーファーの記録039 オカンダ 3
私の滞在中、アルガンベイのメインポイントにはいつも素晴らしい波があったが、そこでのサーフィンはどこか落ち着かない、自分の居場所が見つからない、そんな感じだった。暴力が生まれる雰囲気は海上でも感じられた。
幸い、今回のスリランカ・ツアーのパッケージに、現地サーフツアー1回無料という特典が含まれていた。メインポイント以外の場所で波に乗れるのはありがたかった。
そのツアーで連れて行ってもらった
ある週末サーファーの記録038 オカンダ 2
早朝サーフィンを終えてホテルにチェックイン。午後まで仮眠を取った。熱帯のうだるような暑さが幾分和らいできた夕方近くになって、あらためてアルガンベイのメインポイントに入る。朝と変わらず良い波だったが、かなりの混雑だった。ローカルサーファーや海外からのサーファーが混在し、エキスパートから初心者まで沖から岸沿いまで満遍なく海上が埋められる。アウトに行ってもインサイドに来てものびのびと波乗りするスペース
もっとみるある週末サーファーの記録037 オカンダ 1
スリランカの東海岸、アルガンベイ(Arugam Bay)に約1週間のサーフトリップに出かけたのは2012年の夏だった。そこは坂口憲二さんのテレビシリーズの「この夏は忘れない」の最後の目的地だった。強烈な日差しを受けた色鮮やかなビーチの映像が印象的だった。
このときのトリップはツアーを利用した。飛行機、空港ービーチ間の送迎、ホテルがパッケージになっているものだった。飛行機が到着する首都コロンボ
ある週末サーファーの記録036 ザ・パス 4 完
そのたかだか1回のターンは、私のサーフィン人生、いや人生の中でも忘れられない瞬間になった。
波、場所、天気、体調、ボード、目標、全てのピースがピタリとはまり、イメージしていたとおりのサーフィンができた感覚だった。あのときのザ・パスの波は、あのときの私にとって最高の波だった。1週間の滞在で自分にとっての最高の波に巡り会えた私は実に幸運だったということだろう。自分にとっての「良い波」に出会えるこ
ある週末サーファーの記録035 ザ・パス 3
早朝ホテルを出る。車を駐車場に停めて、右奥の岩場近くのエントリーポイントまで砂浜を歩いていく。一歩ごとに「キュ」、「キュ」と甲高い音が鳴る。不純物が混じっていない「鳴き砂」の上を歩くのはなんとなく気分が良かった。軽くストレッチをした後、岩場手前から透き通った水に入っていく。朝でも海パンとラッシュガードでちょうど良い。
ザ・パスの波はそれまで見たことのない種類の波だった。通常波は最初に割れると
ある週末サーファーの記録034 ザ・パス 2
クーランガッタから車で1時間弱。バイロン・ベイに到着した。バイロン・ベイにはオーストラリア大陸最東端の岬がある。その岬を先端にして陸地は北向きの緩やかな弧を描く。ただ、「湾」という割には外洋に向かって開け過ぎている気もする。
海辺に面したその小さな町はガイドブックではヒッピータウンだと紹介されていたが、ウィンドウのあるオシャレな店が屋根付きの歩道に沿って並んでおり、いかにも買い物好きが喜びそ
ある週末サーファーの記録033 ザ・パス 1
サーフトリップで海外に行く場合、今どこそこの波が良いからといって、その場で航空券を買うような経済的、時間的余裕は私にはない。当然、ある程度事前に計画を立てるわけだが、トリップに行ける日程、すわなち、まとまった休みが先に決まって、その1週間なりに波がありそうな場所を選ぶことがほとんどだ。
長期の気象予報を含めいろいろと情報収集はするが、やはり1週間程度の滞在中に良い波を当てるのは至難の業ともい
ある週末サーファーの記録032 レンボンガン島 5 完
「ショートトリップに行こう」
どちらから言い出したかは覚えていないが、次の目的地は新島だった。2019年6月頃のことだ。日本国内にもポイントは多々ある。四国、宮崎、種子島、東北。いくつかは行ったが、まだ行っていないところがたくさんある。新島もいつか行ってみたいと思っていた。コウスケも同じ考えだった。
調布飛行場の小さなカウンターでチェックインをする。小型の飛行機なので荷物に加えて自分の体重
ある週末サーファーの記録031 レンボンガン島 4
翌朝、ガイドのお兄さんがハイエースでホテルにやってきた。プーケット島で今日一番コンディションの良いポイントに連れて行ってくれるという。島に到着して2日ほぼノーサーフだ。今日は乗らないと、と気合いが入る。
ホテルを出発して約30分、カタ・ビーチから北に20km、目的の「カマラ・ビーチ(Kamala Beach)」に着いた。海を見る。
「・・・」
暫し沈黙。コウスケと顔を見合わせた後、ガ
ある週末サーファーの記録030 レンボンガン島 3
レンボンガンからの帰国時、当初思い描いていたような見違えるほどの上達にはほど遠かったが、それでも私もコウスケもパドル力はかなり付いて、少しくらいの大きな波にも怯まなくなっていた。これは大きな成長だった。と、自分たちには言い聞かせていた。
コウスケから「実は良い波がある穴場らしい、行かないか?」と次の海外サーフトリップに誘われたのは2012年頃だった。タイのプーケット島だという。有名なリゾート
ある週末サーファーの記録029 レンボンガン島 2
しかし、なかなかうまくいかないのがサーフトリップであり、サーフィンだ。
まず、レンボンガン島のポイントは、珊瑚礁や岩の上で波が割れるいわゆるリーフブレイクだ。このため、波乗りができる潮周りが限られていた。すなわち、満潮時には波が割れないし、干潮時には浅過ぎるということが多々あった。ある朝、「プレイグラウンズ(Playgrounds)」という宿の近くのブレイクにそれなりに良い波が見えてコウスケ
ある週末サーファーの記録028 レンボンガン島 1
コウスケと初めて会ったのは大学の入学式だから、もう四半世紀以上の付き合いになる。私がメキシコで波乗りにハマって帰国してから、一緒に御宿や大洗に行った。どちらかといえば、クールな男だ。初めてのサーフィンで何かしら劇的な反応があった訳ではなかったと思うが、その後20年以上、いまだに海に通っていることからも、それは彼のライフスタイルを変える出来事だったんだろう。
2005年、就職直前の1か月間私た