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日本に来る難民と入管行政の問題点:まとめ

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#難民

柳瀬房子参考人の認定率は全平均の7分の1でした→誤りがありました。2分の1でした。

柳瀬房子参考人の認定率は全平均の7分の1でした→誤りがありました。2分の1でした。

2021年4月21日、衆議院法務委員会で参考人としてお話された柳瀬房子さんは、以下のとおりお話をされました。

参与員制度が始まったのは2005年からですので、私は既に約17年、参与員の任にあります。その間に担当した案件は2000件以上になりますが、一次審の難民調査官による結論を覆し、難民と認定すべきと判断したのは6件です。

2000件中6件ということは、認定率0.3%です。

他方、2005年

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「私は前から歯が痛い。でもギリギリ我慢ができなくなるまで歯医者には行かない。それでも私は前から虫歯だ」〜英国難民認定官の言葉

「私は前から歯が痛い。でもギリギリ我慢ができなくなるまで歯医者には行かない。それでも私は前から虫歯だ」〜英国難民認定官の言葉

歯医者になかなか行かなくても前から虫歯だ5年半くらい前(2016年11月)にイギリスとニュージーランドの難民認定業務に携わる認定官のお話を聞く機会がありました。

そこで、聞いた印象的な言葉が、タイトルに引用したものです。

「私は前から歯が痛い。ずっと妻には歯医者に行けと言われ続けている。でもギリギリ我慢ができなくなるまで歯医者には行かない。それでも私は前から虫歯だ」

これは、難民申請が遅れた

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収容するけど外に出さない、上限がないので無期限長期収容が生じるのは当たり前

収容するけど外に出さない、上限がないので無期限長期収容が生じるのは当たり前

2021年5月9日のChoose Life Projectで、現在の改悪法が出るに至った経緯として2016年の通達が挙げられていました。

通達等の現物を交えて、もう少し詳しく流れを説明します。以下の難民支援協会がまとめてくれた資料を参考にさせてもらいました。ありがとうございました。

2015年 9月 18日退去強制令書により収容する者の仮放免措置に係る運用と動静監視について(通達)
ここでは、

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オリンピック目前の日本で、出入国管理法が変えられようとしている〜改正か改悪か〜

オリンピック目前の日本で、出入国管理法が変えられようとしている〜改正か改悪か〜

国会で、入管法改正案の審議が続いています。

もともとあった入管法(正式名称は「出入国管理及び難民認定法」)を改正しようという法案ですが、本日5月8日には、強行採決される可能性もあるということです。

しかし、反対を訴える市民や専門家の動きが加速しています。

国会の前で先週、高校生たちが抗議活動をしました。
顔を出して記者会見で訴える仮放免の人たちや、何度も声明を出してきた弁護士さんたちがいます

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入管収容施設での死亡事件と医療の実態

入管収容施設での死亡事件と医療の実態

1. はじめに 2021年3月6日、名古屋出入国在留管理局に収容されていた30代のスリランカ人女性が死亡する事件が発生しました。出入国在留管理庁は死亡の経緯などの調査を進めていて、『中間報告』を発表しましたが、女性の死因はいまだ究明されていません。今回の記事では、これまで幾度もなく繰り返されてきた、入管収容施設内での死亡事件を振り返りながら、入管収容における医療の実態を探ります。

2.入管収容施

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「難民認定には裁量がある」というのが誤りであることを痛風に置き換えて考えてみた

「難民認定には裁量がある」というのが誤りであることを痛風に置き換えて考えてみた

日本の難民認定率が余りに低くて、きちんと保護すべき保護されていないということを言うと、いや、それは裁量があるのだからと言われることがしばしばあります。

なので、それは誤りであることをできるだけわかりやすく書いておこうと思いました。最初の部分は固くてわかりにくいので、できれば最後まで読んでみて下さい。

政府・国連の見解平成27年2月26日付中西健治議員による「難民認定申請に関する質問趣意書」で、

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入管施設の医療の問題~名古屋入管で亡くなったWさんの中間報告・その他資料~

名古屋入管で3/6にWさんが亡くなった事件について、マスコミにも多く取り上げられています。

私は福祉施設の職員だったこともあり、非常に遺憾に思います。なによりその対応の記録から「命を守る」という気持ちが全く見られないのが残念で、悲しいです。以下に、Wさんの件とこれまでの入管施設の医療の問題を簡単にまとめます。

Wさんの中間報告入管側が出した「中間報告」(の一部)はこちらのようです。(「公表」し

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何をいまさら→国連特別報告者らの共同書簡に対する日本政府抗議について

何をいまさら→国連特別報告者らの共同書簡に対する日本政府抗議について

2021年3月31日付で、国連の特別報告者らが政府の提出した入管法案に、ダメ出しをしました。

これに対して、日本政府が以下のような抗議をしたとのこと。

 改正法案について,事前に御説明する機会があれば,こうした立案の背景,法案の内容,その適正性について,正確に理解していただくことができたものと考えています。
 今回,「移民の人権」の特別報告者などが,我が国から事前の説明を受けずに,本書簡におい

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人権大国ニッポン(?)で救急車にも乗せてもらえない人がいる-東京入国管理局から。

人権大国ニッポン(?)で救急車にも乗せてもらえない人がいる-東京入国管理局から。

 「助けて。どうしたらいいか、もうわからないの・・・」
日付が変わろうとしていた頃、電話口の友人の声は震えていました。 

 東京・品川で、まさにいま、緊急搬送が必要な患者を救急車に乗せることを、入国管理局に拒まれてしまう状況が、何時間も続いています。

 入管の前にいるクルド人の友人たち・そのご家族からの連絡で知りました。

「どうしたらいい?旦那は、朝まで生きられないかもしれない...」

 

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「不法滞在者は犯罪者」という言説―”不法”の原因は厳しすぎる制度

最近の入管法改正に関するトピックが多くなるにつれて、ニュースのヤフコメやTwitter等の投稿で、「不法滞在者は、不法に入国・在留している時点で犯罪者なので、国外追放するべき」といった意見が散見されます。

中でも、現在入管法の改正で問題にされている(収容中で送還忌避している人と仮放免の人の合計)3,000人くらいといわれる「送還忌避者」のことは特に注目を集めているところだと思います。

参考)出

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