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日本に来る難民と入管行政の問題点:まとめ

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仮放免中の動静監視に明文根拠なし

仮放免中の動静監視に明文根拠なし

安田菜津紀さんの記事でコメントを紹介してもらいましたので、標題の点を少し詳しく。

黒塗りの「仮放免指示」には仮放免中の方の動静監視にかかる記載があるようですが、真っ黒に塗られています。

この件、不開示処分の取消訴訟を起こしましたが、地裁では敗訴。現在控訴中で、7月12日に控訴審第1回期日が予定されています。

遅まきながら、この訴訟中に気づいたのですが、仮放免中の動静監視ができる、明文の規定は

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かつて法務省入国参事官が外国人は「煮て食おうが焼いて食おうが自由」と述べたというのは本当です。

かつて法務省入国参事官が外国人は「煮て食おうが焼いて食おうが自由」と述べたというのは本当です。

こういうフレーズをたまに見かけられることもあると思います。

いくら何でも法務省の責任ある立場にいる人がそんなこと言わないだろう、盛っているのではないかと疑問に思い、大分前に確かめました。

1965年、法務省入国参事官であった池上努の著書「法的地位200の質問」です。

167頁「第160問」の回答に(外国人は)「煮て食おうが焼いて食おうが自由」と本当に書いてあります。

私は弁護士会の図書館に

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本当の勝負は、これから。

本当の勝負は、これから。

呼びかけ人10名、賛同者303名をご覧になりたければ、以下からどうぞ。

入管法改悪法案の廃案を受けて
2021年5月21日
入管法改悪に反対する全国の弁護士有志一同
私たち弁護士有志は、本年5月13日、入管法改悪法案に対し「廃案一択。」 という意見を表明しました。その後5月18日、入管法改悪法案の今国会での成 立が見送ら

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カメルーン人男性 I'm dying!が一言も書かれていない最終報告書と「異常無し」とされた動静日誌

カメルーン人男性 I'm dying!が一言も書かれていない最終報告書と「異常無し」とされた動静日誌

2021年5月17日、Choose Life Projectに出させて頂きました。カメルーン人男性のビデオも紹介していただきました。こちらの48分ころ。

そこで安田菜津紀さんが言及してくださったのが、こちらの動静日誌です。

あれだけ大声でI'm Dyingと言い続けているのに(公開ビデオではごく一部ですが、続いています)、異常の有無欄に「有」とあるのはたった1箇所。声については言及無し。

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後で恥かくよ→ウィシュマさんビデオを出せない3つの理由があまりにもお粗末な件

後で恥かくよ→ウィシュマさんビデオを出せない3つの理由があまりにもお粗末な件

2021年5月12日、衆議院法務委員会で上川陽子法務大臣は、立憲民主党

稲富修二議員の質問に対して、ウィシュマさんのビデオを開示できない理由として以下の3つを挙げました。

①保安上の理由

②ご本人の名誉・尊厳

③調査チームに入っている現・元視察委員の調査が適正にできなくなる可能性がある。

①保安上の理由これについては、既にnoteで述べました。全く理由になりませんし、失礼千万です。

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「締約国はまた、関連するものを開示すべきである。国は被害者の近親者へ調査に関する詳細を開示すべき」とする規約人権委員会一般的意見36パラグラフ28

「締約国はまた、関連するものを開示すべきである。国は被害者の近親者へ調査に関する詳細を開示すべき」とする規約人権委員会一般的意見36パラグラフ28

今朝、申惠丰先生のTwitter、FBで教えて頂きました。

原文はこちら。

https://t.co/8yK85WSfQ2?amp=1

関連するパラグラフ28だけ訳してみました。ここでも、国は国際法違反をしているのでした。

規約人権委員会一般的意見36パラグラフ2828. 第6条の違反の申し立ての調査は、常に独立していなければならず、公平、迅速、徹底的、効果的で、信頼でき、透明でなければな

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柳瀬房子参考人の認定率は全平均の7分の1でした→誤りがありました。2分の1でした。

柳瀬房子参考人の認定率は全平均の7分の1でした→誤りがありました。2分の1でした。

2021年4月21日、衆議院法務委員会で参考人としてお話された柳瀬房子さんは、以下のとおりお話をされました。

参与員制度が始まったのは2005年からですので、私は既に約17年、参与員の任にあります。その間に担当した案件は2000件以上になりますが、一次審の難民調査官による結論を覆し、難民と認定すべきと判断したのは6件です。

2000件中6件ということは、認定率0.3%です。

他方、2005年

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「私は前から歯が痛い。でもギリギリ我慢ができなくなるまで歯医者には行かない。それでも私は前から虫歯だ」〜英国難民認定官の言葉

「私は前から歯が痛い。でもギリギリ我慢ができなくなるまで歯医者には行かない。それでも私は前から虫歯だ」〜英国難民認定官の言葉

歯医者になかなか行かなくても前から虫歯だ5年半くらい前(2016年11月)にイギリスとニュージーランドの難民認定業務に携わる認定官のお話を聞く機会がありました。

そこで、聞いた印象的な言葉が、タイトルに引用したものです。

「私は前から歯が痛い。ずっと妻には歯医者に行けと言われ続けている。でもギリギリ我慢ができなくなるまで歯医者には行かない。それでも私は前から虫歯だ」

これは、難民申請が遅れた

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入管の精神科嘱託医が拘禁性うつ病で仮放免相当と意見を述べたのに仮放免不許可にしたのを違法と判断した裁判例

入管の精神科嘱託医が拘禁性うつ病で仮放免相当と意見を述べたのに仮放免不許可にしたのを違法と判断した裁判例

入管に定期的に来ている精神科の嘱託医が、仮放免すべきとの所見を述べたのに無視して仮放免を不許可にした事件で、平成30年8月28日東京地方裁判所は仮放免不許可処分を違法と判断しました(東京地方裁判所民事51部。清水知恵子裁判長)。判決は国側の控訴なく、一審で確定しました。

精神科の医師が拘禁性うつ病で仮放免相当という意見を出したのに無視した事例で、ウィシュマさんのケースとの類似していますよね。全然

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