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日本に来る難民と入管行政の問題点:まとめ

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#難民問題

「不法滞在者は犯罪者」という言説―”不法”の原因は厳しすぎる制度

最近の入管法改正に関するトピックが多くなるにつれて、ニュースのヤフコメやTwitter等の投稿で、「不法滞在者は、不法に入国・在留している時点で犯罪者なので、国外追放するべき」といった意見が散見されます。

中でも、現在入管法の改正で問題にされている(収容中で送還忌避している人と仮放免の人の合計)3,000人くらいといわれる「送還忌避者」のことは特に注目を集めているところだと思います。

参考)出

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読順①日本に来る(いる)難民:入管行政の基本的な問題点について

日本にも「難民」が外国から来たり、日本で非正規滞在していたりします。

こうした外国人の出入国の管理をするのが、出入国在留管理庁(略称は入管庁)です。もともとは法務省の内部部局でしたが、平成31年に法務省の外局として改めて設置されました。

以前から、日本の入管行政については、国内外から人権侵害であるとたびたび批判されてきました。この入管行政について、問題点を整理したいと思います。

「難民」とは

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読順④入管行政の最近の動き(報道)~2020年10月現在~

入管行政の最近の動きについて、まとめます。(報道の掲載された時期については順不同で記載しています)

強制収容トルコ人男性と国が和解 朝日新聞「入管が異例の「謝罪」」(有料記事 2020年10月1日掲載)https://www.asahi.com/articles/ASNB173LYN9ZPTIL00D.html

大阪入管と男性とで和解との報道。和解金を国が支払い、和解条項に謝罪が盛り込まれると

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noteを書こうと思ったきっかけ

NPO法人の時の思い(この記事は思い出話のような内容なので、興味のない人は読み飛ばしてください)

この「入管行政問題」に関心を抱いたのは、かれこれ5年ほど前。

当時、僕は都内の生活困窮者支援のNPO法人に勤めていて、WAM(独立行政法人医療福祉機構)からの委託事業を受けた生活困窮者向けのシェルター事業の担当者だったのですが、そのシェルター事業のことが難民支援協会の方のお耳にも入ったそうで、(簡

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読順③「時系列」で見る入管行政の問題

大きなトピックとなった事件、制度変更等を時系列的にまとめました。集められるだけの情報の中から取捨選択し、だいぶ簡略化しています。

昨年から今年にかけての動きについては、拙稿の過去記事「入管行政の最近の動き(報道)」を参考にしてください。https://note.com/kuro_refugee_jp/n/n76605e841dd5

また、入管行政・入管法の対象には、当然「技能実習制度」も含みま

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読順⑥ソーシャルワークとの関連②難民申請者に対するセーフティネットの脆弱性(その1)

法からの疎外・貧困に陥りやすい難民申請者日本での難民申請者(法的には在留資格未取得者)のセーフティネットは法的保障はほとんどなく、社会的な地位はおろか、就労も禁じられたり、生活保護を受給することもでないといった厳しい制約の中で生きていかざるをえません。さらに、日本に居続けられないからといって本国に戻れないという状況を抱えた難民は、国と国との間の空白(法の支配の外)に落ちてしまったような状態といえま

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最近の入管行政の動き(法改正)

法務省の改正案「法務省の「難民いじめ」が悪化する? 国連勧告を無視する入管法「改正」に懸念」(ライブドア・ニュース)
https://news.livedoor.com/article/detail/19679439/
この改正法案では、難民条約31条「避難国に不法にいる難民に刑罰を科してはならない」、32条「追放の禁止」、33条「追放・送還の禁止」、自由権規約9条(4)「裁判を受ける権利」に違反

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