マガジンのカバー画像

グローバルなものの見方

52
多様性や地政学、働き方について書いています。外交官の仕事、グローバルな視点、日本とは、について興味がある人、キャリアや生き方について考えている人はご笑覧ください。
運営しているクリエイター

2023年11月の記事一覧

クロワッサンとカフェオレで細々とフランス語を 

クロワッサンとカフェオレで細々とフランス語を 

コロナ禍にスキルを一つ足そうとフランス語を習い始めたので、もうかれこれ3年になる。外交の言語とフランス語話者がうそぶくように、国際会議の非公式の場で会話が突如フランス語に変わることがある。ヨーロッパのフランス語を母語とする人たちから、アフリカのフランス語話者、そしてオランダ人やドイツ人までがフランス語を話し始めると、爪弾きにされた気分になる。英語がスペイン語に変わってもそんなに気にならないのは、中

もっとみる
公務での負傷者へのダメージを官民でどう手当するか【元外交官のグローバルキャリア】

公務での負傷者へのダメージを官民でどう手当するか【元外交官のグローバルキャリア】

米国では、市民の安全を守るために負傷した人に対する制度が存在する。

日本が「戦後」と呼んでいるこの時代に、米軍は国際社会の秩序を守る役割を果たしてきた。その代償として米国が抱えるのが多くの傷痍軍人だ。その人たちの心身の治療や生活を退役軍人省のみならず各種非営利団体が支える。それを今私は自分ごととして体験している。

同時に、日本で私たちの安全を支えている人たちへの手当に思いを馳せる。

PTSD

もっとみる
【グローバルキャリア】パキスタンで絨毯を紡ぐアフガン難民から学んだ地域情勢

【グローバルキャリア】パキスタンで絨毯を紡ぐアフガン難民から学んだ地域情勢

15年前にパキスタンに住み始めたころ、歩いて5分の絨毯店にいり浸っていた。英語が堪能な弟みたいな存在のジャベッドにアフパク情勢を教わりに行っていたようなものだ。

絨毯店が位置していた市場には至る所にInter-service Intelligence (ISI)というパキスタンの諜報機関が潜んでいると言われてた。靴磨き職人や土産物の店主がそうである可能性もあった。普段から壁に耳あり障子に目ありで

もっとみる
パレスチナとかテロとか真実とか【元外交官のグローバルキャリア】

パレスチナとかテロとか真実とか【元外交官のグローバルキャリア】

イスラエル西岸地区やガザで、1980年代後半に「インティファーダ」と呼ばれるパレスチナ住民のイスラエルの占領統治への一斉蜂起運動があった。

それが高校生の私が国際政治に興味を持ったきっかけだった。「イスラエルは1967年戦争以前の国境線を戻すべきだ」というテーマで海外で通うインターナショナルスクールでディベートに挑むことになった。「真実」というものが存在すると信じていた頃、世の中をを白と黒でしか

もっとみる
【グローバルキャリア】空母ミッドウェイの艦上で海軍カレーをふるまう

【グローバルキャリア】空母ミッドウェイの艦上で海軍カレーをふるまう

春になるとワシントンのポトマック川のほとりが桜で満開になる。その桜は日本が100年以上前にアメリカに寄贈したものだ。2012年の日米桜寄贈百年記念事業では、たくさんの民間企業の協力のもとで全米に桜の苗木が配られた。そして植樹式に合わせて桜祭りが開催された。

ロサンゼルスで勤務していた時に、文化担当として苗木を配布する手配や関連行事を企画することが求められていた。私は親日派だけではなくなるべく通り

もっとみる
ペットとは何か、を考えつつチューバッカに言葉を教えてみた

ペットとは何か、を考えつつチューバッカに言葉を教えてみた

転勤や出張が多いからペットなんて飼えない。そう言って夫を説得してきた。子供の頃は理由なく犬を恐れていた私は、ペットが欲しいと思ったこともなかった。人間の子供とは会話が楽しむけれど、喋らない動物に関心を寄せたことがなかった。生涯には何人もの5歳児や7歳児のともだちがいた。

シカゴに勤務していた時から、夫は犬を飼いたいと言っていた。仔犬が欲しい。昔はビーグルを飼っていた。ペットが欲しい、と。

総領

もっとみる