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記事一覧
ピストル強盗清水定吉 1
その名前を初めて聞いたのは、故立川談志師匠の高座だった。たぶんラジオの放送だったと思うが、調べたらCDになっている。1982年6月18日国立演芸場「落語家生活30周年記念 立川談志ひとり会より 源平盛衰記」がそれである。談志はマクラで、学校で教えるのはありきたりの人物ばかりでもっと他に教えなくちゃいけない奴がいるだろう、といった論調で「国定忠治とか五寸釘の寅吉とかピストル強盗清水定吉とかね」と言っ
もっとみるピストル強盗清水定吉 2
「(前略)この樋口さんの近所にピストル強盗清水定吉の住んでることを覚えている。明治時代もあらゆる時代のように何人かの犯罪的天才を造り出した。ピストル強盗も稲妻強盗や五寸釘の寅吉と一緒にこう云う天才的たちのひとりであったろう。僕は彼の按摩になって警察の目を眩ませていたり、彼の家の壁をがんどう返しにして出没を自在にしていたことにロマン趣味を感じずにはいられない。(後略)」
芥川龍之介晩年の随筆「本所
ピストル強盗清水定吉 3
写真はイメージです。
前回は清水定吉をガキの頃から手癖の悪い与太者と書いたが、森本哲郎「日本快盗伝」横田順彌「明治バンカラ快人伝」その他の資料から清水定吉の実際の有り様をお伝えしたいと思う。
清水定吉は、元旧幕旗本松平何某の家臣で、自身も旗本のれっきとした武士であったという。名の定吉も本来は「サダヨシ」と読む。剣はもとより槍術柔術などにも精通しており。当然上野戦争に参加して官軍と戦っている
ピストル強盗清水定吉 4
ぎょうざの満州へ行ってもビールを出してくれない、五月連休の一日目いかがお過ごしでしょうか。前回は小川侘吉郎巡査が韋駄天走りに駆け付けたところまででしたね、では続きを。長くなりますが一気に最後まで。
小川巡査が現場に急行する途中、不審な男がいた。見るからにめくらの按摩風情だが杖を担いで小走りに急いでいる。おいコラと声を掛けるやいなや、男はピストルをいきなり発砲した。弾丸は脇に逸れ、小川巡査は硝
「野ざらし」という落語
「野ざらし」といえば三代目春風亭柳好、春風亭柳好といえば「野ざらし」
「野ざらし」のあらすじはごく単純である。裏長屋に住む釣りを趣味とした老人が、向島の河原で糸を垂れるが、雑魚一匹釣れず、暮れの鐘が鳴るのを合図に竿を畳み帰り支度をしようとしたとき、葦の草むらからカラスが三羽飛び出した。見るとそこにはドクロがあった。流れ着いた土左衛門の成れの果てか、いずれにしても哀れなことだと、老人、手向けの
薩摩の野暮天芋野郎黒田清隆と落語 1
昔ブラタモリで札幌を取り上たことがあった。アシスタントはまだ桑子ちゃんだったと記憶している。明治2年に7人しか人がいなかった札幌がなぜ200万都市に成長したのか、というのがテーマだった。有名な赤煉瓦の北海道庁旧本庁舎も勿論登場したが、その場所に黒田清隆が三代目長官を務めた開拓使庁舎があった。番組では遊郭が出来たのち、あっという間にその周辺に街並みが出来たことを指摘していたが、これは黒田が取った産業
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