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#短編
あるいは友情という名の
空が燃えていた。楼閣が浮いていたんだ。蜃気楼の彼方に。迸る放射線を閉じ込めるのに失敗したんだろう。それにしたってあそこまで隆々と解き放たれる光は、稀にしか見れないだろうに。私は目が潰れそうになった。 映像が、乱暴に中断される。母親がカーテンを開ける音が聴こえる。と思ったら今度は、遠縁となった友人が呼ぶ声が聴こえる。幻聴だ。こんなの、夢だ。急に恐怖が襲った。自分が何処にいるのか、わからなくなっ
もっとみるカミングアウトしなければ語れない凡庸さ
時計の針が十二時を回りトイレチェックを済ませると、私の立場はバーテンダーからお客に変わる。終電までの二十分かそこら、先程まで注文を受けていた当のカウンター席に座り、その日客から注文されたカクテルの中で気になったものを自分で頼む。呪文並みに脈絡がなく種類が豊富なカクテルは、実際に飲んで覚えるのが一番手っ取り早いのだ。それに私は、日本の繊細さが遺憾なく発揮された藝術的なカクテルの色が好きだ。五、六時間
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