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【第5話】底辺クリエイターからディズニーのクリエイティブディレクターへの道

経験者としての転職活動

という事で、業務委託と並行し「TVアニメシリーズ」「劇場作品」「某有名ロボットアニメのフルCG作品」をポートフォリオとして転職活動が始まった。

1年半前の大学・アートスクール新卒時の就職活動と比べて「こんなにも反応が違うのか!?」という驚きがあった。

以前は書類・作品で「門前払い」だった有名ゲーム会社や映像制作会社が、気持ちの良いくらい書類通過する。
面接しても「ぜひ来てほしい」という熱量が感じられて、つい舞い上がってしまいそう。

やはり業務委託であろうとも、商業作品、しかも日本を代表するアニメの重要シーンばかりを担当した実績は大きかった。
戦後ばりの「栄養失調」になった甲斐があるというものだ。

一橋グループの大手出版社

転職活動で受けた会社の中に、大学3年生の新卒就職活動事に「学歴フィルター」で落とされた「一橋グループ大手出版社の映像制作部門」があった。
条件は正社員(能力次第では契約社員)だ。

私は学生時代に見向きもされなかった「この企業」にリベンジがしたかった。

書類・作品を提出すると、1週間程で「面接オファー」が来た。

1次面接の面接官は「制作チーム部長&ディレクター」だった。
部長は「作品」を観ながら「このシーンはどうやって作るのか?」「どの位の期間で作れるのか?」等、技術面の質問が多かった。
ディレクターは「過酷なスケジュールに耐えられるか?」だった。
その時「ああ、大手でも映像制作の労働環境は過酷なんだなぁ」としんみりした事を覚えている。

部長は各シーンを私1人で制作した事に驚き、興奮気味に「最終面接に進んで欲しい」と告げた。

最終面接はいわゆる「オファー面談」だった。
人事部の責任者が出てきて「正社員、映像ディレクター(チーム責任者)、年収○○万円、福利厚生あり」と説明される。

業務委託だった私からすると「プロジェクト毎の更新がない」「福利厚生がある」というだけで夢の様だった。

年収も同世代の平均より高い。

そして何より「学生時代に学歴フィルターで落とされた大手企業に正社員かつ管理職候補で入社できる」のだ。

私は内定を受け入れ、3ヶ月後の入社を約束した。

送別会(おまけ)

業務委託先での私の送別会に、スタジオの偉い人達も参加してくれた。

日本アニメ界では「巨匠」とされる方々ばかりだ。

しかし私はそのスタジオの代表作である「ロボットアニメ」をきちんと観た事がなかった。

たまたま隣の席に座った「キャップを被ったサングラスの老人」と会話し、自然とそのロボットアニメの話になり「いやー、実は僕、その作品たいして好きじゃないんですよー!」と言ったら、一瞬で場の空気が凍りついた。

私は数名の正社員連中に袖を引っ張られ奥に連れて行かれると「あの人が○○○○(ロボットアニメ)の監督のTさんだよ!」と言われた。

私は「へえ、そうなんだ」ぐらいの気持ちだったが一応T監督に「知らずに生意気言ってすみません」と謝罪したが、T監督は「いやいや、○○○○ファンばかりだと気持ち悪いし!君は何が好きなの?」と寛大な御方でした。

因みに好きなアニメは「ふしぎの海のナディア」
これは今だに変わらない。

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