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長岡の花火大会

「わぁー」
「綺麗だねー。」
「りこちゃん、いいねー。」
「すごくいいねー。」

今日も こざる達は いつものように 賑やかにお喋りしながら、
りこちゃんと 一緒に皆で夕飯を食べて、
そして食後のお茶を飲みながら、テレビを見ています。

「皆で、長岡の花火大会を見ているんだ!」
「ぼく達、この花火大会が大好きで、毎年、こうしてテレビで見ているんだよ。」
皆、とっても嬉しそうです。

「長岡の花火大会は、
戦争の空襲で亡くなった人々への慰霊、復興に尽力した方々への感謝、
それから平和への願いをこめて、毎年、白一色の尺玉を3発打ち上げるんだ。」

この花火は白菊といい、花火大会の前日の8月1日、
長岡空襲の始まった時刻(午後10時30分)にあわせて
打ち上げられます。

今日は花火大会の一番はじめに、この白一色の大輪の花火が3発、打ち上げられました。
真っ暗な夜空に、ドーン、ドーン、ドーンと真っ白い大輪の菊の花が咲きます。
深い余韻が広がります。

「うまく表現できないんだけど、この花火を見ると いつも涙が出てくるんだよ。」
皆、うんうん頷きます。
言葉では言い表せない思いがこみ上げてきます。

「それから、他の花火大会と同じように、たくさんの綺麗な花火が、
次々と上がるんだよ。」
「本当にとっても綺麗なんだよ。」

歌と合わせたりして、形も大きさも色も仕掛けも様々な
たくさんの花火が次々と打ち上げられます。

「それから、りこちゃんも ぼく達も大好きな花火が『フェニックス』っていう花火なんだ。」
「2004年の新潟中越地震からの復興を祈願して始まった花火なんだよ。」
「何度、被害にあっても不死鳥のように甦るというメッセージをこめて、
フェニックスと名付けられたんだ。」

圧倒的なスケールの大きい華やかで壮大な花火が、
平原綾香さんの『Jupiter』が流れる中、次々と打ち上げられます。

「終わりの方になると、花火の中にフェニックスが見えるんだよ。」
「青いフェニックスもいるんだよ!」

とても美しく豪華で荘厳な花火です。

「復興から立ち上がって頑張っている人たちの心を感じるような気がして、
感動して、自然と涙が出てくるんだよ。」
皆、うんうん頷きます。

「りこちゃんも、いつも涙ぐんでいるんだよ。」
りこちゃんが、うんうん頷きます。
心に 深く響いてくるのです。

「前に、りこちゃんが山下清は花火が大好きだったんだよって、
長岡の花火の作品を画集で見せてくれたよね。」
「そうだったね。」

『長岡の花火』は山下清の代表作ですね。

「それで、山下清は長岡の花火を見て、
『みんな爆弾なんかつくらないで、綺麗な花火ばかりつくっていたら、
きっと戦争なんか起きなかったんだな。』って言ったんだよ。」

皆、深く頷きます。
本当に、本当にその通りです。

花火大会は、まだ続いています。
長岡の花火大会が、他の花火大会と違うのは、
見る人の心を動かす何か、感動する何かがあるのだと思います。

「ちょっとお茶のお代わり淹れてくるねー。」
「お願いねー。」

お茶当番のこざる二人組が、台所へ向かいます。

こざるちゃんが台所でラジオをつけると、
『Jupiter』が流れているきます。

こざる達は二人とも涙ぐみます。
「何で涙が出るんだろうね。」
「なんかね、悲しいとか嬉しいとか、それだけじゃなくて、
もっと大きな広くて深い気持ちになるっていうか….」
こざる達は、うんうん頷きます。

こざるカフェは、今日も ゆっくりゆっくり
のんびり 穏やかに時間が流れていきます。

読んで下さって、どうもありがとうございます。
まだまだ暑くなるようです。どうぞご自愛ください。
よい毎日でありますように (^_^)

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