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Lonesome Traveler

68
孤独な旅人
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#旅行

選択肢は一つではないはず

選択肢は一つではないはず

ラオスに行った時に、一番驚いたことは、ビールが一種類しかないことだった。

今はどうだか知らないが、俺が行った時は、雑貨屋や飲食店では、ラオス唯一の国産ビールである、ビアラオだけしか置いてなかった。

他に選択肢はなかった。

これがまた、水のように薄いのだ。二番目に驚いたことだ。

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パープルラインの匂い

パープルラインの匂い

 バンコクの北に、ノンタブリー県はある。
 2016年8月に開業したパープルラインは、バンコクとノンタブリーを結ぶ路線であり、タイで初めて日本製車両を導入した高架鉄道でもある。
 列車や駅舎は、清潔で整然としているのだが、そこからは、何というか、東南アジア特有の匂いが全く感じられない。
 ズバリと言ってしまえば、無味無臭で面白味があまり無いのだ。
 駅の入り口付近では、危険物の持ち込みをチェックす

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宗谷本線

宗谷本線

 列車は、時折するどい汽笛を発する。線路上に、野生動物を近づけさせないためであろうか。
 そのようにして宗谷本線の鈍行は、北海道の原野の只中を、ひたすらに北上していく。
 車窓からの景色は、青々と茂った緑が、雲間から降り注ぐ夏の陽光を照り返して、瑞々しい色彩を放っている。
 アイヌの、豊かな自然(カムイ)は、北へと行くほどに、目に見えて白樺の木が多くなっていくのが印象的だ。

 白樺は涼しい気候の

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いかめしが食べたくて

いかめしが食べたくて

 イカの足は10本あると世間一般にはおもわれているが、正確にいうと、あれは足ではなくて腕なのだそうだ。

 北海道の水風呂は、なんだか冷たいような気がする。
 俺は、ホテルのユニットバスが嫌いなので、そんなときは、グーグルで近くの銭湯を探して、浸かりに行く。できればサウナがついているとよろしい。
 北海道新幹線で、函館に行ったのだ。
 夜中、ある銭湯で、水風呂に入っていた。皮膚がビリビリくるほどの

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ネーデルランドな山陰

ネーデルランドな山陰

 オランダは、国土の多くが海面すれすれかそれ以下であり、そこに住む人々や街は、堤防によって海から守られている。
 はるか昔から、「ネーデルランド(低い土地)」と呼ばれていたのだそうだ。

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若桜鉄道

若桜鉄道

 小雨が、ぽつぽつと降り出してきた。
 その中を列車は、ワイパーをときおり動かしながら、一面の梨畑を進んでいく。

 若桜と書いて「わかさ」と読む。若桜鉄道の路線は、営業距離が19.2kmであり、郡家駅でJR因美線と接続していて、そこから、終点の若桜駅までの9駅を、列車が2時間に1本程度運行する。

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甘いコーヒー、苦いコーヒー

甘いコーヒー、苦いコーヒー

 アイスコーヒーの季節が、終わろうとしている。
 そんな中で俺は、しぶとくアイスコーヒーを飲んでいる。
 アイスコーヒーが好きだからだ。
 いつも、ブラックに、ほんの少しだけガムシロップを入れて飲む。
 今日、そんなアイスコーヒーを飲みながらしみじみとおもった。これからは、ホットだな、と。
 
 東南アジアのタイでは、コーヒーは、基本、アイスコーヒーだ。ホットなんぞは、気取ったレストランでしかお目

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