ロアッソ熊本 補強診断〜チーム別補強診断#38〜
こんにちは。
J2リーグは、すでにレギュラーシーズンの全日程を終了しました。
そこで、「チーム別補強診断」シリーズでは、2022シーズン開幕に向けた各チームの補強に関して、現時点までの成績などを踏まえ評価を行っていきたいと思います。
その上で、各選手の補強診断を『S』から『D』の5段階で評価をし、最後はチーム全体の総括も行おうと考えています。
これまでのシリーズ同様、上位カテゴリーから、北から行います。
第38回となる今回は、ロアッソ熊本編です。
なお、すべての情報は11月5日時点となるので、ご了承ください。
また、試合出場などのスタッツは、transfermarktを引用します。
補強動向
改めて、今オフのロアッソ熊本の補強動向を振り返っていきましょう。
なお、この表は以前の記事『2022Jリーグチーム別考察#39 ~ロアッソ熊本~』に記載されている表になります。
また、この表に記載されていない移籍情報は以下の通りです。
【IN】
平川怜 ←FC東京(完全移籍)
【OUT】
東野広太郎 →FCティアモ枚方(期限付き移籍)
宮原愛輝 →契約解除
*なお、ターレス選手は今季は期限付き移籍加入で残留という形でしたので、新戦力ではなく、今回の記事では言及しません。
試合結果
選手個人個人の試合での出場データなどをみる前に、まずはチームとしてのここまでの成績を見ていきましょう。
J2リーグ
天皇杯
J1参入プレーオフ
個人スタッツ
それでは、ここからはオフの移籍市場で加入した選手をポジション順に(GKから)見てきましょう。
①増田卓也(←サンフレッチェ広島)
試合スタッツ
・Jリーグ
・天皇杯
・J1 参入プレーオフ
獲得理由
そもそもの獲得理由を考察していきたいと思います。
昨季、前半戦は所属元のサンフレッチェ広島でプレーしていましたが、大迫選手、林選手の牙城を崩せず、ベンチ入りできず、後半戦はJ2の町田でセカンドGKとなりました。
今季より、熊本へ完全移籍で加入しました。
内山選手が退団しており、その後釜と言えるでしょう。すなわち、主力候補ではなく、控えとしての獲得でしょう。
考察
開幕からベンチ入りをつづけ、第4節で先発の機会をもらいますが、2失点と喫してしまい、その後はベンチ外が多くなりました。
セカンドGKを想定されての獲得であったと思いますので、想定外とも言えそうです。
評価
評価は『C』としました。
当初の期待値より低いパフォーマンスなのは確実でしょう。一方、主力候補の選手がこうなっているわけではないですので、C評価にとどめました。
②イヨハ理ヘンリー(←サンフレッチェ広島)
試合スタッツ
・Jリーグ
・天皇杯
・J1 参入プレーオフ
獲得理由
そもそもの獲得理由を考察していきたいと思います。
昨季は、期限付き移籍でJ3の鹿児島ユナイテッドでプレーしていました。出場試合数こそ12試合でしたが、前半戦は負傷離脱しており、復帰後は主力となりました。
前年は、FC岐阜でプレーしており、J3で既に36試合に出場した経験があるということを踏まえて、広島に復帰させる前にJ2にカテゴリーを上げて経験を積ませるという狙いでしょう。
他方、熊本にとっては、主力が退団したわけではないものの、試合数が増えよりハードになるJ2に臨む上で、選手層を厚くしたいという狙いがありそうです。
考察
開幕から試合に絡むと、第3節でスタメン出場を果たして以降は、ほとんどの試合にスタメン出場を果たすなど、大きく飛躍し、熊本の守備に欠かせない選手に成長しました。
第24節からは、最終節まで、リーグ戦19試合連続スタメンフル出場を果たすなど、期待値を大きく上回っているでしょう。
評価
評価は『S』としました。
J3での経験は多くあったものの、本人にとっては久しぶりのJ2でした。その中で、しっかりと主力に定着するなど、飛躍の一年になったと言えます。
③阿部海斗(←福岡大学)
試合スタッツ
・Jリーグ
・天皇杯
・J1 参入プレーオフ
獲得理由
そもそもの獲得理由を考察していきたいと思います。
サガン鳥栖の下部組織出身の右サイドバックで、攻撃面に特徴を持つ選手です。高いクロス精度も武器の一つであり、プレースキックのキッカーも勤められるなど非常にポテンシャルの高い選手です。
似ている選手で言えば、左右こそ異なりますが、太田宏介(現:FC町田ゼルビア)でしょう。
考察
開幕から15試合連続でリーグ戦スタメンを掴み取るなど非常によりスタートダッシュを切りました。しかし、守備面に懸念点があるということもあり、ポジションは本職の一列前の右サイドハーフでした。
後半戦になると、スタメン出場の機会を大きく減らしています。攻撃的なポジションでの起用が多い中で、1得点と結果を残せなかったことが響いたと言えます。
評価
評価は『B』としました。
大卒ルーキーとして、完璧とも言えるスタートダッシュを切っただけに、結果さえ残せればというシーズンでした。しかし、多くの試合に絡んだことは非常にポジティブです。
④田辺圭佑(←鹿児島ユナイテッドFC)
試合スタッツ
・Jリーグ
・天皇杯
・J1 参入プレーオフ
獲得理由
そもそもの獲得理由を考察していきたいと思います。
プロ入りした琉球での活躍が認められ、熊本へステップアップしましたが、昨年までの2年間は鹿児島でプレーしていました。
鹿児島での昨季は、センターバックやボランチとしてほとんど全ての試合に出場するなど、非常に良いパフォーマンスを見せており、今季より3年ぶりの古巣復帰となりました。
大木監督と一緒に戦うのは初めてですが、それでも慣れ親しんだチームに復帰するという面は大きいでしょう。
考察
昨年とは打って変わって左サイドハーフでのプレーが多くなっています。スタメン出場をはたす試合もあることにはありますが、ほとんどの試合で途中出場となっており、現実的には左サイドハーフの2番手という立ち位置でしょう。
しかし、多くの試合に出場している現状は、決して期待値を下回るものではないと思います。
評価
評価は『B』としました。
昨年、J3で見せていたプレーを見せることはできていませんが、それでもほとんどの試合に出場するなど、しっかりと戦力構想に入っており、この評価にしました。
⑤三島頌平(←FC岐阜)
試合スタッツ
・Jリーグ
・天皇杯
・J1 参入プレーオフ
獲得理由
そもそもの獲得理由を考察していきたいと思います。
FC岐阜時代に、大木監督の指導を受けた経験のある選手です。大木監督の闘い方をわかっているという面で、昨季までもオファーを出していた可能性はありますが、両チームが同一カテゴリーということもあり移籍しませんでした。
しかし、今季はカテゴリーが変わったということもあり、慣れ親しんだ大木監督と再び共闘することを選びました。
考察
開幕からしばらくは、離脱していましたが、それでも復帰後はすぐに主力に定着し、主にサイドハーフとしてシーズンを通じて主力として活躍しました。
非常に良いプレーを見せており、天皇杯でもスタメン起用されるなど、熊本に欠かせない選手に成長したと言えます。
評価
評価は『S』としました。
大木監督の闘い方を知っているという点で、非常に期待値は高かったですが、それでも自身初のJ2で完全な主力に定着したのは、期待値以上でしょう。
⑥平川怜(←FC東京)
試合スタッツ
・Jリーグ
・J1 参入プレーオフ
獲得理由
そもそもの獲得理由を考察していきたいと思います。
FC東京ではなかなか出場機会を得られませんでしたが、一言で言えば『天才』。久保建英と共に、年代別日本代表の常連で、代表の心臓であった選手ピッチを俯瞰で見る能力が高く、頭も非常に良く、プレーメイカーになれる選手です。
一方で、線が細いことが課題であり、ボランチでのプレーとなると、守備面で穴になってしまうなど、非常に起用が難しい選手ではありました。
考察
加入後は途中出場を続けていましたが、初スタメンとなった長崎戦で1得点1アシストと良いパフォーマンスを見せると、その後は完全な主力に定着し、チームに欠かせない選手になりました。
課題であった線の細さも、一列前のポジションでプレーすることで解決されています。
評価
評価は『S』としました。
J1で燻っていた選手が、いきなり主力に定着し、攻撃の軸と言えるくらいまで成長するとは思いませんでした。良い意味で、想定外です。
⑦東山達稀(←静岡産業大学)
試合スタッツ
・Jリーグ
・天皇杯
・J1 参入プレーオフ
獲得理由
そもそもの獲得理由を考察していきたいと思います。
身長は167cmと非常に小柄ですが、ドリブルに定評のある選手で、個で局面を打開できるサイドアタッカーです。
初めは、スーパーサブとしての起用が多くなりそうなタイプではありますので、そのような起用の中で、チャンスをものにして行きたいでしょう。
考察
開幕から、メンバー入りする試合もありましたが、なかなか途中出場してもパフォーマンスが安定せず、ベンチ外も多く経験しました。終盤戦には、完全にベンチに入れなくなっており、得点数も1とあまり伸ばせていません。
評価
評価は『B』としました。
大卒ルーキーということを踏まえれば、多くの試合に絡んだことは非常にポジティブな要素です。なかなか、目に見える結果を残せなかったことがマイナス要因ではありますが、『B』評価が妥当ではないでしょうか。
⑧藤田一途(←仙台大学)
試合スタッツ
・Jリーグ
・天皇杯
・J1 参入プレーオフ
獲得理由
そもそもの獲得理由を考察していきたいと思います。
横浜Fマリノスの下部組織から仙台大学へ進学した選手で、180名を超える部員を束ねるキャプテンでもありました。
その、キャプテンシーも特徴の一つですし、サイドハーフやサイドバックでプレー可能というポリバレントさも持ち前の一つです。
考察
開幕から、メンバー入りする試合もありましたが、なかなか途中出場してもパフォーマンスが安定しませんでした。一時は、スタメンをつかみましたが、結果的にアシスト2(得点0)と攻撃面での貢献は少なかったです。
評価
評価は『B』としました。
序盤は、試合に絡む機会も疎でしたが、後半戦になるにつれ多くの試合に絡めるようになってきており、シーズンを通じて序列を上げてきたということも踏まえて、Bにしました。
⑨江崎巧朗(←駒澤大学)
試合スタッツ
・Jリーグ
・天皇杯
・J1 参入プレーオフ
獲得理由
そもそもの獲得理由を考察していきたいと思います。
熊本出身の選手で、駒澤大学より加入しました。
サイドハーフやトップ下など攻撃的なMFとして活躍できる選手で、駒澤大学ではプレーメイカーとしてプレーし、攻撃のタクトを振ってきました。
1年目から徐々に試合に絡むことが求められているでしょう。
考察
リーグ戦では1試合に先発したものの、結果を出せず、出番はそれだけとなりました。二ヶ月後の天皇杯でもチャンスをもらいましたが、生かしきれず、プロ一年目は非常に厳しいシーズンとなってしまいました。
評価
評価は『D』としました。
他の記事でも書いているように、大卒選手は決して若手ではありません。その中で、ほとんどの試合でベンチ入りもできていない現状は非常に厳しいと言わざるを得ません。
⑩谷山湧人(←ロアッソ熊本U18)
試合スタッツ
・Jリーグ
・天皇杯
・J1 参入プレーオフ
獲得理由
そもそもの獲得理由を考察していきたいと思います。
下部組織出身の選手で、大木監督は若手にも積極的に出場機会を与える監督ですので、徐々に試合に絡みたいところでしょう。
考察
プロの水になれるというのが目標であった一年目ですが、試合出場ができていないでいると、9月に負傷してしまいました。
評価
評価は『C』としました。
高卒ルーキーということもあり、出場機会が全くない現状でもC評価にとどめました。
⑪粟飯原尚平(←FC岐阜)
試合スタッツ
・Jリーグ
・天皇杯
・J1 参入プレーオフ
獲得理由
そもそもの獲得理由を考察していきたいと思います。
昨年までは、FC岐阜でプレーしていました。多くの試合に出場していたもののスタメン出場の機会はほとんどなく、そのため得点の量産もできませんでした。
今季より、J2の熊本へ移籍することになりました。
中央よりサイドの方で生きる選手であり、守備強度が著しく上昇するJ2の中で、貴重な交代カードとなりうる選手と言えるでしょう。
考察
開幕から昨季の岐阜と同じように途中出場で多くの試合に出場しますが、結果を残すことができませんでした。
その影響もあり、後半戦は序列を落としてしまい、ベンチ外となる試合も増えてしまい、厳しいシーズンとなりました。
評価
評価は『C』としました。
前半戦の途中出場で結果を残せなかったが故に、チャンスを後半戦はもらえませんでした。結果も残せず、厳しいシーズンと言えます。
⑫土信田悠生(←駒澤大学)
試合スタッツ
・Jリーグ
・天皇杯
・J1 参入プレーオフ
獲得理由
そもそもの獲得理由を考察していきたいと思います。
駒澤大学で背番号10を背負っていたFWです。
高い決定力を持っており、高い得点能力がありますが、アシストも多く記録するなど、ゴール前での落ち着きも光る選手です。
1年目から多くの試合にからみつつ、結果を残すことが求められます。
考察
開幕からスタメン出場の機会はありませんが、途中出場から多くの試合に絡んでおり、大木監督の戦力構想にはしっかりと入ってきています。一方で、得点数は1とFWとしては物足りないと言えます。
評価
評価は『B』としました。
結果という面では出ていませんが、大卒一年目から多くの試合に出場したということを踏まえて、B評価にしました。
全体評価
それでは、全選手の評価を振り返っていきましょう。
以上のことを踏まえた総合評価は以下のとおりです。
全体評価は「A」としました。
J2昇格初年度でありながら、4位という好成績を残しました。昨季から在籍している選手をベースにしつつも、今季加入した選手も非常によいアクセントとなり、チームの躍進に貢献しました。
最後に
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