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一歩でも前へ 倭建命様其の四三 ことの葉綴り五七一

優しい名月

おはようございます。昨夜の中秋の名月と満月が重なるのは八年ぶりだったのですね。皆さんはご覧になれましたか?
こちらは、曇り予報でしたが、なんと雲が少なくてお月さまを愛でて手を合わせることができました。
私の地域では、なんだか優しい色合いのお月さまでした。表紙と下の写真。
嬉しかった~(^^)。

さて九月二十二日(水)の暦をば。六曜は大安吉日!万事よし!
十二直は、万物を建て生じる日の「たつ」で、新しいことをはじめるのに吉。神仏の祭祀、お参り。婚礼、開店も吉。
二十八宿は「しん」で、婚礼などのお祝い。地鎮祭などの建築、ご神事、お参りに吉。衣類の新調はひかえるのがいい。
そして「|神吉日《かみよしにち>》で、ご神事に関することの吉日。神社参拝やご先祖さまをお祀りすること。お墓参りも吉。
お彼岸ですから、ご先祖様にお供えをして手を合わせたいですね。

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<ことの葉綴り>全体のご案内
神話の物語編は、魅力的な神さま別に「マガジン」分けしています。
お好きな神さまの名前や、ご興味あるものをご覧くださいね。

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<倭建命様の物語。これまでのあらすじ>

倭建命やまとたけるのみことさまは、熊曾建くまそたける兄弟や東国の荒ぶる神を討伐していきます。
后の弟橘比賣命おとたちばなひめのみことさまは、海神の祟りを鎮めるため、自ら“人身御供”となり皇子の命を救われました。
尾張の美夜受比賣みやずひめさまと結ばれた倭建命やまとたけるのみことさまは、お后と「草薙剣」を残して、伊吹山の神を討ちへ向かいますが、大きな白い猪の姿として現れた山の神の祟りを受けて、毒気を受け意識を失い、命からがら下山。玉倉部たまくらべ清水しみづというところで意識を取り戻し、その清らかな湧水で体も癒されたのでした。

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居寤ゐさめの清水から|當藝野(たぎの)へ向けて

倭建命やまとたけるのみことを救った湧水は、それから居寤ゐさめの清水と呼ばれるようになり、現在も、日本の名水百選にも選ばれていると、前回ご紹介しました。
老舗の「ヤマキ醤油」さんのお醤油は、この清水を使用しているのも、驚きでしたよね(^^)

意識も戻り、体も動かせるようになった倭建命やまとたけるのみことさまは、居寤ゐさめの清水(現在の滋賀県米原市醒井さめがい)を出発されます。
父である景行天皇に、東征の報告をするため、家臣たちと共に大和の国を目指します。

けれども、動けるようになったとはいうこのの、体力がもとに戻ったわけではありませんでした。
これまでの、遥かな地への征伐の長旅の疲れもあったでしょう。
愛する后の弟橘比賣命おとたちばなひめのみことさまを失った深い悲しみも忘れたわけではありません。
結ばれたまま尾張に置いてきた美夜受比賣みやずひめさまのことも恋しいでしょう。
何より、伊勢の神宮の|斎宮《いつきのみや》で叔母倭姫命やまとひめのみことさまより賜った皇統の証で、皇子の命を救ったご神剣「草薙剣くさなぎのつるぎ」も帯刀しておりません。

いろいろな要素がある上で受けた、山の神の祟りとその毒気は、倭建命やまとたけるのみことさまの体力を奪い、生命力を低下させてしまいました。
今でいうと、免疫力が極端に下がり、けがれにより生命力も、気力も失ってしまわれたのです。

これまでのように我が身が動かせぬ。

足を引きずりながらも、「父のもとに還り、天皇より賜りし、東の国の荒ぶる神たちの成敗に成功したことを奉告ほうこくせねばならぬ! 弟橘比賣命おとたちばなひめのみことと共に成し遂げたことを、お伝えしなければならないんだ!!」

「そして新しく后になった美夜受比賣みやずひめの待つ尾張へと向かわなければ……」

なんとかしても前へ、前へと進もうと懸命です。

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|當藝野(たぎの)で詠まれた御歌

ようやく、|當藝野(たぎの)にまでやってきました。
これは岐阜県の養老郡養老町のあたりだといいます。
現在の地図上で見ると、徒歩の直線距離で、約26キロメートル、歩くと5時間ほどのようです。

この當藝野たぎのに、家臣たちに手を借りながら、ようやく辿りつきました。
このとき、倭建命やまとたけるのみことさまは、次のように心情を御歌に託されています。

「吾が心、つねそらよりかけり行かむとおもひつ。
しかに今吾が足得歩まず、たぎたぎしくなりぬ」

私の心では、私はいつも大空をどこまでも空で飛んでいける、そう思っていた。
けれど、今はどうしたことであるか。
私の足は、前へと歩いて進むことができず、トボトボと進んでおりました。

そんなところから、この地は、|當藝《たぎ>とよばれるようになったのでした。

さて、今日は、朝から倭建命やまとたけるのみこと、日本武尊さがお祀りされている神社にお参り行って参ります。嬉しい!
ではまた次回!

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―次回へ
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