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愛の御神徳に満ちる走水神社さん 倭建命其の三一 神話は今も生きている ことの葉綴り五五六

白露の朝

おはようございます。久しぶりに晴れて青空と雲が嬉しい心地よい朝です。
皆さん、お元気でお過ごしでしょうか? いつも「ことの葉綴り」に“お来しいただき”ありがとうございます
二十四節気の「白露」と、今朝は新月。朝のお参りに行って参りました。
樹々の上からは、まだ蝉が泣いていて、足元の草花からは虫の音、そして木々の葉を揺らす風の音、朝日の輝き……初秋のとっても気持ちいい~朝ですね。

さて、明日九月八日(水)の暦は、六曜は「先負(せんぶ、せんまけ)」で午後は吉。勝負事は避けて。控えめが吉。
十二直は、開き通じる「(ひらく)」。二十八宿は「(へき)」で開店、旅行、建築、婚礼に吉。そして吉日の「神吉日(かみよしにち)と「母倉日(ぼそうにち)」です。

さっそく、倭建命(やまとたけるのみこと)さまの神話の物語に入ります。

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<ことの葉綴り>ご案内

「ことの葉綴り」全体の神話の物語のご紹介です。
神話は、「神さまも“失敗して成長した”」「“神話は今も生きている”」と、日本の魅力的な神様の物語編。
約二千年前、伊勢の神宮ができるまでの「元伊勢」編。
ときおり綴る「エッセイ」編と、「マガジン」に分かれています。
下記のトップページから、スクロールしていただくと、物語別、神様べつに「マガジン」が選べるようになっております。
神さまの名前や、ご興味あるものを読んでいただけると幸いです。

最新のマガジンは、天照大御神さまが伊勢の神宮にお鎮まりになられるまでの「元伊勢」物語 神話13~17です。

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弟橘比賣命さま、入水

さねさし 相模の小野(をの)に 燃ゆる火の
火中(ほなか)に立ちて  問ひし君はも

相模の野(焼津)で、燃え立つ野火に囲まれ火の中に立ったとき、
私の安否を気遣って呼びかけてくださった、あなた……。

倭建命(やまとたけるのみこと)さまの最愛のお后、弟橘比賣命さまは、最期に別れの歌を詠まれて、海の中へと沈んでいかれました……。
我が身を、海の神への“生贄”となり捧げることで、愛する倭建命(やまとたけるのみこと)さまの命をお救いになり、そして成し遂げるべきための道を開かれたのです。

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御霊(みたま)の依り代の「櫛」

それから七日後のことです。
浜辺に、弟橘比賣命さまが髪につけられていたが波に揺られて流れついたのです。

それを見つけた倭建命さま。

愛する后が身につけていた櫛を手に取ると、その場に膝をつかれて、肩を震わせて涙を流されました。

そこに、今も、いるのではないか?

見渡しますが、姿は見えません。けれど倭建命さまの瞼には、楚々として微笑む弟橘比賣命さまが“見えて”いました。
そして、最期に遺された「東征を成し遂げて、必ずや、天皇の元にお戻りください」という歌が、“耳元に聞こえてくる”ようでした。

私は、いつも見守っております……。

(くし)」は、出雲神話の須佐之男命(すさのをのみこと)さまが、愛する櫛名田比賣(くしなだひめ)さまを、八俣の大蛇から守るときにも、比賣(ひめ)を櫛に変えて、戦います。

古代から「」には、女性の魂が籠るとされています。

弟橘比賣命さまは、ご自身の想いを「櫛」に託されて、波間を漂い愛する夫のもとへと流れついたのかもしれませんね。

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愛する后の御陵を

倭建命さまは、この「櫛」を、大切に抱きしめて、誓いを立てられます。
「必ずや、そなたの命を、祈りを、願いを無駄にはせぬ」

倭建命(やまとたけるのみこと)さまは、そう強く決心をされると、その地に、弟橘比賣命さまの御陵(お墓)をおつくりになり、そこに、弟橘比賣命さまの、御霊(みたま)の依る霊代(たましろ)として、この「」をお治めになりました。

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愛の御神徳、走水神社さん

倭建命さまが、仮の御所をつくられて出港なさった、「御所ケ崎」「旗山崎」の岬の近く、神奈川県の横須賀市に「走水神社」さんがご鎮座しています。

ご祭神は、日本武尊(やまとたけるのみこと、倭建命)さまと
弟橘媛命(おとたちばなひめのみこと)さまです。

そちらの由緒書きには、村人たちに、倭建命さまも弟橘比賣命さまもとても慕われていたこと、そして倭建命さまより与えられた「」を石櫃に納めて、土の中へ埋めて、その上にお社を建てられたとあります。それが「走水神社」のご創建となります。

また、海岸に流れついた弟橘比賣命さまの「」は、村人たちが、御所のあった岬にお社を建て、櫛を納められ「橘神社」とされたそうです。
ほんとうに、村人の皆さんに敬われ親しまれ大切に思われていたのでしょうね。

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時代が移り変わり、明治十八年、御所ケ崎は、軍用地になったことから、「橘神社」さんを、「走水神社」さんの境内にうつされたのです。
境内には、弟橘比賣命さまのお名前の橘の木のご神木があり、神社のご神紋も「橘の花」のようです。


平成三年には、日本武尊(やまとたけるのみこと)さまと弟橘媛さまの「愛の御神徳」を崇める、顕彰の碑も建てられています。
また、この神社には、弟橘比賣命さまに殉じて入水された侍女もお祀りされていましたよ。

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約二千年の時を超えた今も尚、ご夫婦睦まじくご一緒に「走水神社」さまでお祀りされて、氏子さんをはじめ、多くの崇敬者に、崇められ愛され敬われているのです。
世の中が落ち着いたら、またお参りしたいお宮です!! 神話の物語は続きます。

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―次回へ
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