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運の底の後に… 神様も“失敗”して成長した ことの葉綴り。二〇四

ピンチこそ好機がくる

こんにちは。気温が下がり過ごしやすくなった長月。
休日も「ことの葉綴り。」に向かいます。

天孫の御子の伊波禮毘古は、国を安らかに平定するために、
九州の高千穂から十六年の歳月をかけて、紀州にたどり着きました。
兄の五瀬命を失い、熊野では、生死をさまよふ艱難辛苦の旅。
そのまま高千穂にいれば、天孫の御子として悠々自適だったかもしれません。
けれど、御子としての使命、志のために、天の大神さまの御こころにそって、兄と一緒に東への旅に出立して……。
行く先々で味方を増やしながらの平定の旅の大変さ。
愛する兄を失いこれほど孤独な旅になるとも予想だにしなかったでしょう。

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“人生(神生)”のどん底。

私たちの人生も、浮き沈みがあり、山あれば谷あり
運が下降するときには、「もうだめだ~」と、夢や目標もあきらめそうになったり。
けれど運の底に到着したら、不思議と今度は、浮上していくのも運の摂理

伊波禮毘古も、熊野の森の中で、荒ぶる神の魔力により、意識を失い絶対絶命の大ピンチを迎えます。
そこに、助けにきたのが、神のお告げの夢を見て、神の剣を持ってはせ参じた高倉下でした。
高倉下という大きな味方。夢のお告げの「佐土布都剣」が、
伊波禮毘古と一行の命を救います

「佐土布都剣」を、一振りすることで、周りの悪の邪念が清め祓われると同時に、伊波禮毘古さまの、不安や傷心など、心細くなり澱んでいた気も祓い清められて、天孫の御子としての本来の「力」が蘇ったのです。

運のどん底も、脱出したのです。
陰極まれば陽に転ず
ピンチから、チャンスが到来したのです

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新しい出会い

私たちも人生の転機を迎えたときに、「夢」を見ることがありますよね。
その「夢」に救われることもある。

伊波禮毘古の夢にも、高天原の天つ神の高皇産霊神さまが現れて、
道案内をする、神の使者の八咫烏を遣わしてもらいます。

奥深い険しい森でも、荒ぶる神に遭遇することなく、
「かあ、かあ、かあ。こっち、こっち」
と、三本足の八咫烏が、行き先を教えてくれるのです。

太陽の光に大きな羽を輝かせながら、八咫烏は、
伊波禮毘古たち一行を、清らかな吉野川へと導いていきました

これは、奈良県では吉野川、和歌山県では紀ノ川と呼ばれます。

すると、吉野川で、竹の籠を手にして魚を獲っている人がいます。

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伊波禮毘古は、魚を獲っている人に
そなたは、誰か?
と、声を掛けます。
私はこの土地の国つ神で、名は贄持(にへもつ)の子といいます。
天つ神の御子がいらっしゃると聞いて、お魚を献じようと思っていました

この贄持之子は、阿陀(奈良県五條市あたり)の鵜飼の祖先です。

この吉野川は、古来から漁が豊富に取れ、簗(やな)、鵜飼、
今も、アマゴやマスが釣れて、つかみ取りが楽しめる
そうですよ。

https://par-ple.jp/tokushu/20190713_fishing/

神話の時代から、変わらないのですね。

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さらに、八咫烏の先導により、歩みを進めると、
体に、尻尾のついた獣の皮をまとった人が、泉(井戸)の中から現れます。
その泉からは、ピカピカと光が放たれています

そなたは何と申す?

と、たずねると、伊波禮毘古に頭を下げて、こう言いました。

私はこの土地の国つ神で、名は、井が光という意味の井氷鹿(ゐひか)と申します。

この国つ神は、吉野の首(おびと)、族長の祖先にあたります。

どん底だと思っていた東征から、神の使者の八咫烏の導きにより、
行く先々で、よき出会いがあり、仲間が増えていきました。

まだまだ出会いは続きます。

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―次回へ

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