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言霊 祈りの歌 神様も“失敗”して成長した ことの葉綴り。二一一

大敵去って又一難

おはようございます。日曜日の朝、神社にお参りをしてから「ことの葉綴り。」に向かいます。
天つ神の天照大御神さまの天孫の御子、伊波禮毘古の物語。
今日もおつきあいくださいませ。
今日もちょっと長めです(すいません)

やっと、ようやっと、兄上の仇をとりました……
兄上のお言葉通り、太陽を背にして、天つ神さまや、兄上の御力を感じていましたよ。


天下を安らかに治めようと、天命を実現するため、
日向の高千穂を出立し、言霊による交渉を続けながら、
また天つ神をお祀りするご神事も、続けながら
長い歳月をかけて、大和へと進んできた伊波禮毘古。

最愛の兄を失い、熊野の荒ぶる神の呪力で生死の境をさまよい
幾度の困難に、心身ともに傷つきながらも、
天照大御神さまはじめ天つ神の御こころとサポートと、
仲間たちに助けられ、窮地の連続をなんとか乗り越えてきました。

そして、兄の命を奪った仇敵、生駒山の豪族、那賀須泥毘古との対決を迎えたのです。
そのとき、伊波禮毘古は、魂からの歌を披露しました。
この言霊の力により、仲間たちの士気、生命力、活気は勢いづきました。
天の天つ神たちへ、兄の御霊へも、その言霊は、響き届きました。

とうとう、兄の仇、宿敵の那賀須泥毘古たちを撃ち取ったのです。

けれど、伊波禮毘古は、“戦う前に、交渉により配下にくだってくれていれば……”という思いもあったのではないか、と思います。


那賀須泥毘古との“一大決戦”は、相手方だけではなく、
伊波禮毘古たちの一行も、みな、心身ともに疲弊していました。

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伊波禮毘古の言霊の歌

一息つけるか、と思う間もなく、いきなり新たな敵が出現します。

地元の兄師木(えしき)、弟師木(おとしき)という兄弟が率いる荒ぶるものたちが現れてしまいます。
言葉で配下に入ることを交渉しても、まったく耳を貸しません。

激しい攻撃を仕掛けてくる兄師木、弟師木にみな、困惑し、対抗しますが、なかなか決着もつかずに長引いていく、伊波禮毘古たちはさらにもう疲れ果てていました。

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これではいけない……

自らも疲れを隠せない伊波禮毘古。
深い山や谷の険しき道なき道の旅、それだけでも大変ですが、
言霊で従わない、相手とは、戦わなければならない。
もう体力もありません。
さらに、兄師木と弟師木との戦が長期化し、食料も底をついていたのです。
自分を信じ、困難な道を共に歩んでくれた仲間たちが、
座り込み肩を落とし、お腹を空かせています。
戦う気力も体力も残っていません。

絶対絶命のピンチ! 
この生死を分ける窮地は、もう何度目でしょう。

伊波禮毘古の体力も気力も限界に近づいていました。

これではいけない……。
天命を果たすのだ……。
天照大御神さまはじめ天つ神さま、兄上~……。

伊波禮毘古は再び、力を振り絞り、
祈りを込めて言霊の歌を歌ったのです。

♪楯並めて 伊那佐の山の 樹の間よも い行きまもらひ戦へば
吾はや飢ぬ 島つ鳥 鵜養が伴 今助けに來ね♪


楯を並べて、伊那佐の山の樹々の合間を、
行ったり来たりして、見張りをしながらも戦うことで、
もう私たちは、飢えてしまい疲れ果ててしまっている。
あ~島つ鳥よ、鵜飼の民よ~
今すぐ、われらを助けにきておくれ~~

配下の仲間、みなのことを想って……。
高天原の神々へ向けて……。

無心のこころで、皆のことを助けたいと祈り
残る体力のすべてをかけて、声を出し歌った
のです。

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“助っ人”天つ神登場!


すると、伊波禮毘古の元へと、一柱の神がやってきました!!

私は、邇芸速日命(にぎはやひのみこと)と申します。
天つ神の御子が、高天原から天降ったと聞きまして、
私も、追って天より天降ってきたものでございます。

そして、こちらをお持ちしました。
これは、高天原の宝物である“天つ瑞”(あまつしるし)でございます。
私は、この“天つ瑞”を、御子に献上し、そしてお仕え申し上げます。

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そう頭を垂れると、邇芸速日命(にぎはやひのみこと)は、
天つ神の子の証“天つ瑞”の、天羽羽矢(あまのははや)と、
歩靱(かちゆき)という、高天原の矢と矢を入れる入れ物を
伊波禮毘古に、奉りました。

おお~、まさしくこれは、天つ瑞であることよ!!
天つ神、邇芸速日命(にぎはやひのみこと)よ、
よく、よく、よく、来てくれた……。

伊波禮毘古は、天つ神という最高の助っ人の登場に、
あまりの嬉しさから最後は涙が溢れ言葉になりませんでした。
伊波禮毘古の言霊の祈りは、天にも地上にも通じたのですね。

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―次回へ

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