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倭姫命様「国褒め」寿ぎの言霊 平和と平穏の祈り 元伊勢一一五 神話は今も生きている ことの葉綴り四四五

終夜(よもすがら)の幸せな祝宴

こんにちは。雨降りの週半ばの午後、皆さん、いかがお過ごしですか? 私は雨の音を聞き名がら、午後のひととき、お仕事の合間少しだけ、「ことの葉綴り」に向かいます。
今日も宜しくお願い致します。
肌寒いですから、風邪ひかぬようにお気をつけくださいね。

天照大御神さまが、伊勢の神宮にお祀りされるまでの「元伊勢」の物語が、まだまだ続いております。

初代の斎王、豊鋤入姫命(とよすきいりひめのみこと)さまの、ご巡幸の物語は、こちらをご覧ください。

二代目の斎王となられた倭姫命(やまとひめのみこと)さまの、伊勢までの物語はこちらを。

「ことの葉綴り」神さまごとの物語は、マガジンに。

天照大御神さまが、天上界の高天原の御戸を開かれて、地上をご覧になられて、お鎮まりになる宮処と、見定めておられたところは、
まさに、伊勢の国、五十鈴の宮でした。

倭姫命さまは、御夢で、そのことを教えられました
そして、長きにわたり、ご巡幸の旅をご一緒してきた、重臣の五大夫(ごたいふ)たち、大幡主命(おおはたぬしのみこと・大若子命)さま、はじめご一行一同は、終夜(よもすがら)、お祝いの宴を開かれ、共に舞い踊り喜びに包まれていました。
きっと、そこには、倭姫命さまのご巡幸の最初の頃にであった童女で、天照大御神さまに仕える大物忌(おおものいみ)となった大宇祢奈(おおうねな)さまもいたことでしょうね。
(私、この大宇祢奈さまのファンなのです ^^)

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倭姫命さまの寿ぎ、国褒(ほ)め

爰(ここ)に、倭姫命、「朝(あした)の日来(ひき)向かふくに、夕べの日来(ひき)向かふくに、浪の音聞こえざる国、風の音聞こえざる国、弓矢鞆(とも)の音聞こえざる国、打摩伎志売留国(うちまきしめるくに)、敷浪七保(しきなみななほ)の国の吉(よ)き国、神風の伊勢の国の百伝(ももつた)ふ度会の県(さと)の折久志呂(さこくしろ)五十鈴の宮に鎮まり定まり給へ。」と、国保伎(=寿ほき)し給ひき。

盛り上がる祝宴の中、ここで、倭姫命さまは、一堂のものたちへ次のように語られました。

朝の日が向ってくる国、
夕方の日が向ってくる国、
浪の音が聞こえない国、
風の音が聞こえない国、
弓と矢、そして(武具の)鞆の音が聞こえない国、
波が、稲穂のように、幾重にも打ち寄せてくる素晴らしき国、
神風の伊勢の国の、度会(わたらひ)の県(さと)の(佐古久志呂)五十鈴の宮に、お鎮まりになり、ここを御殿としてお定まりくださいませ。

大幡主命(おほはたぬしのみこと)と同じように、倭姫命さまも、皇祖神である天照大御神さまのために、国を寿(ことほ)ぎ褒め称えるお言葉を、言霊を申し上げられたのです。

ちなみに、倭姫命さまは、ご巡幸中も、言霊で国を褒める国褒(ほ)めの行事をされていましたよ。
尾張の国「中嶋宮」にお遷りになたっときのことです。

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神話「天孫降臨」邇邇芸命の国褒め

倭姫命さまは、「朝には朝日が昇り、夕方には夕陽が向ってくる国」と、国褒めなさいました。

神話の『天孫降臨』の物語でも、天照大御神さまの孫神の邇邇芸命(ににぎのみこと・瓊瓊杵尊)さまが、天上界から地上へと降臨されるとき、
朝日の直刺(たださ)す國、夕日の日照國なり
故、此地(ここ)は甚(いと)吉(よ)き地(ところ)」と詔されて、国を褒めておられます。


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波の音、風の音、弓矢鞆の音がないとは……。

朝には朝日が昇り、夕方には夕陽が向ってくる国」に続き、「波の音が聞こえない、風の音が聞こえない」とは、どういうことでしょう?
これは、島国の日本列島において、自然災害のないようにと願われ
弓矢鞆の音聞こえない国」とは、武器を使う必要のない、戦争のない平和な国であるようにと、非戦の願いが込められているのです。

倭姫命さまの、国褒(ほ)めの寿ぎの言葉に、その場にいた誰もが、耳を傾けて、一言一言、その言葉を、言霊をかみしめるように、聞き入っていたにちがいありません。

自然災害や戦がなく、美しい朝日が輝き、一日が無事に営まれて、茜色の夕日が静かに沈みゆく……。

自然とともに、人とともに、平穏に平和な地でありますように
どうか、天照大御神さま、こちらにお鎮まりになり、永久にこちらの宮にお定まりになりますように!!!

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倭姫命さまの祈りは、今も。

今、じっくり読んでみても、なんだかジーンと胸に響いてくるのですが……皆さんは、いかがでしょう?

二千年以上も前、天照大御神さまがご鎮座なさった五十鈴宮
倭姫命さまが、言霊で国褒めをされた五十鈴宮
それが、伊勢の神宮「皇大神宮」

私達がお参りできる、ありがたさ
そこに天照大御神さまご鎮座なさってくださっている、喜び……
そして、その尊き光……

神話は今も続いている。伊勢の神宮に。
そして、私たちの心にも……

では、また次回! ありがとうございます。

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―次回へ
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