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竜宮城での新婚生活 海幸山幸10 神様も“失敗”して成長した ことの葉綴り。百七三

竜宮城の主・綿津見神(わたつみのかみ)

こんにちは。午後暑さがピークになる時間ですが、「ことの葉綴り。」に向かいます。


山幸彦は、海の神の宮殿の入口で、
豊玉毘賣(とよたまびめ)と運命の出会いをします。

豊玉毘賣(とよたまびめ)も、山幸彦に一目惚れ。
お互いに見つめ合い、惹かれあい、

今すぐにでも、まぐわいたい……。

恋の炎が燃え上がろうとした瞬間、
なぜか豊玉毘賣さまは、身を翻し海の宮殿へと戻ったのでした。

何があったのでしょう?

豊玉毘賣さまは、その足で、この宮殿の主で父である
海の神・綿津見神のもとへと駆けつけました。

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そして、器の底にくっついた山幸彦の勾玉を取り出して
父神に説明したのです。

父上、私たちの宮殿の門に、とても見目麗しい方がいらっしゃっています。でもどこのどなかたわからないのです……。
このような美しい宝玉の持ち主です。

豊玉毘賣さまは、一目惚れはしましたが、
その場で、すぐに結ばれることはしなかったのです。


なんと、これは高貴な宝玉ではないか……。
確か、天つ神のものではないか……。

娘から話を聞き、勾玉を目にした綿津見神は、
自らも腰を上げて、娘の豊玉毘賣とともに
宮殿の門へと出で、その宝玉の持ち主が誰かを
見にいったのです。


そして、目を見開いてたいそう驚かれました。

なんと!!!
娘よ、この人は高天原から、豊葦原中つ国に天孫降臨された、
天津日高の御子、邇邇芸命さまの皇太子さまではないか!!!
なんと、尊いおかたがいらっしゃったものか……。 

みなのもの、さあ、御子さまを、急ぎ、お迎えする準備をせよ。
我が宮殿に、丁重にお迎えしご案内するのだぞ。


そして、綿津見神は、山幸彦に近寄っていき
丁寧にこう声をかけました。

これは、これは天津神の御子どの。
この海の宮の竜宮城へ、ようこそおいでなさった。
さぁ、おはいりくだされ。

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豊玉毘賣を娶る

竜宮城の立派な広間では、天津御子を迎える準備をしています。

アシカの毛皮の敷物を、八枚も重ねて敷きならべ
そのうえには、柔らかな絹の座布団を八枚も重ね、
客神である山幸彦を、その上に座らせます。

さあ、御子どの。
こちらにお座りくだされ。
長旅でお疲れでありましょう。
今、ご馳走も用意しております。

百もあろうかという沢山の食卓には
あらん限りの海の幸やご馳走や、贈り物を並べ、
山幸彦を、大歓迎しての宴を開きました。


そして、綿津見神は、山幸彦に一つのお願いをします。

御子どの。
我が娘神の豊玉毘賣をお気に召していただけたなら
父である海の神でる私も、こんな幸せなことはございません。
嫁にもらってやってください。


美しい竜宮城の姫に一目惚れしていた山幸彦。
異論があるはずもありません。

綿津見神の隣に座っている、豊玉毘賣も、頬を赤らめています。
その横顔を眺めながら、山幸彦は、綿津見神へとこう答えました。

綿津見神、よくもてなしてくれて、ありがとう。
ぜひ、あたなの姫神を私の嫁にください。

目出度く、山幸彦と豊玉毘賣は、結婚しました。

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幸せな竜宮城の日々

山幸彦は、竜宮城の姫神の豊玉毘賣を
豊玉毘賣は、天津神の御子の山幸彦を
お互いに大切に愛し合いました。

豊玉毘賣も、遥か遠くから来た夫神を
楽しませようと
侍女や魚たちに、歌や舞を披露させて
海の幸のご馳走で食卓を飾りました。

二柱(人)になると、ずっと肌身離れず
夫婦睦まじい時を過ごしていました。

来る日も、来る日も
そこにあるのは竜宮城の満ち足りた暮らしと
夫婦で共にすごく幸せな毎日でした。

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気が付くと、三年の歳月が過ぎていたのです。
―次回へ。

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