神床で見た夢 崇神天皇 神話は今も生きている ことの葉綴り。二五九
疫病の流行
おはようございます。秋晴れの週末の朝、小鳥の囀りが聞こえてきます。そして、外出前に「ことの葉綴り。」のひとときです。
さて、第十代崇神天皇(すじんてんのう)の御代の物語です。
崇神天皇(すじんてんのう)は、三輪山のふもとの師木の水垣宮(みずがきのみや)で即位されて天下を治められました。
この御代の五年、伝染する疫病が世の中で大流行し、各地に蔓延していったのです。
まさに、コロナ感染症が世界に蔓延している現代と同じですね。
とはいえ、この時代、今のような医療は発達していません。
人々の多くが倒れて亡くなっていきました。
過半数の人が亡くなったともいわれます。
このままだと、人民がすべて疫病で死んでしまう……。
生きている人も、多くが都から逃れていきます。
また背く人も出てきました。
崇神天皇(すじんてんのう)は、朝から夜遅くまで、政をおこなわれても、疫病は収まりませんでした。
そのことに、たいそう心を傷めれました。
「これほど疫病が収まらないのは、私に徳がないからでないか……」
多くの民を喪われ、ご自身を責めて悲嘆にくれました。
神床(かむどこ)
そこで、神床(かむどこ)に入り、天照大御神(あまてらすおおみかみ)さまはじめ、神々の神意をうかがうことにしました。
神床(かむどこ)とは、夢で神さまのご神意を得るために、忌み浄められた床です。
覚えていますか?
初代天皇となられた神倭伊波禮毘古(かむやまといわれびこ)も、夢をご覧になり、神さまのご神意を得て、祭祀を執り行われています。
ご先祖の初代の天皇のなさったことを、“原点”に戻りなさった感じですね。
その夜、崇神天皇(すじんてんのう)は、次のような夢をご覧になります。
大物主大神(おおものぬしのおおかみ)のご神託
崇神天皇(すじんてんのう)の御夢に、国つ神の大物主大神(おおものぬしのおおかみ)が、現れました。
そして、こう仰ったのです。
御眞木入日子印恵命(みまきいりひこいにえのみこと)よ。
これは、崇神天皇(すじんてんのう)のことです。
この世にいま、疫病が流行っているのは、我が心の意志によるものじゃ。
よいか、私の子孫である、意富多多泥古(おほたたねこ)を探しだして、祭祀者として、私を祭らせるのじゃ。
すれば、神の祟りも鎮まり、国安らかに、平におさまるであろう。
夢から覚めた崇神天皇(すじんてんのう)は、この大物主大神(おおものぬしのおおかみ)のご神託を受けて、さっそく動き出します。
「みなのもの、よいか、早馬による使いを、四方各地に走らせよ。
そして、『意富多多泥古(おほたたねこ)』という方を探し出して、丁寧にお連れせよ~!!」
時代が、御代が、何かが大きく動き出した瞬間でした。
―次回へ
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