塩釜のことを思い出しながら
十年前の三月十一日、私は高校を卒業したばかり、春からは浪人生活が控えていて、取り立ててやることもないのでのんびりと家で転がっていました。地震が来た時にはぼんやりテレビかなにかを見ていたと思います。家が軋むほどに地面が揺れはじめ、慌てて表に出ると玄関先の水たまりがぱちゃぱちゃと音を立てて波立っていて、ずいぶん驚きました。見慣れた庭の水溜まりが波立つ不思議な景色は人生で初めての経験で、今でもよく覚えています。しかしその後すぐ、テレビで報じられた津波の映像を見て、比較にならない衝撃