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5月20日 : 大浴場と家族の夢

 在宅で仕事をする。嫌な仕事ばかりで終日気分があがらない。夜ウーバーイーツで夕食をとり、ベッドでアニメを見ているうちに眠ってしまい、起きようにも起きられない半睡半醒の状態が続きくらくらする。
 夢の中で私は外回りをして帰宅をした。陽が傾きあたりは夕焼けに染まっている。マンションの外壁にある九十九折の外階段を登ると五階に大浴場があった。そういえば入居して4年にもなるが利用するのを忘れていた。会社の金とはいえせっかく共益費を払っているのにもったいない。私は8階の自宅まで一度帰ると荷物を置き、ベッドの上に浴衣が畳んであるのに着かえて、サンダルをつっかけ風呂に向かった。外回りの階段を降りて行く。長い階段をぐるぐる降りていくと5階と6階の間の踊り場が岩造りになっていて湯が溜まっていた。足をつけると気持ち良く温かい。がしかし目的の大浴場はまだ先であるので私は湯をかき分けて5階を目指した。古びたガラス窓がはまったアルミサッシの引き戸を開け、暖簾をくぐると土間が切ってあって自販機がある。土間の先には長い廊下である。赤い絨毯が引いてあってどんづきまで歩くと畳の大広間がある。それを超えていくとようやく大浴場だ。久しぶりにたっぷりの湯につかる。新垣結衣が出ていたドラマのことを思い出そうするが関係の無いドラマばかり思い出される。そもそも新垣結衣がでてくるドラマを見たことが無いのかもしれない。断片的なシーンが頭をよぎる。マンションの廊下を渡ってその先に見える自宅のドアが開いており、中には和やかに食事をする家族のシーンが見える。酒も入ってにぎやかなようだ。私は回想をやめて湯から出て、体を拭くとまた浴衣を羽織って外へでた。広間と長い廊下を抜け、表にでて外階段へ出ると景色が遠くまで見えて気持ちが良い。これは今はもうない祖母のマンションからの眺めと一緒だ。自販機で買ったコーラを飲みながら、火照った体を夜風にあてて汗を乾かした。5階と6階の間の湯だまりを今度は身を濡らさないように注意深くやり過ごし、8階を目指した。戻ると自分の部屋のドアが開いている。ドアの中をのぞくと今は亡き祖母の家だ。家族親戚が集まって食事をしている。酒も回って賑やかだ。戸口に立った私を指さしてみんながどっと笑いだした。

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