2019年2月27日の日記:自殺について考えたこと

 学生時代、相継ぐ自殺の対策で研究室のビルすべての窓の鍵がガムテープで固定されたことがあった。その一見ガサツにも見える自殺対策を当時は鼻で笑っていたのだが、今思えばあれはなかなか効果的なものなんじゃないのか。自分への殺意というものを知って初めて理解が及んだのだが、死への欲求はどうしようもなく突発的に、衝動的に大きくなるものだ。あんなガムテープでも刹那の絶望による衝動的な行為を足止めして、冷静になるだけの時間を作る効果はあったと思う。あのガムテープを丁寧に剥がし窓から身を投げる者がいたとすれば、そいつはもう手遅れで、たとえ窓がなくとも別の方法で死ぬだろう。都会での生活はその手の衝動に対してあまりに無防備だ。明日電車に飛び込むのが自分じゃない保障は少ない。  

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