マガジンのカバー画像

もうひとつの近代史【敗者の矜持】

4
「勝者」の側から語られている幕末・明治の歴史。「敗者」と位置づけられた立場から検証すると、思いがけない真実が見えてきます。負けても心だけは決して折れない勇敢な敗者の生き様をお伝え… もっと読む
運営しているクリエイター

記事一覧

台湾で神さまになった幻の天皇

幕末から明治初年に2ヶ月というごくわずかな期間、南北朝時代を彷彿とさせるような状況があったことをご存じでしょうか。東の天皇として即位したのは、天台座主でもある輪王寺宮親王でした。宮は流転の生涯の末、台湾で神さまとして祀られています。それはなぜなのか。あまり知られていない歴史についてお話しいたしました。

上野にて。ボードワン博士、モース、フェノロサ、そして岡倉覚三へ

上野にて。ボードワン博士、モース、フェノロサ、そして岡倉覚三へ

上野を歩くなんて

何年ぶりだろう。

忘れかけていた懐かしい風景、

そう、東京は案外

緑の多いところだった。

もともとは上野寛永寺の敷地だったのを

明治政府が取り上げて

軍用地にしようとした。

それを断固阻止したのは

実は、日本人ではない。

オランダ人軍医のボードワン博士である。

その猛反発ぶりに明治政府が折れ

上野公園としての整備に

取って代わられた。

明治の元勲といえ

もっとみる
忘れてしまえ

忘れてしまえ

 人は何事によらず、胸の中から忘れ切るということがでいないで、
終始それが気にかかるというよでは、そうそうたまったものではない。
 いわゆる坐忘(ざぼう)といって、何事もすべて忘れてしまって、胸中闊然として一物をとどめざる境界に至って、始めて万事万境に応じて縦横自在の判断が出るのだ。

誰もが「激動の時代」を実感している今、
身も心もいかに軽くあるか、ということが鍵になる。

ずいぶんいろんな本が

もっとみる
アジアで初めて第九が歌われたのはドイツ兵収容所だった

アジアで初めて第九が歌われたのはドイツ兵収容所だった

毎年、師走になるとベートーベンの交響曲第九番があちこちで演奏されます。合唱に参加しているという方も多いのではないでしょうか。
もはや日本の風物詩となった第九ですが、初めて我が国で演奏されたのは大正時代、1918(大正7)年6月1日のこと。演奏したのは、なんとドイツ兵捕虜でした。
場所は徳島にあった板東俘虜収容所。
日本初の第九演奏の背景には、【武士の情け】を貫徹した、ある会津人の存在がありました。

もっとみる