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ただ、くまちゃんの夢を見ている
ハンドソープをワンプッシュした時にできる、くまちゃんが好きだった
少女は、まだ陣痛を知らない
重ねる掌の温かささえ、寂しさを埋める夜でさえ、少女同士事足りることだと思っている
月はいずれ欠けるものである
矢継ぎ早のお誘いに段々嫌気は差すもので、「冬の海が好きだ」と言った君にただ「寒いね」と返すだけだった
LINEの返事は2週間後が当たり前だった、誰からもペースを乱されたくなかった
街で流れる音
ペンと瘡蓋、あるいは私自身のこと
登らなくともいい山を登っている
見ず知らずの声が丘をくだり、背骨を砕く
その痛みがただ、
傀儡の足を突き動かしている
指先は爛れ、垢に塗れて、
誰もが物言えぬ海月になっている
登らなくてもいい山は、
誰かが作ったものだった
よく見ればただのハリボテであった
誰もが無知なままでいて、
誰もが緩やかに忘却し、
残るのはただ、
目の前の粗雑な険しさのみである
私は彼らの背中に宿る、
兎の皮を被されたハイ