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プロジェクトマネジメント五つの呪い

皆さんの中には仕事でプロジェクトを回す立場になられている方も多いことと思います。当社でも人事制度設計プロジェクトを始め、常に多数のプロジェクトが同時進行しており、プロジェクトをいかに効果的・効率的に進めるかは極めて重要な経営課題です。コンサルティングという仕事柄、これまで数百件のプロジェクトに関わって来ましたが、プロジェクトの種類、規模やスコープの大小、期間の長短に関わらずプロジェクトマネジメントにおいて生じがちな落とし穴があることが経験上分かってきました。ここでは「プロジェクトマネジメント五つの呪い」としてそれらをご紹介したいと思います。

1.スケジュールは必ずビハインドになる
プロジェクト管理において重要な要素がスケジュール管理です。どのプロジェクトにおいてもプロジェクトマネージャ(以下プロマネ)は、スケジュールを守らせるため必死になって色々なプロセスを短縮化したり効率化して予定通りに進行させようとします。しかしながらほとんど常に、進行を邪魔する要因や突発的な事象が生じ、スケジュールはビハインド(遅延)になるのです。クライアントは当然コストを最小限にしようとしますから、元々の想定がかなりタイトなスケジュールになっていることが多く、ほんの少しのトラブルでもすぐにビハインドになってしまうことも多いです。また些細なサブプロジェクトがボトルネックとなり、他はすべて予定通りなのにそのせいで全体がビハインドになることも良くあります。常に全体を細部まで細かく把握することで、ある程度は防止出来ますが生半可なことではありません。

2.嫌な予感は必ず当たり、良い予感は当たらない。
経験豊富なプロマネであればプロジェクトを進めるうちになんとなく嫌な予感がしてくることがあります。明確なトラブルやミスは生じていなくとも、いずれ起きるのではないかという予感がするのです。残念ながらその予感はほとんどの場合当たります。クライアントのクレームであったり、思いも寄らぬトラブルであったり、様々な形で現れます。先に予防策を立てられれば良いのですが、実際にはなかなか先手を打つことが出来ず予感が当たるまで放置されてしまうケースも多いのです。そして逆に希望的観測に基づく良い予感が当たることはまずありません。良い予感は実はただの幻想なのです。

3.トラブルは起きて欲しくないタイミングで起きる。
嫌な予感が当たるタイミングというのは、大抵の場合トラブルが最も起きて欲しくないタイミングです。まるでプロジェクトの神様が意地悪をしているのではないかと思うくらい、「なんで今???」という時に限ってトラブルが起きるのです。久々の休みを取って旅行に行こうとしている空港で、責任者が家庭の事情で出社出来ていない日に、トラブルのクレーム対応でお詫びに伺った帰り道に、電話が鳴る・・・(すべて実話です。合掌)。まさにマーフィの法則が当てはまるのです。

4.スコープは際限なく広がり期待値調整は必ず食い違う。
多くのクライアントは、プロジェクトで達成したい目標や成果が発注段階では曖昧です。プロジェクトが進行するうちに次第にそれが明らかになり、だんだんと欲が生じて来ます。あれもこれもとなりがちで、かつ応分のコストを負担してくれることは稀です。「こういうことが出来ると言ったよね?」という話になり、初期段階での期待値調整に失敗していることが明らかになってくるのです。案件を獲得するために期待値を高めすぎてしまうと後で火だるまになってしまうのですが、そもそも期待値を高めておかないと受注出来ないケースも多いので、なかなかこのサイクルから抜け出るのは難しいのです。

5.原価は常に想定を上回り、顧客はそれを払ってくれない。
こうしてプロジェクトのコストは上昇を続けます。まるで一時期の北洋木材の輸入のように、ロシアの港を出港した日から一時間ごとに原価が上昇を続け、あっという間に損益分岐点を下回り赤字がパイルアップしていきます。横浜の港沖合に停泊し入港許可を待つ間ももちろんコストだけが膨らんでいくのです。顧客は「着いた荷物(プロジェクト成果)にしかお金を払わないよ」と言うので泣く泣くかかったコストは自社で抱えることになり、大赤字でプロジェクトが終了します。これを防ぐ唯一の方法は契約時にきちんと詳細を定めておくことしかないのですが、いい加減なペラペラの契約書で運用しているケースも多く、追加コストについて泣き寝入りせざるを得ないケースもたくさん見て来ました。

これらの呪いをすべてまともに受けてしまうと、当初想定のワーストケースシナリオどころか、さらにその下を行き地下水脈並みのズンドコプロジェクトになってしまいます。プロジェクトマネジメントに関わる方々は、これらのことを肝に銘じ、ゆめゆめいい加減な契約書と高まりすぎた期待値でふわふわしたプロジェクトとならないよう、ぜひお気を付けください。次の機会では、これらの呪いをあらかじめ防ぐコツについてお伝えしたいと思います。

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