宇宙磁場の源泉がみつかった?
宇宙線から我々を守る地磁気。ようは地球は巨大な磁石ということです。
素朴になんで?と疑問を感じますが、これは地球コア内の電気を通しやすい鉄などの物質が液体状態で移動することで誘発しているのであろう、と考えられています。
地球以外にも、他の天体・銀河・そしてその間の宇宙空間にも磁場は存在することが分かっています。
当然地球とは違った環境ですので(むしろレア)、同じ原因でくくるのは無理があります。
これは結構謎とされていたのですが、1つ有望な仮説が発表されました。
ようは、
乱流運動をする電気を帯びた粒子が自発的に磁場を生んでいる、
という話です。
電気を帯びた粒子、具体的には「プラズマ」です。
ざっくりいえば、安定的な原子(陽子の周りを電子が捕捉された状態)から電子が分離されて電気的に偏りを持った分子です。
関心ある方は、下記のサイトがお勧めです。わかりやすい図も引用しておきます。
上記のうち、おそらく一番身近なのが、太陽のプラズマで、これは「太陽風」となって我々の地磁気を狂わすこともあります。
このあたりは、過去にも触れたので引用にとどめます。
もう1つ挙げるとすると、太陽内の核融合プロセスを人工的に起こしてエネルギーを取り出そうとする「核融合発電」も、このプラズマ状態を維持することが難所の1つです。こちらも過去投稿を1つだけ引用しておきます。
それで話を戻すと、宇宙全体では低密度領域(上図でいう左下領域)が大半です。上記解説サイトでも宇宙の物質は99%以上がプラズマ状態といわれているそうです。(ちょっとこれにはびっくりしました)
そして今回の研究対象がまさにこの低密度領域でのプラズマ生成説です。
乱流から自発的に、と書きましたがこちらでその論文が公開されています。
なかなかついていくのが難しかったのですが、恒星が集まった銀河(または銀河団)の重力増大が乱流の要因となったと仮定しているようです。
そしてプラズマ粒子の動きが熱的に偏りを持った「Weibel不安定性」といわれる状態となった。耳慣れないと思うのでもっと知りたい方はこちらの千葉大学による解説サイトを参照ください。
ここまでは過去形ですが、それを先ほどの乱流を組み込んだコンピュータシミュレーションで、磁場がふわっと消えずにむしろ加速度的に強くなっていく様子を観察することに成功した、という話です。
このモデルを成長させると、宇宙全体の構造への探求につながるかもしれません。
元記事では言及されていませんが、やはり地磁気がないと宇宙線を直撃し、我々のような生命体(曖昧に書いてます^^;)だと生命存続は難しそうです。
今回のモデルが発展し、それが長年行われていた地球外生命体探索のフィルターとして機能する日がいつか来るかもしれない、と勝手に妄想をふくらました今日この頃です。