見出し画像

Natureが選ぶ今年のサイエンスに影響を与えた10名(前半)

英国の科学雑誌Natureは、毎年「ことしの10人」を選んで発表します。
つい先日に2022年版が公開されました。

今回は、元サイトの文意を崩さない程度に、それぞれの業績を端的に紹介したいと思います。今回は前半5名です。(順番に優劣はありません)

  1.  Jane Rigby: Sky hunter
    天文学の今年最大のイベントともいえる、ジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡の打ち上げに貢献しました。
    打ち上げに成功し7月の画像初公開でバイデン氏とともに登壇したのもRigby氏は、この望遠鏡の名前だけはあまり好ましくないそうです。
    Rigby氏は、LGBG+の科学者が冷遇されない活動にも携わっており、過去に問題のある対応をとったときの高官の名前が望遠鏡についているからです。

  2. Yunlong Cao: COVID predictor
    遺伝子の研究者で、COVID19の新種(Omicron)抗体を予測する研究などに功績を残しました。
    具体的には、ウイルスの進化とそれによる抗体パターンの予測を(通常のやり方では数年かかっていたものを)数週間で完了できる方法を開発しました。
    目下、今後の進化にも耐えうる新しい抗体療法の設計を目指しています。

  3. Saleemul Huq: Climate revolutionary
    バングラディッシュの気候科学者で、COP27への貢献が評価されました。
    経済的に困窮している国々が気候変動対応による被害を被らないような調整に尽力しました。
    彼は2015年に締結されたパリ条約に至る前からコミュニティ活動に尽力しており、一貫してそれによる富裕国との公正を主張していました。

  4. Svitlana Krakovska: Voice for Ukraine
    2022年のIPCC最終報告書において、単なる気候変動だけでなく、ロシアのウクライナ侵攻ルートとのつながりを指摘および主張することに貢献しました。
    根っこは化石燃料への依存にあるとして、この戦争を「化石燃料戦争」と呼び、ウクライナの科学視点で見た被害も含めてIPCCの活動を通じて世界に影響を与えています。

  5. Dimie Ogoina: Monkeypox watchman
    サル痘の流行を防ぐことに貢献したことを評価されました。
    2017年に母国ナイジェリアで初のサル痘症状を診断し、その後の感染ルートと対策について尽力することで、大規模感染を防ぐことに貢献しています。
    今後のアフリカでのウイルス感染の防止方法について、今でも危機感を訴えて賢明な方法を働きかけています。

次回は、後半として下記の5名の方々について紹介します。

  1. Lisa McCorkell: Long-COVID advocate

  2. Diana Greene Foster: Abortion fact-finder

  3. António Guterres: Crisis diplomat

  4. Muhammad Mohiuddin: Transplant trailblazer

  5. Alondra Nelson: Policy principal

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?