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【シナリオ】大学4年夏、練習後に二駅分歩いた話。


〇夏 20時過ぎ 


人気の無い道を歩いている女子3人。
琴と栞は並んで歩き、その前を歩く理子は、
携帯でGoogleマップを開いている。

琴「ねぇ、理子のうなじめっちゃ綺麗。」
理子「まじ?」
琴「まじ、お団子大優勝。」
理子「やったー。」
栞「俺が理子のこと好きだったらねー、チューしてたね、そのうなじに。」
理子「ごめん、それはキモイ。」
栞「ねぇ、なんだっけ、あの、サビの振り。前出て開いた後。」
理子「めっちゃスルーするじゃん。」
琴「くるくる2回。」
栞「あ、それだそれだ。それいつも抜けるなー。」
琴「その後は?」
栞「その後はねー…。…。」
理子「キス、回る、座る!」
琴「天才!」
栞「ぞれだぁぁ」
理子「シオ今日0.5遅かったもんね。」
琴「何?0.5って。」
理子「秒数。」
栞「うるせ!いや、だって私今日初日よ!?振り入れ初日にしてはよくできた方でしょ!」
理子「よくできまちたねー、シオちゃん。」
栞「バカにしてぇー。」
琴「いやー、面白かったなぁ今日も。」
理子「面白かったけど、…この展開はないわ。」
栞「まじそれ。練習疲れて足が棒って時にとどめすぎる。あと何分くらい歩く?」
理子「いやまだまだよ(笑)まだ椎名町もいってない。」
栞「嘘でしょ!?」
琴「まだ歩いて10分くらいだもんね(笑)」
栞「もう1時間歩いた気分だよー…。」
理子「運転再開はまだしてないよね?」
琴「(携帯を開き)…た、ぶん。うん。してない。」
理子「よかったー。」
栞「何で?」
理子「優越感だよ。駅着いた時にさ、歩かないで東長崎で待ってた人達は、まだ東長崎で立ち往生〜の方が、なんだろう、頑張った対価!!って感じしない?」
栞「あー、それはあるわ。」
琴「確かにここまで歩いて「予定より早く運転再開出来ましたー」は泣いちゃうね。」
栞「でもよく歩こうなんて言い出したよね、こっちゃん。」
琴「だって1時間も座って待ってるなんてやってられないよ。」
栞「いや、私だったら座って待つわ。」
琴「え?」
理子「あたしもー。」
琴「え、じゃあなんで来たの。」
2人「「…まぁ、面白そうだったから?」」
琴「なにそれ。(笑)」
理子「1人じゃなかったしねー。」
栞「2駅なんて歩いたこと無かったし。」
理子「あるだろ。」
栞「あったわ。」
琴「終電ね。(笑)」
栞「まぁ、思い出よ思い出!サークル帰りに同期と40分歩くなんて青春じゃん、卒業したらもうこんなことできないしさ。」
理子「確かにねー。」

間。

琴「…2人とも就職しないんだっけ?」
2人「「しなーい。」」
栞「あれ、理子ぴも?」
理子「記念就活は終えました。」
栞「素晴らしい。早く飲み行こ。」
理子「打ち上げだな。」
栞「こっちゃんはどしたの結局。」
琴「うーん。。」

間。

栞「ま、踊る時はこっちゃん呼ぶしさ。」
理子「そそ。」
栞「俺が芝居打つ時も呼ぶから客演で。」
理子「あたしは?」
栞「あなたはもうあれよ、座付きの演助だから。あなたいないと俺芝居打てないからね?」
理子「そうだった。」
琴「楽しそう。」
栞「楽しいことだけでいいよー、人生なんて。」
理子「あれだよこっちゃん、就職しても、公演の時だけ休めばいい。有給ってやつだよ。」
栞「それだ!!一石二鳥!」
琴「んーーー、…そうだな、それでいくか!」
栞「はい解決ー。ばいばぁーい!ねぇ、あと何分?」
理子「まだあれから五分しか経ってないよ。」
栞「死ぬーーー。水ーーーー。」
理子「無くなったの??」
栞「コンビニ寄ろ、コンビニ。」
理子「あるかなぁ。」

琴、浮かない顔が取れない。
2人、その様子に気づいている。

栞「…俺さー、こっちゃんにヒロインやって欲しいんだよね。」
琴「え?」
理子「お、いいね。」
栞「いいっしょ、多分似合う。」
琴「どんな話なん?」
栞「知らん、これから書く。」
理子「なんだよー。」
栞「構想もまだ練れてないんだけどさー、でもいつか使いたいんだよねぇこっちゃんのこと。」
理子「こっちゃんってほんとに大学から演劇始めたんだっけ?」
琴「うん。」
栞「いやー、良い逸材いれたよなぁ、大学も。」
理子「ほんとよほんと。」
琴「え、いやいや、何急に。急に褒めるの怖いんだけど。」
栞「じゃあ褒めないどくか。」
琴「いや、それはそれで。」
栞「なんだよ。」
琴「いや褒めて欲しいよ?褒めて欲しいけれども、シオに褒められるのは違和感。しかも急に。」
栞「何をぉー!サークル長に失礼な!」
理子「元々そういう扱いでしょ。」
栞「いや、でもほんとにね、ほんとにね、真面目に、また一緒に芝居したいんよ、こっちゃんと。」
琴「うん。」
栞「またっていうか、まだ芝居一緒にしたことないけど。授業で?しか。」
琴「うん。」
栞「だから、さ、…ね?」
琴「…それ、就職するなって言ってる?」
栞「……そう、とは、言って、ない。」
理子「いや言ってるよ。」
栞「言ってないよ!!!言ってない!!また芝居したいとしか言ってないから!」
琴「言ってるよー。」
栞「直接は言ってないでしょ!」
理子「直接はね(笑)」
栞「だって、だってさぁ、まだ楽しいことの続きしたいじゃん!!楽しい生き方した方がいいよ琴!」
琴「ふふ、そうだね(笑)」
理子「お、笑った。」
琴「うん、笑った。」
栞「おお。」
琴「やっぱ、元気出るね、同期と話すと。」
栞「それは良かった。」
琴「1人だとなんか、ほんと、ただ脳みそぐるぐるしてるだけだから。」
理子「本当にやりたいこと自分から引き出すんって、難しいよね。」
琴「うん。でもなんか、みんなと話してると、わかる気がする。」
栞「やる?演劇。」
琴「…きっとね。」
栞「きっとかーーい!!!」
琴「即決はしない。もうちょっとね、じっくりね。」
栞「いや即決大事よー、悩みすぎんのがこっちゃんの悪いとこなんだから。」
理子「考えんのも大事だから、将来のことだし。」
栞「何背中押してんの。」
理子「即決させて後悔させたくないでしょ。」
栞「そうだけど…。」
琴「…でも、就職しても、しなくても、2人とは一緒に芝居もするし、踊るよ。」
2人「「…」」
琴「え、でしょ?」
理子「うん。」
栞「絶対。」
琴「え、なんで一瞬考えたの?」
2人「「…」」
理子「さっきと顔が変わったから?」
栞「あー、それだ。」
琴「はは、ありがとう。変えたの君たちだよ(笑)」
栞「やった。進路相談しちゃった。」
理子「しちゃったねぇ。」
栞「カウンセラー目指せるかな今から。」
理子「目指すか、とりあえず。」
栞「給料高そうだしな。」
琴「シオの適当加減じゃ無理だよ。」
理子「確かに。」
栞「すげーばかにするじゃん。」
琴「あはは、ごめんごめん。」
理子「あ、ここ曲がる。」
栞「ここ!?」
琴「めっちゃ狭くない?暗いし。」
理子「あああ、ゴキブリ。」
琴「うわああ、路上だからそんなに怖くない。」
栞「やだよこんな気味悪い道。」
理子「じゃあ…遠回りする?」
栞「え!?」
琴「しよー!」
栞「はぁ??」
理子「んじゃこっちー。」
琴「はーい!」
栞「…うえぇえ!?もう無理ー。」


おしまい

ーあとがきー
本当に今日あった話。1人だったけど。笑
サークル帰り、電車止まって2駅分1人で歩きました。
みんなと電車違う方向だったので…。
もしみんな居たらこんな会話してたかな、
こんな会話したかったなとか思った、
大学四年の夏でした。

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