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Fingertip spectacle!

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東京芸大卒業で油絵を専門にしている画家です。機会を待って23年間筆を置いてきました。やっと筆を取る機会が生まれたので作品の意図について詳細に書きます。Fingertip spec…
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#アート

「誰でも魅力的な線を引くことができる。特別な才能はいらない。必要なのは常識です。」FDL Tips 12−5−1−6

「誰でも魅力的な線を引くことができる。特別な才能はいらない。必要なのは常識です。」FDL Tips 12−5−1−6

誰でも魅力的な線を引くことができる
たった1本の線の中にもとても大切なことが沢山詰まっています。
そこを覗いてみた時に駄目な線や無駄な線など1本もありません。
線はその人の生きる姿そのものですし、その人のことを沢山物語っています。
それを見えなくさせてしまうのは褒賞や成績評価です。

誰でも魅力的な線を引くことができる。
つまり誰の線にも実は魅力があります。そこに優劣をつけてしまうことが話をおかし

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「線を引く時の気分。この絵は言うなればうちの犬がオシッコを自由にどこでも撒き散らすような感じ」FDL Tips 12−5−1

「線を引く時の気分。この絵は言うなればうちの犬がオシッコを自由にどこでも撒き散らすような感じ」FDL Tips 12−5−1

今回の作品FDLはちびっこのうちの犬がどこでも好きなようにオシッコを自由に撒き散らすような気分で描きます。
如何に好きなように描くかが今回の作品のポイントです。

好きなように絵を描くとは難しいものです。
意外にそのままではつまらないもの。
目的が明確でなければすぐに嫌いになります。
オシッコを撒き散らす犬の行為には明確に目的があると思います。

私の目的は皆が好きなように、犬がオシッコを撒き散ら

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「線を描いても無邪気な線をみんな引ける気分ではない。」FDL Tips 12−4

「線を描いても無邪気な線をみんな引ける気分ではない。」FDL Tips 12−4

絵は本来は楽しいものです。
本来とは幼児の頃とか生得的な力で野生的に絵を描いていた頃とか、絵の描き方、周りを汚さないなどのルールを与えられる前です。
大人の皆さんとか、物心を覚えた子供も含めて忘れてしまっている頃。
絵はこの本来の楽しさを忘れてしまうという問題を随分昔から知っています。
でもこの問題はとても高い壁で人類は越えようとして未だに越えられないでいます。

この壁を超えられないことは、つま

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「線の楽しい線のそうだコピーを考えよう」FDL Tips 12−3

「線の楽しい線のそうだコピーを考えよう」FDL Tips 12−3

線には無限の可能性があります。
私が今回描いている線は兎に角細さを追求した線。
細くすることによってこれまでになかった見え方がわかる。
細いので光り輝くように見えたり、細すぎて光って見えるのでカッターの刃のように切れそうに見えたりします。

今回の線に対する拘りはとにかく「楽しい」ということ。
絵の外の世界の皆さんには知られていない現実ですが、実はこの世界は奴隷のように扱われることが多い。例えば、

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「線のイメージの線」FDL Tips 12−2

「線のイメージの線」FDL Tips 12−2

視覚で認識できる形には丸とか三角とか色んな形があります。
色んな形の1つの線。

これら幾何学的な形は脳で作られたイメージです。
眼で追った点の集積であったり、細いシルエットの残像であったり。
視覚とは、視て、覚えると書くようによくよく考えると脳で作られたイメージ、つまり記憶です。
網膜に影が映り込んだだけでは知覚とは言えない。
網膜にある神経を通じて脳に情報が伝わってから知覚されます。
脳でイメ

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「線の見えるようになる飽きない線」FDL Tips 12−1

「線の見えるようになる飽きない線」FDL Tips 12−1

絵画には最初は見えずに、よく見ると見えるようになる線があります。
人によって形の認識の仕方は違いますから、初めて見る絵は普段見ている見方ですんなり見えてくるとは限りません。
例えば印象派以降の絵画に多いのは近づいてみると何が描いてあるかわからない、網膜全体で見るような、作品から離れてみる見方。人は基本的によく見る時は網膜の中にある中心窩という1mm程度の部分で細部と色を見ますから、中心窩以外の網膜

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「この絵を描く時はドキドキする。絵を描くことはたまらなく楽しいのです」FDL tips 11−1

「この絵を描く時はドキドキする。絵を描くことはたまらなく楽しいのです」FDL tips 11−1

絵にはアカデミックな絵画、現代アートの絵画、アニメやイラストなどの色んな絵があります。
私の印象ですが、絵画の外の世界では絵を描く時にドキドキしている人は多いように思います。
私にとっての絵画の内側の世界、つまりアカデミックな絵画と現代アートでは絵を描く時に全くドキドキしていない人が多いように思います。脳神経の為に、つまり評価を得る為に絵を描いたりすることで血が通わなくなってしまい、無感動に絵を描

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Fingertip spectacle! Draw a line. 作品解説Tips 10−1「絵画のデファクト」

Fingertip spectacle! Draw a line. 作品解説Tips 10−1「絵画のデファクト」

絵を描く時に大切なことがあります。
それは描く理由を掴んでから描くことです。
楽しむため
ストレス解消のため
何かを伝えるため
見る人を感動させるため
お金のため
出世のため

制作中の作品「Draw a line」 は描きながら思わず「アッ・・」と声を出してしまうことがあります。わかりやすく言うと”しくじった瞬間”です。
世界最高レベルの技芸で線を描いている最中に何度か声を上げることになるのです

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Fingertip spectacle! Draw a line. 作品解説Tips 9「油絵の世界最高の技芸を若い画家と皆さんのために。世界最高の技芸を競う競技の設立」

Fingertip spectacle! Draw a line. 作品解説Tips 9「油絵の世界最高の技芸を若い画家と皆さんのために。世界最高の技芸を競う競技の設立」

Draw a lineは油絵の世界で最高レベルの美しさの「線」の技芸で描いた絵です。

この絵は今後の若い画家が絵画の評価で困らないようにすることを最終的な目的に描きます。

若い画家は絵画の評価が明確に定められていないために困惑しています。

若い画家が困らないようにするためには評価を詳細かつ明確に定める事が必要です。

そしてそれが正しく機能するには、若い画家以上に、絵画の世界の外にいる皆さん

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Fingertip spectacle! Draw a line. 作品解説Tips 4「指先の高度な技芸の世界へようこそ」

Fingertip spectacle! Draw a line. 作品解説Tips 4「指先の高度な技芸の世界へようこそ」

Fingertip spectacleは絵を描く時、鑑賞する時、考える時、想像する時の指先の世界の価値をアートの世界、それとアートの世界の外にいる皆さんに伝えるために制作する絵画です。

絵画には制作者でなければわからない美しさがあります。
皆さんが歩くように。呼吸をするように。
皆さんが歩いている時には筋肉の動き、地面に触れる足、伝わる重さ、腕のフリ、背中の伸びを神経を伝って感じ取っています。そ

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Fingertip spectacle! Draw a line. 作品解説Tips3「Tipsで皆さんにお伝えすること」

Fingertip spectacle! Draw a line. 作品解説Tips3「Tipsで皆さんにお伝えすること」

Fingertip spectacle! は手元の壮大な光景の美しさを皆さんに教えることを制作のコンセプトにしています。Tipsの1つ1つは作品のコンセプトです。これを読まなければ作品の意図はわかりません。つまりこれを読まなければ作品の美しさは気付かないのです。
Fingertip spectacle! のTipsには絵画の歴史上これまでになかった美しさを導入することを仕掛けています。それは少しず

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Fingertip spectacle! Draw a line. 作品解説Tips2「絵画の世界で生きていく上で盲目的に美しさを求めることは不毛なことなのかもしれません」

Fingertip spectacle! Draw a line. 作品解説Tips2「絵画の世界で生きていく上で盲目的に美しさを求めることは不毛なことなのかもしれません」

Tips1では美しいという認識が人から教わったものだという話をしました。
美しさが人から教わったことである以上、そのことを知らずに、自分の中から表出する手の感触や琴線に触れる感覚、脳裏に浮かぶイメージをオリジナルのものだと信じて追いかけ、評価を期待していると不毛に終わることになります。

手の感触、琴線、イメージは誰かに教わったものです。
例えば私が絵画の中で模索しながら形について探り当てた美しさ

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Fingertip spectacle! Draw a line. 作品解説Tips 1「見ても美しいと思えない絵があることには訳があります」

Fingertip spectacle! Draw a line. 作品解説Tips 1「見ても美しいと思えない絵があることには訳があります」

物には価値があります。その物に価値をつけたのは人間です。
お金には価値があります。そしてお金には良いお金と悪い事で稼いだお金があります。

アート作品には良い作品と言われるものがあります。しかし悪いと言われる作品がありません。

ご飯には不味いご飯と美味しいご飯があります。人間は不味い食べ物と美味しい食べ物を感覚で区別することができます。

眼で鑑賞するアート作品には感覚的に不味い作品はありません

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Fingertip spectacle!~「作品の画面構成について話します。まず何故話をするのか?ということから。」vol.1

絵には構図がある。構図はとても大事なものです。なので今回の作品の構図を詳細にお話します。実は世の中に作品の構図や構成の仕方を詳しく書いた本はありません。お話しなければ学生やこれから絵を描こうとする皆さんが誰も勉強ができないのです。

このような状況には訳があります。遡ると第2次世界大戦後。絵画の潮流は厳密に画面構成された構図から離れ、画面に主題や主役といった中心を置かなかったり、自由に抽象的に殴り

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