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Fingertip spectacle! Draw a line. 作品解説Tips 10−1「絵画のデファクト」

絵を描く時に大切なことがあります。
それは描く理由を掴んでから描くことです。
楽しむため
ストレス解消のため
何かを伝えるため
見る人を感動させるため
お金のため
出世のため

制作中の作品「Draw a line」 は描きながら思わず「アッ・・」と声を出してしまうことがあります。わかりやすく言うと”しくじった瞬間”です。
世界最高レベルの技芸で線を描いている最中に何度か声を上げることになるのです。でもそれが楽しい。

絵を描く時に大切なことは、絵を描く理由を掴むことです。難しそうなイメージかもしれませんが、実は絵を描く理由は簡単で沢山あります。

絵の価値を難しくしているのは私と皆さんのデファクト(事実上の標準)が違うからだと考えます。絵画の世界は「これまでにないもの」のみに焦点を当ててきました。それが絵画のスタンダード(標準)です。これまでにないものを出し尽くした今でもその概念を変えられないでいるために、絵画の世界は動けなくなってしまっています。このような様相は、絵画の外の世界で絵のデファクトスタンダード(事実上の標準)を生みました。絵画の外では絵はあらゆる機能を最大限に活かしながら活躍しているのです。娯楽の世界ではアニメ、漫画、イラスト、ゲーム。最先端の科学ではAI。私は本当の絵画の価値は絵画の内と外、その双方を構成した時に見いだせると考えています。

私のいる絵画の世界は、すでに無くなった価値に固執するあまりに価値を掴む機能が喪失し開店休業状態になっている。そして残念ながら、絵画の外の世界ではみんな絵が大好きで新しい価値を次々に生み出している。その状況を見てしまうと古い絵画の世界が途方に暮れる程差をつけれらてしまっていることわかります。あまりに露骨に見えてくるので残念です。その影で形骸化した絵画の権力構造そのものが卑猥に見えてきます。それでも美術館、画廊、芸大美大、評論家の愚かな人たちはみんなが好きなアニメやイラストの価値を大上段にあげようとせず、昭和や古典の絵画と彫刻をアニメやイラストと比較して絵画と彫刻の方が価値の高いものとして譲りません。本当に馬鹿だなあ・・と思います。特に馬鹿なのは保育園、幼稚園、小学校、中学校、高校、芸大美大で実践している教育です。これらの問題の根は教育系の大学の教員の多くが昭和や古典の絵画と彫刻の人だという所から来ています。子どもたちは古典的な美術に触れても泣く子と死んだ眼をする子はいても喜ぶ子は一人もいません。保育園からアニメやイラストを指導すれば良いものの、やっていることはいまだに昭和なのです。どうすればよいものなのか・・悩み、試行錯誤する日々。

形骸化した絵画の世界を覗いてみましょう。絵画の世界というか、彼らが一番に固執しているものが見えてきます。それはそれぞれの生活です。
昭和と古典を続ける体を守ればそれだけ自分たちが生活を続けることができる。
その固執に執着する力は大変強固なものです。
時代を遅らせている主な原因がここにあります。
苦労して得たポジションをみすみす手放せるものか・・。そんな感覚です。
彼らのデファクトは=生活なのです。
彼らを食べさせる。たったそれだけの意味において、画廊、美術館、学校、芸大美大は機能しています。

アートの世界では「絵画は終わった」という概念があります。
私は個人的に絵画の大事な可能性の幾つかを掴んでいます。そのため、「絵画は終わった」という考えには反対ですが、アート全般の中に「絵画は終わった」という概念はあります。
そして実際にその当事者の誰もが新しい絵画の可能性を1つも見出せてはいません。それにも関わらず、古い、昭和の、もしくは古典の絵画を学校などで若者の前に恥ずかしげもなく、おもむろに差し出すのです。若者は時代錯誤とわかっていても黙ってそれを受け入れるしかありません。

私は個人的に絵画、彫刻は必要だと考えています。しかしそれは芸大美大生で言えばその年に日本に1人ずつでいい。後は、デザインの分野はアートの技術、具体的に言えばデッサン力等の高度な造形力はある程度必要なので今のままでいいでしょう。デザインの場合、簡単に言えば塗った色がはみ出していては駄目ですし、形がいびつだと色々と問題です。他は、デザイン以外は余計な人員はいらないと考えています。それでも今の人数がいるのは教員=生活という彼らのデファクトスタンダードです。

デザインではなく美術については1人を選んで全力で生涯支援する。そうすることで昭和、または古典的な絵画と彫刻は本当の価値を社会に健全に示すようになると私は考えています。
必要な人材は1名。そう考えることで彫刻も油絵も価値が光るのです。
これが私の掴んでいる絵画の道の1つ。
今は1000人程度。そして大学の教員という道以外に需要も行く宛もなく露頭に迷う。


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