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セルゲイ・ロズニツァ(Sergei Loznitsa)の経歴と作品

ウクライナ出身の映画監督セルゲイ・ロズニツァについて、経歴及び全作品とその受賞歴をざっくり調べたのでまとめておく。
※画像はIMDb、経歴と受賞歴は英語版Wikipediaを中心にインダビューなど、作品はIMDbとMUBIのデータを記載。

・表記揺れ

まず英語表記であるが、Sergei Loznitsaと書く場合とSergey Loznitsaと書く場合がある。クレジットでは前者を用いているので今回はそれを使う。
また、日本ではロズニツァ或いはロズニーツァと呼ばれている。現地ではどう呼ぶのか分からないので取り敢えず表記の多い前者を使う。

・経歴

1964年9月5日、ベラルーシはBaranovichiに産まれるもウクライナはキエフに移住、そこで高校を卒業。当時は共にソ連。
1987年、ウクライナ国立工科大学を応用数学専攻で卒業。1991年までの間the Institute of Cyberneticsにて人工知能などの研究をしつつ日本語通訳しても働く。
1991年、全ロシア映画大学(Gerasimov Insititute of Cinematography)の劇映画監督科に入学。ナナ・ジョルジャーゼのワークショップに所属し、1997年に優秀な成績で卒業。
2000年までドキュメンタリー作家としてサンクトペテルブルクに暮らしていたが、2001年に家族とドイツに移住。
2010年、初長編劇映画『My Joy』がカンヌ映画祭のコンペに選出されて以来、二作目『In the Fog』(2012)、三作目『A Gentle Creature』(2017)がそれぞれカンヌ映画祭コンペに選出され、最新作『Donbass』(2018)はカンヌ映画祭"ある視点"部門に選出された。2013年にはATOMS & VOIDという映画会社を設立、現在はドキュメンタリーと劇映画両方の分野で活躍中。

彼の会社のYouTubeチャンネルはこちら

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・全作品一覧

Today We Going to Build a House (1996) 28分 共同監督
Life, Autumn (1999) 35分 共同監督
The Train Stop (2000) 25分
Portrait (2002) 28分
The Settlement (2002) 77分
Landscape (2003) 60分
Factory (2004) 30分
Blockade (2006) 51分
Artel (2006) 30分
Revue (2008) 88分
Northern Lights (2008) 52分
My Joy (2010) 128分 初長編劇映画
In the Fog (2012) 128分 第二作
The Miracle of Saint Anthony (2012) 40分
Letter (2013) 21分
The Bridge of Sarajevo (2014) オムニバス映画
Maiden (2014) 128分
The Event (2015) 73分
The Old Jewish Cemetery (2015) 20分
Austerlitz アウステルリッツ (2016) 94分
A Gentle Creature (2017) 143分 第三作
Victory Day (2018) 94分
Donbass (2018) 110分 第四作
The Trial 粛清裁判 (2018) 125分
State Funeral 国葬 (2019) 135分
Celles qui chantent (2020) オムニバス映画
A Night at the Opera (2020) 19分
※太字が長編劇映画、それ以外はドキュメンタリー映画
※下線のある題名をクリックするとその記事に飛びます

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・受賞歴

Today We Going to Build a House (1996) 共同監督
クラクフ映画祭: Bronze Dragon

Life, Autumn (1999) 共同監督
メディアウェーブ国際映画祭(ハンガリー): Grand Prize

The Train Stop (2000)
クラクフ映画祭: Golden Dragon - Special Mention
ライプツィヒDOK映画祭: Silver Dove

Portrait (2002)
オーバーハウゼン国際短編映画祭: Grand Prize
ライプツィヒDOK映画祭: Silver Dove
カルロヴィ・ヴァリ国際映画祭: Best Documentary - Special Mention

The Settlement (2002)
ライプツィヒDOK映画祭: Silver Dove

Blockade (2006)
ニカ賞: Best Documentary
クラクフ映画祭: Golden Dragon
ロシア批評家連盟賞: Golden Aries
リスボン・インディー映画祭(?): Onda Curta Award - Special Mention

Artel (2006)
カルロヴィ・ヴァリ国際映画祭: Best Documentary
イフラヴァ国際ドキュメンタリー映画祭: Best Central and Eastern European Documentary

Revue (2008)
クラクフ映画祭: Golden Horn

My Joy (2010)
エレバン国際映画祭: Silver Apricot - Special Prize
ソチ映画祭: Best Direction, Prize of the Guild of Russian Film Scholars and Film Critics
タリン黒夜映画祭: Grand Prize
ロシア批評家連盟賞:

In the Fog (2012)
カンヌ国際映画祭: FIPRESCI Award
エレバン国際映画祭: Golden Apricot

Letter (2013)
クラクフ映画祭: Golden Dragon

Maiden (2014)
ニュルンベルク国際人権映画祭: Nuremberg International Human Rights Film Award
アストラ国際映画祭: Grand Prize

The Event (2015)
アナーバー映画祭: Michael Moore Award
セビーリャ欧州映画祭: New Waves Non-Fiction Award
ロシア批評家連盟賞:

Austerlitz (2016)
トラバースシティ映画祭: Buzz Wilson Prize
ヴィリニュス国際映画祭: Baltic Gaze

A Gentle Creature (2017)
アダナ映画祭: Golden Boll in International Feature Film
ウクライナ映画アカデミー賞: Golden Dziga

Donbass (2018)
カンヌ国際映画祭: "ある視点"部門監督賞
カイロ国際映画祭: Silver Pyramid
ウクライナ映画批評家賞: Best Feature Film, Best Director
セビーリャ欧州映画祭: Golden Giraldillo
インド国際映画祭: Golden Peacock
バトゥミ国際アートハウス映画祭: Jury Prize

・セルゲイ・ロズニツァ その他の記事

セルゲイ・ロズニツァ 経歴と全作品
セルゲイ・ロズニツァ その短編ドキュメンタリーの全て

・劇映画作品
セルゲイ・ロズニツァ『My Joy』ソビエト後期における"ズヴェニゴーラ"の再構築
セルゲイ・ロズニツァ『In the Fog』霧の中の水掛け論
セルゲイ・ロズニツァ『A Gentle Creature』ある寡黙な女の孤独な闘い
セルゲイ・ロズニツァ『Donbass』"しりとり"のように紡ぐドンバス地区の混乱と狂気

・長編ドキュメンタリー作品
★ セルゲイ・ロズニツァ『Maidan』ウクライナに栄光あれ、英雄たちに栄光あれ
★ セルゲイ・ロズニツァ『The Event』ソ連を崩壊させたあの"出来事"
★ セルゲイ・ロズニツァ『Austerlitz』21世紀の"夜と霧"は無関心と改鼠の中に埋没するのか

・他記事紹介

★ キリル・セレブレニコフの経歴と全作品
★ アリーチェ・ロルヴァケルの経歴と全作品

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