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先生の音に一”耳”惚れして - Youは何しに関西へ

皆さんは台湾と聞いて、何を思い浮かべますか?
タピオカ?
本場の中華料理?
「千と千尋の神隠し」のモデルといわれる九份?

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人気の旅行先、台湾。
前々回ご紹介した韓国と並んで日本人に人気の観光地、台湾から関西へクラシック音楽を勉強しにきた留学生がいます。

インタビューを受けてくれたのは、京都市立芸術大学で交換留学生として半年間勉強した、サクソフォンの鄭 亦傑(テイ イジェ)さん。

数多い都市の中から京都を選んだ理由や、自身が育った台湾のクラシック音楽事情など、観光だけでは見えてこない台湾の様子にスポットを当てました。
(取材・前田)

自己紹介

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僕は台湾の首都・台北から来た鄭 亦傑(テイ イジェ)です。血液型はAB型、今年で25歳になりました。

日本語は3年ほど勉強しています。普通の会話はできますが、文章を書くことが難しいです。台湾では、東邦音楽大学出身の台湾人サクソフォン奏者の方に日本語を習っていました。

サクソフォンを始めて大学、そして日本へ

サクソフォンは小学校3年生で始め、12年くらい勉強しています。
小学生のころ、吹奏楽部の演奏を聴いてかっこいいと思って始めました。その後もずっとサクソフォンを学びたいと思い、中学生から高校生までの間は音楽教室でレッスンを受けました。高校卒業後、台湾で最も有名な国立台北芸術大学の先生方にどうしても学びたいと思って国立台北芸術大学(以下、台北芸大)へ進学しました。

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学校のホールで行われる台北芸大オーケストラの演奏会

台湾で台北芸大のオーケストラや吹奏楽は高い知名度を誇り、毎回満席です。吹奏楽は、毎年の学期違う時代や国の曲を演奏します。その多くがドイツやイギリス、日本などの外国の曲でした。

例えば、
J.ウィリアムズ / スターウォーズ
J.ウィリアムズ / 映画「プライベート・ライアン」より戦没者への賛歌
O.レスピーギ / 交響詩「ローマの泉」より
G.ホルスト / 組曲「惑星」より
清水大輔 / 知恵を持つ海
大栗裕 / 大阪俗謡による幻想曲
など。

台北芸大の吹奏楽は、演奏会の前後半で指揮者が交代します。二人のスタイルがだいぶ違うので、前後半で西洋と日本など、異なる国や地域の作品を演奏することが多いです。

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台北芸大から見える景色はとても綺麗です。
台湾で一番高い建物である台北101(右)も見えます。

大学3年生のときには、台北芸大の同級生と後輩と一緒に藝本道というサクソフォンアンサンブルを作りました。現在メンバーはフランス、オランダ、日本に留学しており、毎年一回全員が台湾へ戻って台湾中で演奏活動をしています。

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「藝本道」のメンバーたちと

実は、初めフランスに留学するつもりでした。
ですが、3年前の日本旅行の際に國末貞仁先生が所属しているクワチュール・ベーというカルテットのリハーサルをたまたま聴く機会がありました。このときとても感動し、これが京都へ留学するきっかけになりました。

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東京・ドルチェ楽器でリハーサルを聴いたときの実際の写真

台湾と日本の間で

日台間の文化の違いといえば、上下関係でした。
台湾にいたころは、先生とお食事に行ったり、先生と気軽にお話しをする機会がありませんでした。また、中国語には敬語がないので、目上の人と話すときには最も気を使いました。

台湾のクラシックのレベルはとても高いと思います。ですが、台湾の学生は個人演奏の方が大事だと考えており、多くの人が個人で練習を重ねます。そのため、吹奏楽やオーケストラなどのアンサンブルの経験が少なく、皆が高校からアンサンブルに参加して経験を積み始める人が多いです。

一方、日本では小学校からアンサンブル能力をとても大切にしているように思います。そのため、小学校から取り組んで努力をし、高校までにはアンサンブルの能力が十分高まるように感じます。

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國末貞仁先生と学友たち

何より、日本に来たとき、日本語は全然話せませんでした。ですが、バイトをしたり、京芸の皆さんと友だちになったりすることで、日本語を上達させることが出来たと思います。色々と助けていただきました。ご飯を一緒に食べたり、ゆっくり日本語を教えてくれたり。関西の皆さんは、とても優しかったです。本当に心から感謝しています。交換留学の思い出、一生忘れません。

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京都市立芸術大学サクソフォン科の学外公演での一枚

読者の皆さんへ

関西生活を終えた後、国立台北芸術大学に一旦戻り卒業しました。現在は東京に住んでいて、東京芸術大学の科目等履修生と洗足学園音楽大学の大学院に合格し、この春、両方に入学しました。

サムネ

中正紀念堂の広場に位置する
国家音楽庁(右手、コンサートホール)

将来は台湾と日本の架け橋になりたいです。皆さんの前で演奏したり、教えたりもしたいです。もし日本の生活や仕事、人間関係などが上手くいけば、日本に住み続けることも考えています。これからも自分の夢を掴むまで頑張ります。

この記事を読んでくださった皆様、ありがとうございました。関西に留学したことは人生でとても大切な経験になりました。関西の皆さんが助けてくださったことを忘れません。心から感謝します。

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いかがでしたでしょうか。
現在、関西の音楽大学に在籍する留学生情報を募集しています。下記のメールアドレスへ情報をお寄せください。Bridgeでは、関西に暮らす全ての外国人留学生を応援します。

取材:前田 直哉
鹿児島県出身。9歳からサクソフォンを始める。第17回日本ジュニア管打楽器コンクール銀賞(第2位)受賞。第23回日本クラシック音楽コンクール1位なしの2位。第22回KOBE国際音楽コンクール優秀賞を受賞。第20回大阪国際音楽コンクールエスポワール賞を受賞。アジアユースオーケストラ2018の一員として、香港や北京、台北などアジア11都市を巡るツアーに参加。2019年12月、韓国ソウルにて「Amuse Saxophone Ensemble 創立演奏会」にゲストとして参加。「Bridge ~関西×学生×音楽のためのカルチャーメディア~」note版ライター。これまでにサクソフォンを土田まゆみ、有村純親、國末貞仁、須川展也、本堂誠の各氏に師事。京都市立芸術大学音楽学部音楽学科管打楽専攻卒業。
問合せ:maedanaoya.sax@gmail.com

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